幼女転生から始める異世界解読術
第25話 イエスとノー
やはりというべきかラーヤが急に帰郷したいと言った理由は、自分の国をちゃんとした形にしたいという事だった。俺としては悪い話とは思わないし、ラーヤの思いもちゃんと受け止めたいと思っている。
「本当急な話だって事は私もわかっているけど、立場上簡単に明かせなかったし、ばらすなら直接行った方が早いと思ったの。駄目だったかな」
「私は手伝うよラーヤ。その気持ちは私も大切だと思っているから」
「私も」
「ユウ、ユウニ……」
だけどそう思っていない人が一人いた。本来なら今この場でも賛同しなければならない人物、
「サシャルも勿論手伝ってくれるよね」
「え、あ、うん」
サシャルだった。さっきまで協力しているとか色々言っていたのに、それなのに何故いま彼女はこの場ですぐに賛成しないのだろうか。
(そういえば……)
ここへ行くって話をした時、彼女は一度それを故田和っている。あの時は何にも感じなかったけど、事情を知った後からだと事情が変わる。
「とりあえず今日は遅くなっちゃったから、好きな部屋で休んで。ご飯は言ってくれれば使用人に部屋に運ばせるから」
そんな俺とは裏腹に、さりげなく凄いことを言うラーヤ。使用人なんて言葉って生きていたころには聞く事なんてほとんどなかったのに、何かいざ聞くとそのすごさがヒシヒシと伝わってくる。
(王女様すげえ)
とりあえず今日は旅で疲れてしまったし、難しいことは明日になったら考えよう。
■□■□■□
「どこへ行くつもり?」
皆が寝静まった時間。ある人物の動きが気になった私は、誰かがこの家の入り口にやって来るのを待っていると、予想通りというべきかその人物が姿を現した。
「関係ないでしょ」
「関係ある。今日ずっと様子がおかしかった」
「……やっぱり誤魔化せなかったんだ」
「何年一緒にいると思っているの私達」
「そう……よね、サシャル」
突然国を変えたいと言い出した辺りから、変だとは思っていた。あの時は話を合わせたけど、彼女、ラーヤがこの国を変えたいと思っている本当の信念は……。
「だから帰郷するのは反対だった。そもそもサスティアに行った目的、あの場所に部屋を作った目的は……」
「それ以上言わないで!」
大きな声を出す私の親友。
(本当分かりやすすぎるよ、ラーヤ)
「あなたが本当にしたいことは、この国を一度終焉させること。そうだよね?」
「違う! 私が一番上に立ったのも、こうして戻ってきたのも全部そんな思いで動いていたわけじゃない!」
(そう思うならどうしてユウ達に嘘をついたの?)
「だって言えると思う? 私が復讐をしようとしているだなんて……あ」
「やっぱりそうだったんだ」
ラーヤが囚われているのは復讐。
彼女達、兎族は獣人族の中でもかなり珍しい部類だ。それゆえに彼女達の扱いは決して良いものではなかった。今兎族は彼女を含めて二人しかいない。しかもそのもう一人は……。
「何が悪いのよ! もう準備は全部整ったし、チャンスはもうすぐ行われる獣祭しかないの。ユウ達二人には申し訳ないけど、私にはそれしかないのよ!」
「馬鹿」
今のラーヤの言葉を聞いて私の中の何かが切れた音がした。
私にはそれしかない?
復讐して何が悪い?
何も分かっていない。
彼女は何も分かっていない。
「ラーヤの大馬鹿!」
■□■□■□
「ラーヤの大馬鹿!」
家の中に突然サシャルの大声が響き渡った。何事かと思い慌てて起きた俺は、彼女の声が聞こえた場所へと向かった。
「私にはそれしかない?ふざけないで! 私が……私達がいるでしょラーヤ」
声がしたのは家の入り口。そこにはラーヤに向かって叫ぶサシャルと、扉を背に背負ったラーヤがいた。
【もしかしてラーヤがここを出ようとしていたのか?】
もし動きがあったとしたらサシャルの方だと思っていた。だけど動きがあったのはラーヤの方だった。これには驚いた。
【どういう事だよ】
気にはなるが二人の間に入ることができない。この場はサシャルに任せた方がよさそうだ。
「サシャル、あんたも言うようになったわね。だけどごめん」
「ラーヤ!」
外へ出ていくラーヤの腕を掴もうとするが、それは振り払われてしまう。
「明日には戻ってくるから、ごめんね」
そしてラーヤはこんな夜遅くに外へと出て行ってしまった。残されたサシャルはその場で何もできずに動けずに立ち尽くす。
「ラーヤ、どうして分からないの……」
俺は彼女に声を掛けようと思ったがそれを止める。明日にはラーヤは戻るって言ったし、事情は明日聞いた方が、
「待ってユウ。聞いていたんでしょ」
いつから気づいていたのかサシャルは遠くから俺に声をかけてきた。
「いつから……気づいていたの?」
「さっき。ラーヤの話気になるんでしょ?」
「……うん」
俺はサシャルンの方へ向かう。
「すぐに動くなんて思っていなかった。だから私止められなかった」
「でも明日帰って来るって」
「それじゃあ遅い」
「え?」
「ラーヤはそばらく戻ってこない」
そこからサシャルは俺にラーヤとの過去の話をしてくれた。だけどそれはあまりに悲惨な話で、俺の力でどうにかできるとは思わなかった。
『私を助けて』
