非リアの俺と学園アイドルが付き合った結果
私のお花摘みと俺の恥ずか死
四十六話
【新転勇人】
「―円になります!」
俺はその分のお金を払い、焼きそばを待つ。
夏休みということもあり当然のごとく海の家は大盛況だ。お昼時のため行列が出来ていて、少しあとから俺たちが引き継ぐと思うと少しおっくうだ。
「多分結構待つと思うので先戻ってて大丈夫ですよ、袋に入れてもらえるみたいだから全部持ちきれるし」
子気味良い音を立てる鉄板の方を覗き込んでいる円香へ告げた。
だけど円香はこの夏の日差しに負けないくらい眩しい笑顔で、
「一緒に待ちますよ♪それに、私がナンパされてしまってもいいんですか?私はかわいいんでしたよね♪」
と言い放ち、鼻歌を歌いながら再び鉄板へと目を移した。
まぁ、待ってくれるのはありがたいし、機嫌いいのは良いことだしいいんだけどね。
でも暑いからせめて日陰で待ってて欲しい気もするな。
そんな円香の横顔を眺めている時だった。
だんだんと円香の顔が赤く染まっていくのに気がついたのは。
「円香!?大丈夫?」
「へっ!?いや…だ大丈夫ですよ…?」
返ってきた返事は絶対大丈夫じゃない時の「大丈夫」だった。
「日差しにあてられた?」
俺は無意識のうちに円香の頬へ手を当てて体温を確認していた。
ビクッと震えた肌と柔らかな感触を得た時だった。
「あ、あの…」
もじもじしながら俺と目を合わせる円香。
やっぱり手かッ!?
俺はすぐに頬から手を離した。
でも―
「ち、違うんです!ほっぺはむしろずっと触っててほしいんですけど……」
お、おぉ…いつもなら途中から蚊の鳴くような声になるのに今回はハッキリと……。
「円香本当に大丈夫?顔赤いしもじもじ…ってかフラフラ?してるし……」
いつもならここに「いつもなら恥ずかしがるのに今回はハッキリ言ったね」とか付け足すけど今はそんな状況ではない。
足元がおぼつかないように見えるしなにより顔が赤い。
焼きそばはまだ出来るようには思えないし、そもそも俺の前にいた人がまだだからもう少しかかるだろうし。
「円香、海の家入ろ?何か注文すれば座れる―」
それは、俺が円香の方に手を回し、海の家に入ろうとした時だった。
「…お花つみ………」
赤く火照った顔を隠すように俯き、蚊の鳴くような声で言った。
蚊の鳴くような声だったけど、聞き逃しはしなかった。
円香が遠回しに「トイレ」と言ったのだ。
「吐きそうってこ―」
「もう我慢できませんっ…お花つんできますっ!」
俺の手をすり抜けて、彼女はトイレ、もといお花摘みに行った。
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
「ん?」
周りからクスクスと薄い笑いが聞こえる中、俺の頭は真っ白になっていた。
「なになに……え?」
混乱が言葉になり口から漏れでてしまう程に状況が読めてなかった。
顔が赤くて、モジモジして足元がおぼつかない感じで、ほっぺ触ったときにビクッてしたのは日に当てられたからじゃなかったってこと?
まって?
顔が赤かったのは、トイレに行きたいのを我慢してたからで。
もじもじしてたのは、ふらついてるとかじゃなくて単に我慢してたってだけで。
ほっぺ触ったときにビクッてなったのは、体調悪くてぼーっとしてたからじゃなくて、我慢に精を出してたから。
とか?
もしそうだとしたら俺相当恥ずかしいことしてたしさせてたのではないか?
んんん?
恥ずかしくなってきたぞ?
周りの笑い声とか喋り声が全部俺の過剰な心配を言ってることだと思い始めてきたぞ?
あれあれ?
「待たせちゃってごめんね!」
恥ずかしいのは相変わらず、ただ少しの時間が経った頃やっと焼きそばができたようで、
「ありがとうございます!」
とだけ言ってその場から逃げるように円香の向かったトイレの方へ足を向け―ようとしたとき。
「あ!ちょっと待って!」
と、焼きそばを渡してくれたお姉さんに引き止められた。
「さっきの彼女でしょ?これ一緒に食べな!」
そう言って先が広がっているストローと共にかき氷をくれた。
「あ、ありがとうございます…」
俺は右手でそれを受け取り、店に背を向け今度こそその場を後にした。
「色は赤だけど、全部同じ味らしいから文句言うなよ彼氏!それと、さっき心配してたのかっこよかったぞ!」
あの人何!!!
そんな事言うとかき氷の売り上げ下がりかねないし、かっこいい言うなッ!!
「ファン〇グレープとかオレンジも同じ原理らしいぞー!」
巻き込み事故ッ!
海の家なんかよりもっと大きなものを巻き込むな!!
てか仕事しろやッ!!
【新天円香】
「ふぅ…さっきは焦りましたぁ…」
勇人くん急にほっぺ触るんですもん。
ちょっとは察して欲しいですよもう!
