幼女転生から始める異世界解読術
第11話 狂気に染まるデッドエンド
ラーヤの話に半信半疑でありながらも、それがあまりにも衝撃的すぎてその日は集中する事ができなかった。
(でも日本語読めないって言っていたし、多分嘘だよな)
でも嘘を言っている顔でもなかったような気がする。何より俺に対しての確信付いた質問。あれが冗談と思うのは非常に難しい。
「すっかり日が暮れちゃったなぁ」
転生して迎える五度目の夜。空は雲が掛かっていて、星も見えない。
(もう五日になるのに、慣れないなこの体)
未だに自分の身長が百四十センチくらいになってしまった事に違和感が拭えないでいる。
ずっと本の中での話だと思っていた。
だけどいざ自分の身に起きてみたら、違和感しか残らない。というか未だに自分が死んでしまったことがどうしても受け入れられないれられない。
「こんなところで寝たら風邪引くわよ」
ずっと空を見上げていると、視界にティナが入ってくる。ちなみにこんなところとは、彼女の家の屋根の上。少し怖い高さではあるけど、空を見るには絶好のスポットだった。
「別に寝たりしないよ。ただ空を見ているだけ」
「それならいいけど」
そう言いながらティナは隣に腰掛ける。
「図書館の本は度のくらい読み終わったの?」
「大体三分の一くらい。皆にも協力してもらっているし、快調だよ」
「それはよかった。でもその中に王女様もいるんでしょ?」
「午前中だけだけど、顔を出してくれるよ」
「本当余計なことだけは起こさないでね。特に中身は男なんだから」
「そんなムラッ気はないよ」
そんな事したら国外追放待ったなしだろうし。
「ねえ、ユウじゃなくてリュウノスケに聞きたいんだけど」
「何?」
「あなたはこの世界に来て五日が経つけど、何か感じたことある?」
ティナが俺自身に聞いてきた質問。しかしその意味が俺には分からなかった。
「感じたこと?」
「この世界は今争いが絶えないって話は聞いたわよね?」
「うん」
預言書をめぐって争っているとかは聞いている。この国も被害にあっていて、今や住人が大幅に減っていることも。ある文献に乗っていた記録には、全盛期よりも三分の二は減っているとさえ言われている。
「あれ?」
「気がついた?」
「そういえばこの五日間、お姉ちゃん達以外の人見かけてないし、何かが攻めてくる気配もないんだけど」
「そう。あなたなら気がつくと思ったけど、少し遅かったね」
「お姉ちゃん?」
どこか様子がおかしいティナ。まるで何かを知っているみたいな……そんな様子だ。
「この世界は壊れ始めているの。あなたが来るのが遅いくらいに」
そう言いながら突然俺の体に馬乗りになるティナ。そして彼女の手が俺の首にかかり……。
「だからもうあなたは要らない。私の妹を……返して!」
そして思いっきり絞めてきた。小さい体の俺は、非力なために抵抗ができない。というより、ティナの力がかなり強くてこのままだと……。
「や、やめ……て」
「うるさい! あなたが転生さえしなければ妹は安らかに眠れたのに、どうして……どうして……」
意識が薄れ始める。俺の視界に映るのは狂気に満ちたティナの目。
(もう意識がもたない……)
「ごめんねユウ、今お姉ちゃんが取り戻してあげるから」
「た……たす……け」
そして俺は助けすら求めることが出来ずに、その狂気な目を視界に入れたまま目覚めぬ眠りについた。
わずか五日。
俺はその短い期間で、世界を救うことはおろか、身近の狂気にすら気づけずに死んでしまった。
■□■□■□
「はぁ……はぁ……」
手にまだ感触が残っている。妹を殺めてしまった感触が。
「何が転生よ……。何が救世主よ……」
本を読んで世界を救う? そんなので救えたら私はとっくにこの世界を救えている。そんな甘い話なんてこの世界にあるわけがない。
「ティナ」
その場に離れることが出来ないでいると、背後から聞きなれた声がする。
「リル、私……」
「聞かないよ。言い訳は」
「え?」
「もう言い訳なんて聞き飽きたから」
「でも私」
「言いたいことがあるなら、直接言えば?」
リルの言葉にハッとした私は、ユウを見る。するとそこには薄くだけど目を開いている妹の姿が。
「ど、どうして? どうしてこんな事が」
「お姉……ちゃん?」
「どうして! どうしてあなたはそうやって……」
喜べるはずの奇跡。でも殺そうとした事実は変わらない。私はあと何回この気持ちを味わえばいい。
「殺せば済むなんて思わないで。これ以上は親友相手でも私許さないからね」
「目を開けるのよ!」
誰か……誰か私を助けてください。こんな辛いことしか起きない世界から助けてください。
そして、
お願いですから彼を救ってあげてください。
■□■□■□
二度目の死を迎えたと思っていた。だけど今俺はこうして目を開けている。俺を殺そうとしたティナは何故か泣いているし、いつの間にか背後にいたリルはその姿を消している。
(何がどうなっているんだ?)
俺は助かったのか? こんな奇跡みたいなこと起きるのか?