いつしか彼女が俺に言った言葉。あの時はイエスと答えたかもしれないけど、すべてを知った今俺の答えは……。
ノーだ。
「本当急な話だって事は私もわかっているけど、立場上簡単に明かせなかったし、ばらすなら直接行った方が早いと思ったの。駄目だったかな」
「私は手伝うよラーヤ。その気持ちは私も大切だと思っているから」
「私も」
「ユウ、ユウニ……」
だけどそう思っていない人が一人いた。本来なら今この場でも賛同しなければならない人物、
「サシャルも勿論手伝ってくれるよね」
「え、あ、うん」
サシャルだった。さっきまで協力しているとか色々言っていたのに、それなのに何故いま彼女はこの場ですぐに賛成しないのだろうか。
(そういえば……)
ここへ行くって話をした時、彼女は一度それを故田和っている。あの時は何にも感じなかったけど、事情を知った後からだと事情が変わる。
「とりあえず今日は遅くなっちゃったから、好きな部屋で休んで。ご飯は言ってくれれば使用人に部屋に運ばせるから」
そんな俺とは裏腹に、さりげなく凄いことを言うラーヤ。使用人なんて言葉って生きていたころには聞く事なんてほとんどなかったのに、何かいざ聞くとそのすごさがヒシヒシと伝わってくる。
(王女様すげえ)
とりあえず今日は旅で疲れてしまったし、難しいことは明日になったら考えよう。
■□■□■□
「どこへ行くつもり?」
皆が寝静まった時間。ある人物の動きが気になった私は、誰かがこの家の入り口にやって来るのを待っていると、予想通りというべきかその人物が姿を現した。
「関係ないでしょ」
「関係ある。今日ずっと様子がおかしかった」
「……やっぱり誤魔化せなかったんだ」
「何年一緒にいると思っているの私達」
「そう……よね、サシャル」
突然国を変えたいと言い出した辺りから、変だとは思っていた。あの時は話を合わせたけど、彼女、ラーヤがこの国を変えたいと思っている本当の信念は……。
「だから帰郷するのは反対だった。そもそもサスティアに行った目的、あの場所に部屋を作った目的は……」
「それ以上言わないで!」
大きな声を出す私の親友。
(本当分かりやすすぎるよ、ラーヤ)
「あなたが本当にしたいことは、この国を一度終焉させること。そうだよね?」
「違う! 私が一番上に立ったのも、こうして戻ってきたのも全部そんな思いで動いていたわけじゃない!」
(そう思うならどうしてユウ達に嘘をついたの?)
「だって言えると思う? 私が復讐をしようとしているだなんて……あ」
「やっぱりそうだったんだ」
ラーヤが囚われているのは復讐。
彼女達、兎族は獣人族の中でもかなり珍しい部類だ。それゆえに彼女達の扱いは決して良いものではなかった。今兎族は彼女を含めて二人しかいない。しかもそのもう一人は……。
「何が悪いのよ! もう準備は全部整ったし、チャンスはもうすぐ行われる獣祭しかないの。ユウ達二人には申し訳ないけど、私にはそれしかないのよ!」
「馬鹿」
今のラーヤの言葉を聞いて私の中の何かが切れた音がした。
私にはそれしかない?
復讐して何が悪い?
何も分かっていない。
彼女は何も分かっていない。
「ラーヤの大馬鹿!」
■□■□■□
「ラーヤの大馬鹿!」
家の中に突然サシャルの大声が響き渡った。何事かと思い慌てて起きた俺は、彼女の声が聞こえた場所へと向かった。
「私にはそれしかない?ふざけないで! 私が……私達がいるでしょラーヤ」
声がしたのは家の入り口。そこにはラーヤに向かって叫ぶサシャルと、扉を背に背負ったラーヤがいた。
【もしかしてラーヤがここを出ようとしていたのか?】
もし動きがあったとしたらサシャルの方だと思っていた。だけど動きがあったのはラーヤの方だった。これには驚いた。
【どういう事だよ】
気にはなるが二人の間に入ることができない。この場はサシャルに任せた方がよさそうだ。
「サシャル、あんたも言うようになったわね。だけどごめん」
「ラーヤ!」
外へ出ていくラーヤの腕を掴もうとするが、それは振り払われてしまう。
「明日には戻ってくるから、ごめんね」
そしてラーヤはこんな夜遅くに外へと出て行ってしまった。残されたサシャルはその場で何もできずに動けずに立ち尽くす。
「ラーヤ、どうして分からないの……」
俺は彼女に声を掛けようと思ったがそれを止める。明日にはラーヤは戻るって言ったし、事情は明日聞いた方が、
「待ってユウ。聞いていたんでしょ」
いつから気づいていたのかサシャルは遠くから俺に声をかけてきた。
「いつから……気づいていたの?」
「さっき。ラーヤの話気になるんでしょ?」
「……うん」
俺はサシャルンの方へ向かう。
「すぐに動くなんて思っていなかった。だから私止められなかった」
「でも明日帰って来るって」
「それじゃあ遅い」
「え?」
「ラーヤはそばらく戻ってこない」
そこからサシャルは俺にラーヤとの過去の話をしてくれた。だけどそれはあまりに悲惨な話で、俺の力でどうにかできるとは思わなかった。
『私を助けて』
いつしか彼女が俺に言った言葉。あの時はイエスと答えたかもしれないけど、すべてを知った今俺の答えは……。
ノーだ。
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