非リアの俺と学園アイドルが付き合った結果
私の決意と俺の決意
九十六話
【新転勇人】
円香とのデートの翌日、その日は近年稀に見るほどの豪雨だった。
雨粒が窓を叩く音が響く中、暗い部屋で俺は独り、テレビゲームをプレイしていた。
昨日のデート……思い出の半分以上が花咲のことになっちゃった……。
ポチポチと無機質な音を立てつつボタンを押す。
あれから円香からの連絡はない。
そりゃ気づくよな。
彼氏が自分とのデート中に他の女の事を考えたりしてたら。
だからこそこっちからも連絡を入れられないんだ。
事実だから。
大好きな円香とテーマパークでデートしている楽しい時間の中で元カノで、多大なる被害を受けた女の事を考えていたのは紛れもない真実だから。
円香のあんなさみしそうな笑顔を見たら何も言えないよ。
目の前の幸せを大切にするんじゃなかったのかよッ!
円香がいてこその幸せだろッ!
「クソ……」
画面にはそんな俺を嘲笑うかのようなBGMと共に【コンティニュー?】と映し出されていた。
「コンティニュー出来るならしてぇよ……なんでもっと冷静になれなかったんだよ……」
出ていく言葉は後ろ向きな言葉ばかり。
さながら今日の空模様のようで、部屋に響く雨音が俺を嗤っているかのようで、情けなさがこみ上げてきた。
□
「にぃ何かあったの?」
「なにも」
「何かあったでしょ?」
「……なにも」
「もしかしてデートで何かあったの?」
夕食時、対面して座っていた結花が橋を止め真剣な眼差しで尋ねてくる。
「もしかして花咲さんのこと?」
…………なんでこうも勘が鋭いんだ。
「そっかー」
どうやらそんな感情が意図せず顔に出ていたようで「うんうん」と頷きながら結花はいつもは見せない落ち着いた表情で言った。
「円香さんを悲しませるようなことしちゃったの?」
あぁ。
この結花はアレだ。
中学の頃、花咲に騙されて帰ってきた日と同じだ。
すべてを許すような瞳で、何を言っても「うん」「そうだね」「悪くないよ」と肯定してくれる。
あの時どれだけ助けられたか。
まぁ本人はわかってないと思うけど。
「円香とのデートなのに花咲のことばかりを考えてて、円香に悲しそうな笑顔を向けられたんだ」
「そっか。」
結花は「ふむふむなるほど」と呟いて、少しの間考える素振りを見せると、
「じゃあゆいのプリンあげる!だから元気だして!」
そう言って大事そうに机の上でも、最も自分に近い位置に置いていたプリンを俺へ差し出してくる。
「今回はゆいは何もわからないし聞こうとしないよ。中学の頃は一方的に騙されて一方的に悩んでたから力になってあげれたけど、今回は違うでしょ?」
結花は俺の力になるのではなく、自分だけでこの苦しみを脱せられるようにと諭してくれる。
「今は円香さんがいる。相思相愛なんだから円香さんもにぃのことで悩んでるはずだよ。どう謝ってどう歩いていくかはゆいじゃなくてにぃたちが決めることなんだから。」
そうだ。
円香は俺が一方的に悪くても頭を抱えて悩んでしまう優しい子だ。
そんな子の気持ちを無下にしたデートをしてしまったんだ。
「ありがとう結花。」
「はいはい、円香さんと別れたりなんかしたらゆいがにぃのこと貰っちゃうかんねー!」
結花のそんな言葉を背中に受け、俺は部屋へと戻った。
□
俺はすぐさま布団へもぐり、目を瞑る。
明日の朝一円香を迎えに行って誠心誠意謝罪するためだ。
Limeで謝罪することも考えたが、ネット回線を介した謝罪なんてそれはもう謝ってないのと同義だ。
もう円香のあんな笑顔は見たくないからな。
俺だけが幸せな関係ではダメなんだ。
互いに幸せじゃないと。
その中で過去と向き合って、越えていくんだ。
俺は明日の朝へ備えるため、早々と眠りについた。
【新天円香】
「これでいいんですよね……」
さっきまでは暗かった窓の外もだんだんと明るく陽が昇ってきました。
そんな太陽の光が私のスマホを照らします。
一番近くに私がいる。
