従妹に懐かれすぎてる件
★四月五日「従妹と元気娘」
タイトルの先頭に★が付いた話は彩音視点になります。
佑真と彩音、それぞれのストーリーを楽しんでいただけたら幸いです。
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私、星月彩音は今日から高校生になります。
静岡県にある実家からゆうにぃの住む東京まで遥々やってきて、まだ右も左も分からないままの生活だけどゆうにぃには迷惑を掛けたくないし頑張ろうと思う。
ピカピカのセーラー服に着替えて外に出る。今は新鮮な気持ちだけどこれからは当たり前の日常になるんだよね。
そんな事を考えながら綺麗に整備された歩道を通り、最寄り駅に到着。
ホームの端で電車を待つ。
ゆうにぃが「痴漢とか危ないから朝と夜は女性専用車に乗れ」と出掛ける前に散々言っていた。別に大丈夫だと思うけど、ゆうにぃが私を心配してくれている事が凄く嬉しかった。
満員電車に揺られ、駅から学校まではまたしても徒歩での移動。
どこに行っても人が多いし正直気分が悪い。でもゆうにぃと一緒に暮らす為には避けて通れない道だし頑張らなくちゃ。田舎者って思われるのも嫌だし。
学校の校舎前にある広場に着くと私と同じ制服を着た人達が沢山いた。集合時間はまだ先だけど皆時間に余裕を持ってくるんだね。
見渡す限り知らない人。でもこの中に将来の友達がいるのだろうと思うと心が躍った。先程の気持ち悪さもどこかへ吹っ飛んだようだ。
その場でしばらく待っていると校内放送が響き渡った。式が始まるから体育館へ移動してほしいとのことだ。段々と歩を進める生徒達を見て、私も流れに合わせて歩き出す。
すると背後から女の子の叫び声が聞こえた。
「すぅみませぇーん!」
思わず振り返る。
私と同じ新入生とみられる女子がこちらに向かって走ってきた。
彼女は私の前で立ち止まり、ぜいぜいと息切れを起こしていた。
「はぁ、はぁ……。あの……まだ入学式始まってない?」
「えっと……ちょうどこれから始まるとこ……ですけど」
私が答えると女の子は頬を緩めながら
「良かった……。初日から遅刻とかマジ黒歴史って思ったけどなんとか救われたよ!」
「そっか。ギリギリセーフ、ですけどね」
「だよねー。ってかあなたも新入生でしょ? タメでいいよ全然!」
「あ、うん。ありがと」
女の子ははにかんだ笑顔をみせる。
彼女は濃いめの茶髪で長いポニーテールをしており、身長は私より頭一つ分高い。第一印象はズバリ元気なお姉さんって感じだ。
「それよりもう始まるんだよね? ウチ達も早く移動しないと遅刻しちゃう!」
「そうだね。じゃあ行こっか」
私の声掛けに女の子は元気良く頷いた。
彼女は水窪遥香という名前だそうだ。一緒のクラスになるといいなぁ。
◆
退屈だった式を終え、待ちに待ったクラス発表の時間。
先程の女の子、遥香ちゃんと一緒に貼り出された名簿から自分の名前を探していると、なんと私達は同じクラスである事が分かった。
「彩ちゃん同じだよー! やったー!」
「うん、良かった。私、知ってる人他に誰もいないから安心したよ……」
いつの間にか遥香ちゃんは私を彩ちゃんと呼んでいる。会話のノリも軽く、約一時間前に初めて顔を合わせた間柄とは思えないくらいだ。
「ウチも一人だったし、彩ちゃんと一緒で良かった!」
「うんうん!」
初日から友達もできて、高校生活のスタートとしては完璧だろう。
高鳴る胸をなんとか抑える私だったが、遥香ちゃんはそんな私をじっと見つめていた。あれ、何か私変な風に見えちゃったかな?
「彩ちゃんって…………めっちゃ可愛いね!」
「えぇ!?」
いきなり何!?
お世辞なのかな? こういう時ってどう答えればいいんだろう……。
「最初に見た時も可愛いなぁって思ったけどよく見るとヤバいね! ちっちゃくて細いし……羨ましいなぁ」
「いや、うん……あはは」
私は愛想笑いを浮かべるのが精一杯だった。
だってこんな率直に、しかも初対面の人に可愛いだなんて言われたこと無かったもん。ゆうにぃでさえ言ってくれないし……。
それに遥香ちゃんの方が私よりもずっと可愛いと思う。胸は結構ありそうだし脚も長いしモデルのような体型だし……。
「ねぇ、頭撫でていい?」
「え!? う、うん、いいけど……」
今度は私に触るの!?
