非リアの俺と学園アイドルが付き合った結果

井戸千尋

私の変な笑いと俺のT〇L〇VEるな事象

四十五話






【新転勇人】






「海だー!!」
車から降りた円香が第一声無邪気に言い放った。
「まだここ駐車場だよ」
楽しそうな円香へ冷静にツッコミを入れた金霧先輩。
でもそんな金霧先輩も柄にもなくそわそわしてて新鮮な感じだ。
「じゃあ女子たちは私と一緒に更衣室ヘゴー!」
「ごーー!!です♪」
「ごぉー」
楽しそうに手を掲げる円香とワクワク感を必死に隠そうとしてテンション低めで手を掲げた金霧先輩。
先輩?
バレてますから安心してはしゃいでいいんですよ♪
そして、二人の後を追うようにして歩いていった左道さんが急に振り返って、笑みを浮かべながら言った。
「あ、勇人くんたち覗かないでねー」
「覗きませんよ!!」
まずそんな勇気、オタクには持ち合わせてない!
「え、覗かないの?」
「―法を知れ!!!」
勇気を持ち合わせている一般でもダメだわ!
「いや、アニメとかだったら覗いて、きゃーへんたーい!ってなるかなぁってな」
「浅見くん。“アニメだったら”ね。」






「おまたせ」
場所取りを済ませ、更衣室近くで待ってると金霧先輩が一番先に出てきた。
「おぉ…ぅ…」
浅見くんは金霧先輩を見るなり感嘆の声をあげていた。
ま、まぁ…確かに黒くて妖艶なビキニに似合いすぎるくらいのプロポーションだけど………あ、嫌な予感―
「やっぱり巨乳がいいんですか……へぇ…」
円香ぁぁぁぁぁぁぁぁあ!!!
「私も貧にゅ……無乳なりに頑張ったんですけどね!」
自棄になってるぅ!!
「円香もかなり似合ってますよ!」
純白のフレアトップ型ビキニで、すらっとした足がまた清楚さの中に大人な一面を感じさせてとてもいいですよ!
俺の必死の弁解もとい言い訳―
「円香“も”ですか」
やらかしたァッ!
金霧先輩も似合ってたからつい……。
「円香ちょっと来て」
「なんですか…」
いつもは恥ずかしくてあんまり言えないけどこうなったら拗ねてプンプンになるから―






【新天円香】





「ま、円香が一番かわいいから………じゃ、じゃあ先行ってますよ…!」

「…勇人くん……」

今かわいいって……。



私に可愛いって……。
「えへ…えへへ、へへ……」
つい変な笑いが漏れてしまいました。

「んふふ…嬉し…♪」





【左道真結】



「私は蚊帳の外かいこのやろうぅ!」







【新転勇人】






燦燦さんさんと降り注ぐ陽の光。
その光を受け輝く水面。
眩しいまでの笑顔を浮かべた部員たちのビーチバレー姿。


「俺ぇ…いつからラノベ主人公になったんだろ…」
このままだと小さなことがきっかけで鈍感系主人公になってT〇L〇VEるしたりインフィニットでストラトスなことになるかもしれない!

それにさっきから変な男たちが円香たちに変な目線を向けている。
円香たちは気づいてないだろうけどこれって、ナンパイベントってやつだよな?
ラノベ主人公が颯爽と助けに行って「そいつは俺の女だ!手ぇ出すなよ卍」的な事言ってナンパ男共を撃退するやつだよね?

神様は俺のことをラノベ主人公かなんかかと勘違いしてるんじゃないんですかね!!
あんな、人殺せそうなモヒカンなやつとモミアゲ野郎に睨まれたらちびるどころか全ての水分を放出しかねないですよ!
神様!?
ねぇ神様ァ!?


「まぁいざとなったら助けに行くけどさぁ…」
「ん?何か言ったか?」
「ううん、なんにも」
一緒に彼女たちを眺める浅見くんが、俺の漏れ出た言葉に反応した。

そんな浅見くんは、
「金霧先輩…魅力的だよなぁ」
彼女たち、ではなく“金霧先輩”しか見ていなかった。







「腹減ってきたな」
「そうだね」
未だ飽きずに、今度は水の掛け合いというなんとも微笑ましい遊びをし始めた彼女たちを眺め、腹の虫とにらめっこ。

俺はずっとこうして見てるだけじゃなく、ビーチバレーに混ぜてもらったりしたのだが、運が良いのか悪いのか、金霧先輩とペアになり、点を決めてハイタッチをするだけで怖い笑みを向けてくる人が一人。
そしてその一人とペアになったのは良いものの、一切点を決められずハイタッチは出来なかった。それによって彼女はしゅんと。


俺はと言うと普段行わない“日光に当たりながらの運動”をしたせいでかなり疲れてしまって休んでいる状態だ。

しかし疲れていても腹は減る。
「円香!そろそろご飯にしませんかー?」
俺は多少の罪悪感を感じつつ、楽しそうに遊んでる円香へ声をかけた。
「あっ、そうですね!一緒に買いに行きましょー!」
うん、実に楽しそうだ。
とてとてとこちらへ小走りで向かってくる三人。

左から、
Mマグニチュード1
M1
M5。


「むぅ…勇人くん今なにか失礼な事考えてませんでしたか?」
「な、なにも…?」
なっ―エスパーか我が彼女は!

「円香、人の価値はそこでは決まらないから、円香は優等生でかわいいから……ね?」
「どうしましょうかわいいって言われてるのに何故か腹が立ってきます」

俺は「まぁまぁ」と彼女をなだめ、二人で全員分の焼きそばを買いに行った。

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