「お姉ちゃん、どうしてこんな事したの?」
当然の疑問が口に出る。それに対しティナは……。
「あなたを助けたかった、それだけ」
と一言残して、屋根から降りていった。まるで何もなかったように。
(どうなっているんだ、この世界)
人を殺そうとして、何で彼女は平然とこの場を去れたんだ。誰か答えてくれ。
俺にこの狂気のような世界を救えるのか、答えてくれ。
(でも日本語読めないって言っていたし、多分嘘だよな)
でも嘘を言っている顔でもなかったような気がする。何より俺に対しての確信付いた質問。あれが冗談と思うのは非常に難しい。
「すっかり日が暮れちゃったなぁ」
転生して迎える五度目の夜。空は雲が掛かっていて、星も見えない。
(もう五日になるのに、慣れないなこの体)
未だに自分の身長が百四十センチくらいになってしまった事に違和感が拭えないでいる。
ずっと本の中での話だと思っていた。
だけどいざ自分の身に起きてみたら、違和感しか残らない。というか未だに自分が死んでしまったことがどうしても受け入れられないれられない。
「こんなところで寝たら風邪引くわよ」
ずっと空を見上げていると、視界にティナが入ってくる。ちなみにこんなところとは、彼女の家の屋根の上。少し怖い高さではあるけど、空を見るには絶好のスポットだった。
「別に寝たりしないよ。ただ空を見ているだけ」
「それならいいけど」
そう言いながらティナは隣に腰掛ける。
「図書館の本は度のくらい読み終わったの?」
「大体三分の一くらい。皆にも協力してもらっているし、快調だよ」
「それはよかった。でもその中に王女様もいるんでしょ?」
「午前中だけだけど、顔を出してくれるよ」
「本当余計なことだけは起こさないでね。特に中身は男なんだから」
「そんなムラッ気はないよ」
そんな事したら国外追放待ったなしだろうし。
「ねえ、ユウじゃなくてリュウノスケに聞きたいんだけど」
「何?」
「あなたはこの世界に来て五日が経つけど、何か感じたことある?」
ティナが俺自身に聞いてきた質問。しかしその意味が俺には分からなかった。
「感じたこと?」
「この世界は今争いが絶えないって話は聞いたわよね?」
「うん」
預言書をめぐって争っているとかは聞いている。この国も被害にあっていて、今や住人が大幅に減っていることも。ある文献に乗っていた記録には、全盛期よりも三分の二は減っているとさえ言われている。
「あれ?」
「気がついた?」
「そういえばこの五日間、お姉ちゃん達以外の人見かけてないし、何かが攻めてくる気配もないんだけど」
「そう。あなたなら気がつくと思ったけど、少し遅かったね」
「お姉ちゃん?」
どこか様子がおかしいティナ。まるで何かを知っているみたいな……そんな様子だ。
「この世界は壊れ始めているの。あなたが来るのが遅いくらいに」
そう言いながら突然俺の体に馬乗りになるティナ。そして彼女の手が俺の首にかかり……。
「だからもうあなたは要らない。私の妹を……返して!」
そして思いっきり絞めてきた。小さい体の俺は、非力なために抵抗ができない。というより、ティナの力がかなり強くてこのままだと……。
「や、やめ……て」
「うるさい! あなたが転生さえしなければ妹は安らかに眠れたのに、どうして……どうして……」
意識が薄れ始める。俺の視界に映るのは狂気に満ちたティナの目。
(もう意識がもたない……)
「ごめんねユウ、今お姉ちゃんが取り戻してあげるから」
「た……たす……け」
そして俺は助けすら求めることが出来ずに、その狂気な目を視界に入れたまま目覚めぬ眠りについた。
わずか五日。
俺はその短い期間で、世界を救うことはおろか、身近の狂気にすら気づけずに死んでしまった。
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「はぁ……はぁ……」
手にまだ感触が残っている。妹を殺めてしまった感触が。
「何が転生よ……。何が救世主よ……」
本を読んで世界を救う? そんなので救えたら私はとっくにこの世界を救えている。そんな甘い話なんてこの世界にあるわけがない。
「ティナ」
その場に離れることが出来ないでいると、背後から聞きなれた声がする。
「リル、私……」
「聞かないよ。言い訳は」
「え?」
「もう言い訳なんて聞き飽きたから」
「でも私」
「言いたいことがあるなら、直接言えば?」
リルの言葉にハッとした私は、ユウを見る。するとそこには薄くだけど目を開いている妹の姿が。
「ど、どうして? どうしてこんな事が」
「お姉……ちゃん?」
「どうして! どうしてあなたはそうやって……」
喜べるはずの奇跡。でも殺そうとした事実は変わらない。私はあと何回この気持ちを味わえばいい。
「殺せば済むなんて思わないで。これ以上は親友相手でも私許さないからね」
「目を開けるのよ!」
誰か……誰か私を助けてください。こんな辛いことしか起きない世界から助けてください。
そして、
お願いですから彼を救ってあげてください。
■□■□■□
二度目の死を迎えたと思っていた。だけど今俺はこうして目を開けている。俺を殺そうとしたティナは何故か泣いているし、いつの間にか背後にいたリルはその姿を消している。
(何がどうなっているんだ?)
俺は助かったのか? こんな奇跡みたいなこと起きるのか?
「お姉ちゃん、どうしてこんな事したの?」
当然の疑問が口に出る。それに対しティナは……。
「あなたを助けたかった、それだけ」
と一言残して、屋根から降りていった。まるで何もなかったように。
(どうなっているんだ、この世界)
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