だから勇人くんは悩んでしまっているのです。
私が遠く離れ、付き合う前のように私だけが遠くから彼を見る生活に戻るだけです。
廊下ですれ違っても私だけが頬を赤らめる。
そんな生活に…………。
「あれ……?」
私の頬を冷たい何かが伝いました。
「……悲しくないよ……勇人くんのためだもん……泣かないんだよ……っ……」
一度流れ始めた涙を止めることは出来ませんでした。
決意を固めたはずなのに……涙が溢れて止まりません。
「私の大好きな勇人くんのためだもんっ……これで勇人くんが過去と向き合えるから……っ……だめっ……ぅ……言っちゃだめなの……」
胸に溢れた気持ちがこらえきれなくなった私は、言ってはいけない言葉を……。
「……ぅ……やだぁ……っ…………別れたくないよ……別れたくないよぉ……っ…………」
スマホの画面の「別れましょう」という“送信済み”のメッセージを見ながら、霞んでいく目で、私の選択は間違えではなかったと自分に言い聞かせるために、私は潤んで前すら見えなくなった瞳でも、画面を眺めていましました。
そしてこの日、私の大好きで、一番守っていたかった世界が音を立てて崩れました。
面白い!
とか
がんばって!
とかコメントを頂いていますが、今回はそうもいかないでしょう。
大半の人は「は?」と思うはず。
は?と思ったら、は?とコメントしてみてください。きっとノベルバ史上最大に面白いコメント欄になるはずです。
まぁそんなことのためにこの回を書いたわけじゃないんですよ。
でも、井戸の思うラブコメは誰も悲しまない、みんなが幸せな最後を迎える。これがラブコメだと思うんですよ!!
あ、でも最終話が近いとかじゃないからね?
まだまだ彼らの恋愛は始まったばかりだから。
それにみんなわかってくれてると思うけどコメディ要素強いからねこの小説。おーけー?
信じてまで!!ドドンッ!
【新転勇人】
円香とのデートの翌日、その日は近年稀に見るほどの豪雨だった。
雨粒が窓を叩く音が響く中、暗い部屋で俺は独り、テレビゲームをプレイしていた。
昨日のデート……思い出の半分以上が花咲のことになっちゃった……。
ポチポチと無機質な音を立てつつボタンを押す。
あれから円香からの連絡はない。
そりゃ気づくよな。
彼氏が自分とのデート中に他の女の事を考えたりしてたら。
だからこそこっちからも連絡を入れられないんだ。
事実だから。
大好きな円香とテーマパークでデートしている楽しい時間の中で元カノで、多大なる被害を受けた女の事を考えていたのは紛れもない真実だから。
円香のあんなさみしそうな笑顔を見たら何も言えないよ。
目の前の幸せを大切にするんじゃなかったのかよッ!
円香がいてこその幸せだろッ!
「クソ……」
画面にはそんな俺を嘲笑うかのようなBGMと共に【コンティニュー?】と映し出されていた。
「コンティニュー出来るならしてぇよ……なんでもっと冷静になれなかったんだよ……」
出ていく言葉は後ろ向きな言葉ばかり。
さながら今日の空模様のようで、部屋に響く雨音が俺を嗤っているかのようで、情けなさがこみ上げてきた。
□
「にぃ何かあったの?」
「なにも」
「何かあったでしょ?」
「……なにも」
「もしかしてデートで何かあったの?」
夕食時、対面して座っていた結花が橋を止め真剣な眼差しで尋ねてくる。
「もしかして花咲さんのこと?」
…………なんでこうも勘が鋭いんだ。
「そっかー」
どうやらそんな感情が意図せず顔に出ていたようで「うんうん」と頷きながら結花はいつもは見せない落ち着いた表情で言った。
「円香さんを悲しませるようなことしちゃったの?」
あぁ。
この結花はアレだ。
中学の頃、花咲に騙されて帰ってきた日と同じだ。
すべてを許すような瞳で、何を言っても「うん」「そうだね」「悪くないよ」と肯定してくれる。
あの時どれだけ助けられたか。
まぁ本人はわかってないと思うけど。
「円香とのデートなのに花咲のことばかりを考えてて、円香に悲しそうな笑顔を向けられたんだ」
