非リアの俺と学園アイドルが付き合った結果

井戸千尋

私の代表挨拶と俺の友達

七十二話








【新天円香】








「――続きまして生徒代表挨拶、新天円香さん御登壇して下さい。」
「はい」
私は司会の生徒会長さんに呼ばれ、登壇します。

うぅ……やはり微かなヒソヒソ声が聞こえます。
まぁ仕方ないことと言ってしまえばそれまでですが、全ての声が私への罵倒や陰口に聞こえてしまいます。
被害妄想が過ぎますね私。
そんなざわつきを他所に壇上に上がり、マイクのある位置までたどり着いた私はブレザーの内ポケットからカンペを取り出します。


…………胸がなくてよかったって思ってしまう自分が憎いですッ!


「長かった夏休みが終わり、新学期が始まりました――」








「――今学期もより良い学校生活を送っていきましょう。二年代表新天円香」
昨日考えておいたカンペを完璧にこなして降壇します。
カンペだけに完璧カンペきに…………ふふっ♪


ざわつきは私が話を進めていくうちに次第におさまって話し易い状況になったので安心でした。







【新転勇人】







「ふぅ……無事に終わってよかった」
正確に言うと“無事”の定義にもよる発言が聞こえたが、円香に身体的な危害が加わらなかったので良しとしよう。
さすがにたくさん聞こえるざわつきに噛み付いていたらキリがないのでこの怒りは心にとどめておこう。
つまり“無事”って言うのには俺も含まれてるってことよ。
「勇人!このあと三郷連れて部室行こうぜ!」
「おっけー」
後ろからやってきた浅見くんは俺の横に並んだ。
後ろから来たことから察するにきっと野球部の人とかと喋っていたのだろう。
いや本当に野球部とか陽の当たってる人たちと喋れる浅見くんが本当の友達だなんてびっくりだ。
「あ、そうそう、金霧先輩は呼ばないでくれよ、勘違いされたら困るし。」
浅見くんはお手手のシワとシワを合わせて言った。

巨乳でメガネをとると可愛い…………確実に勘違いされるな。

「わかったよ。とりあえず一緒に三郷さん迎えに行こ」
「おうよ!」







【新天円香】







「あのぉ…………」
始業式が終わり、勇人くんから「部室に集合!」とLimeが送られてきたので部室に来たのですが……。
「その方は……?」
私の目の前には短な黒髪をした巨乳眼鏡っ娘と言われるであろう女生徒が座っていました。
「この子は三郷奈々って言って俺の後輩だ!」
「は、はぁ」
あのぉそれよりツッコミたいことがあるのですが……。
「新天、端的にいうとこいついじめられてるんだ」

なんで私の周りには巨乳しかいないんですかァ!!
って――
「え?」

今の私の頭は、巨乳<この子のいじめ、という状態になり、もはや乳のことなんてどうでも良くなりました。

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