私は手を洗い、海の家へと歩を進めます。
「ふ……ぷと……んじ―」
何やら楽しげな声が聞こえた時でした。
「なぁかわい子ちゃんさぁ、これからBBQするんだけど俺らと一緒にこない?」
と、バーベキューを「びーびーきゅー」と言っちゃう系のいわゆるパリピ系っぽい男の人に声をかけられました。
【新転勇人】
「―円になります!」
俺はその分のお金を払い、焼きそばを待つ。
夏休みということもあり当然のごとく海の家は大盛況だ。お昼時のため行列が出来ていて、少しあとから俺たちが引き継ぐと思うと少しおっくうだ。
「多分結構待つと思うので先戻ってて大丈夫ですよ、袋に入れてもらえるみたいだから全部持ちきれるし」
子気味良い音を立てる鉄板の方を覗き込んでいる円香へ告げた。
だけど円香はこの夏の日差しに負けないくらい眩しい笑顔で、
「一緒に待ちますよ♪それに、私がナンパされてしまってもいいんですか?私はかわいいんでしたよね♪」
と言い放ち、鼻歌を歌いながら再び鉄板へと目を移した。
まぁ、待ってくれるのはありがたいし、機嫌いいのは良いことだしいいんだけどね。
でも暑いからせめて日陰で待ってて欲しい気もするな。
そんな円香の横顔を眺めている時だった。
だんだんと円香の顔が赤く染まっていくのに気がついたのは。
「円香!?大丈夫?」
「へっ!?いや…だ大丈夫ですよ…?」
返ってきた返事は絶対大丈夫じゃない時の「大丈夫」だった。
「日差しにあてられた?」
俺は無意識のうちに円香の頬へ手を当てて体温を確認していた。
ビクッと震えた肌と柔らかな感触を得た時だった。
「あ、あの…」
もじもじしながら俺と目を合わせる円香。
やっぱり手かッ!?
俺はすぐに頬から手を離した。
でも―
「ち、違うんです!ほっぺはむしろずっと触っててほしいんですけど……」
お、おぉ…いつもなら途中から蚊の鳴くような声になるのに今回はハッキリと……。
「円香本当に大丈夫?顔赤いしもじもじ…ってかフラフラ?してるし……」
いつもならここに「いつもなら恥ずかしがるのに今回はハッキリ言ったね」とか付け足すけど今はそんな状況ではない。
足元がおぼつかないように見えるしなにより顔が赤い。
焼きそばはまだ出来るようには思えないし、そもそも俺の前にいた人がまだだからもう少しかかるだろうし。
「円香、海の家入ろ?何か注文すれば座れる―」
それは、俺が円香の方に手を回し、海の家に入ろうとした時だった。
「…お花つみ………」
赤く火照った顔を隠すように俯き、蚊の鳴くような声で言った。
蚊の鳴くような声だったけど、聞き逃しはしなかった。
円香が遠回しに「トイレ」と言ったのだ。
「吐きそうってこ―」
「もう我慢できませんっ…お花つんできますっ!」
俺の手をすり抜けて、彼女はトイレ、もといお花摘みに行った。
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「ん?」
周りからクスクスと薄い笑いが聞こえる中、俺の頭は真っ白になっていた。
「なになに……え?」
混乱が言葉になり口から漏れでてしまう程に状況が読めてなかった。
顔が赤くて、モジモジして足元がおぼつかない感じで、ほっぺ触ったときにビクッてしたのは日に当てられたからじゃなかったってこと?
まって?
顔が赤かったのは、トイレに行きたいのを我慢してたからで。
もじもじしてたのは、ふらついてるとかじゃなくて単に我慢してたってだけで。
ほっぺ触ったときにビクッてなったのは、体調悪くてぼーっとしてたからじゃなくて、我慢に精を出してたから。
とか?
もしそうだとしたら俺相当恥ずかしいことしてたしさせてたのではないか?
んんん?
恥ずかしくなってきたぞ?
周りの笑い声とか喋り声が全部俺の過剰な心配を言ってることだと思い始めてきたぞ?
あれあれ?
「待たせちゃってごめんね!」
恥ずかしいのは相変わらず、ただ少しの時間が経った頃やっと焼きそばができたようで、
「ありがとうございます!」
とだけ言ってその場から逃げるように円香の向かったトイレの方へ足を向け―ようとしたとき。
「あ!ちょっと待って!」
と、焼きそばを渡してくれたお姉さんに引き止められた。
「さっきの彼女でしょ?これ一緒に食べな!」
そう言って先が広がっているストローと共にかき氷をくれた。
「あ、ありがとうございます…」
俺は右手でそれを受け取り、店に背を向け今度こそその場を後にした。
「色は赤だけど、全部同じ味らしいから文句言うなよ彼氏!それと、さっき心配してたのかっこよかったぞ!」
あの人何!!!
そんな事言うとかき氷の売り上げ下がりかねないし、かっこいい言うなッ!!
「ファン〇グレープとかオレンジも同じ原理らしいぞー!」
巻き込み事故ッ!
海の家なんかよりもっと大きなものを巻き込むな!!
てか仕事しろやッ!!
【新天円香】
「ふぅ…さっきは焦りましたぁ…」
勇人くん急にほっぺ触るんですもん。
ちょっとは察して欲しいですよもう!
私は手を洗い、海の家へと歩を進めます。
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