「そっか。」
結花は「ふむふむなるほど」と呟いて、少しの間考える素振りを見せると、
「じゃあゆいのプリンあげる!だから元気だして!」
そう言って大事そうに机の上でも、最も自分に近い位置に置いていたプリンを俺へ差し出してくる。
「今回はゆいは何もわからないし聞こうとしないよ。中学の頃は一方的に騙されて一方的に悩んでたから力になってあげれたけど、今回は違うでしょ?」
結花は俺の力になるのではなく、自分だけでこの苦しみを脱せられるようにと諭してくれる。
「今は円香さんがいる。相思相愛なんだから円香さんもにぃのことで悩んでるはずだよ。どう謝ってどう歩いていくかはゆいじゃなくてにぃたちが決めることなんだから。」
そうだ。
円香は俺が一方的に悪くても頭を抱えて悩んでしまう優しい子だ。
そんな子の気持ちを無下にしたデートをしてしまったんだ。
「ありがとう結花。」
「はいはい、円香さんと別れたりなんかしたらゆいがにぃのこと貰っちゃうかんねー!」
結花のそんな言葉を背中に受け、俺は部屋へと戻った。
□
俺はすぐさま布団へもぐり、目を瞑る。
明日の朝一円香を迎えに行って誠心誠意謝罪するためだ。
Limeで謝罪することも考えたが、ネット回線を介した謝罪なんてそれはもう謝ってないのと同義だ。
もう円香のあんな笑顔は見たくないからな。
俺だけが幸せな関係ではダメなんだ。
互いに幸せじゃないと。
その中で過去と向き合って、越えていくんだ。
俺は明日の朝へ備えるため、早々と眠りについた。
【新天円香】
「これでいいんですよね……」
さっきまでは暗かった窓の外もだんだんと明るく陽が昇ってきました。
そんな太陽の光が私のスマホを照らします。
一番近くに私がいる。
だから勇人くんは悩んでしまっているのです。
私が遠く離れ、付き合う前のように私だけが遠くから彼を見る生活に戻るだけです。
廊下ですれ違っても私だけが頬を赤らめる。
そんな生活に…………。
「あれ……?」
私の頬を冷たい何かが伝いました。
「……悲しくないよ……勇人くんのためだもん……泣かないんだよ……っ……」
一度流れ始めた涙を止めることは出来ませんでした。
決意を固めたはずなのに……涙が溢れて止まりません。
「私の大好きな勇人くんのためだもんっ……これで勇人くんが過去と向き合えるから……っ……だめっ……ぅ……言っちゃだめなの……」
胸に溢れた気持ちがこらえきれなくなった私は、言ってはいけない言葉を……。
「……ぅ……やだぁ……っ…………別れたくないよ……別れたくないよぉ……っ…………」
スマホの画面の「別れましょう」という“送信済み”のメッセージを見ながら、霞んでいく目で、私の選択は間違えではなかったと自分に言い聞かせるために、私は潤んで前すら見えなくなった瞳でも、画面を眺めていましました。
そしてこの日、私の大好きで、一番守っていたかった世界が音を立てて崩れました。
面白い!
とか
がんばって!
とかコメントを頂いていますが、今回はそうもいかないでしょう。
大半の人は「は?」と思うはず。
は?と思ったら、は?とコメントしてみてください。きっとノベルバ史上最大に面白いコメント欄になるはずです。
まぁそんなことのためにこの回を書いたわけじゃないんですよ。
でも、井戸の思うラブコメは誰も悲しまない、みんなが幸せな最後を迎える。これがラブコメだと思うんですよ!!
あ、でも最終話が近いとかじゃないからね?
まだまだ彼らの恋愛は始まったばかりだから。
それにみんなわかってくれてると思うけどコメディ要素強いからねこの小説。おーけー?
信じてまで!!ドドンッ!
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コメント
アホの子は俺だ!
( ´Д`)=3はぁっ?
あいす/Aisu
歯?歯?歯?歯?歯?
猫ネギ
では...は?
紅月
この後の展開が楽しみ
ReadyGooooo
ファ!?