驚く私をよそに遥香ちゃんは嬉しそうに微笑みながら手を私の頭に乗せて、さらさらと前後に動かした。
感触はとても柔らかくて心地良かった。だけどゆうにぃに撫でられた時のあの胸がドキドキする感覚は無かった。まあ、当たり前だよね。
顔を上げて遥香ちゃんの表情を伺うと彼女は幸せの頂点に達したような最高の笑顔をしていた。口元は緩んでおり、涎が垂れそうで心配になってしまう。
頭を撫でるのってそんなに気持ち良いのかな。今度ゆうにぃで試してみよっと。
「これからよろしくね、彩ちゃん!」
「うん。こちらこそ……よろしく」
ちょっぴり奇妙だけど元気溢れる友達ができました。
佑真と彩音、それぞれのストーリーを楽しんでいただけたら幸いです。
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私、星月彩音は今日から高校生になります。
静岡県にある実家からゆうにぃの住む東京まで遥々やってきて、まだ右も左も分からないままの生活だけどゆうにぃには迷惑を掛けたくないし頑張ろうと思う。
ピカピカのセーラー服に着替えて外に出る。今は新鮮な気持ちだけどこれからは当たり前の日常になるんだよね。
そんな事を考えながら綺麗に整備された歩道を通り、最寄り駅に到着。
ホームの端で電車を待つ。
ゆうにぃが「痴漢とか危ないから朝と夜は女性専用車に乗れ」と出掛ける前に散々言っていた。別に大丈夫だと思うけど、ゆうにぃが私を心配してくれている事が凄く嬉しかった。
満員電車に揺られ、駅から学校まではまたしても徒歩での移動。
どこに行っても人が多いし正直気分が悪い。でもゆうにぃと一緒に暮らす為には避けて通れない道だし頑張らなくちゃ。田舎者って思われるのも嫌だし。
学校の校舎前にある広場に着くと私と同じ制服を着た人達が沢山いた。集合時間はまだ先だけど皆時間に余裕を持ってくるんだね。
見渡す限り知らない人。でもこの中に将来の友達がいるのだろうと思うと心が躍った。先程の気持ち悪さもどこかへ吹っ飛んだようだ。
その場でしばらく待っていると校内放送が響き渡った。式が始まるから体育館へ移動してほしいとのことだ。段々と歩を進める生徒達を見て、私も流れに合わせて歩き出す。
すると背後から女の子の叫び声が聞こえた。
「すぅみませぇーん!」
思わず振り返る。
私と同じ新入生とみられる女子がこちらに向かって走ってきた。
彼女は私の前で立ち止まり、ぜいぜいと息切れを起こしていた。
「はぁ、はぁ……。あの……まだ入学式始まってない?」
「えっと……ちょうどこれから始まるとこ……ですけど」
私が答えると女の子は頬を緩めながら
「良かった……。初日から遅刻とかマジ黒歴史って思ったけどなんとか救われたよ!」
「そっか。ギリギリセーフ、ですけどね」
「だよねー。ってかあなたも新入生でしょ? タメでいいよ全然!」
「あ、うん。ありがと」
女の子ははにかんだ笑顔をみせる。
彼女は濃いめの茶髪で長いポニーテールをしており、身長は私より頭一つ分高い。第一印象はズバリ元気なお姉さんって感じだ。
「それよりもう始まるんだよね? ウチ達も早く移動しないと遅刻しちゃう!」
「そうだね。じゃあ行こっか」
私の声掛けに女の子は元気良く頷いた。
彼女は水窪遥香という名前だそうだ。一緒のクラスになるといいなぁ。
◆
退屈だった式を終え、待ちに待ったクラス発表の時間。
先程の女の子、遥香ちゃんと一緒に貼り出された名簿から自分の名前を探していると、なんと私達は同じクラスである事が分かった。
「彩ちゃん同じだよー! やったー!」
「うん、良かった。私、知ってる人他に誰もいないから安心したよ……」
いつの間にか遥香ちゃんは私を彩ちゃんと呼んでいる。会話のノリも軽く、約一時間前に初めて顔を合わせた間柄とは思えないくらいだ。
「ウチも一人だったし、彩ちゃんと一緒で良かった!」
「うんうん!」
初日から友達もできて、高校生活のスタートとしては完璧だろう。
高鳴る胸をなんとか抑える私だったが、遥香ちゃんはそんな私をじっと見つめていた。あれ、何か私変な風に見えちゃったかな?
「彩ちゃんって…………めっちゃ可愛いね!」
「えぇ!?」
いきなり何!?
お世辞なのかな? こういう時ってどう答えればいいんだろう……。
「最初に見た時も可愛いなぁって思ったけどよく見るとヤバいね! ちっちゃくて細いし……羨ましいなぁ」
「いや、うん……あはは」
私は愛想笑いを浮かべるのが精一杯だった。
だってこんな率直に、しかも初対面の人に可愛いだなんて言われたこと無かったもん。ゆうにぃでさえ言ってくれないし……。
それに遥香ちゃんの方が私よりもずっと可愛いと思う。胸は結構ありそうだし脚も長いしモデルのような体型だし……。
「ねぇ、頭撫でていい?」
「え!? う、うん、いいけど……」
今度は私に触るの!?
驚く私をよそに遥香ちゃんは嬉しそうに微笑みながら手を私の頭に乗せて、さらさらと前後に動かした。
感触はとても柔らかくて心地良かった。だけどゆうにぃに撫でられた時のあの胸がドキドキする感覚は無かった。まあ、当たり前だよね。
顔を上げて遥香ちゃんの表情を伺うと彼女は幸せの頂点に達したような最高の笑顔をしていた。口元は緩んでおり、涎が垂れそうで心配になってしまう。
頭を撫でるのってそんなに気持ち良いのかな。今度ゆうにぃで試してみよっと。
「これからよろしくね、彩ちゃん!」
「うん。こちらこそ……よろしく」
ちょっぴり奇妙だけど元気溢れる友達ができました。
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