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従妹に懐かれすぎてる件

きり抹茶

三月二十一日「従妹と起床」

「ね、眠い……」

 朝七時。
 隣で眠っている彩音を起こさないようにそっとベッドから降り立ち、軽く伸びをする。

 ほぼ休まることの無かった俺の身体は疲労に満ち溢れており、石のように重い。
 あれだ、例えるなら低スペックPCって感じだ。動きが鈍くて重たい。そしてやる気もない。

 だが俺には毎日の日課というものがあり、どんなに疲れていてもそれだけは実行すると心に決めている。休日にも関わらず朝早く起きたのもその理由だ。
 欠伸混じりにPCの電源ボタンを押す。そう、毎度恒例の情報収集。これは如何なる時であっても欠かすことはできない。

 いつも通り、RSSフィードからまとめサイトへ直行……と行きたかったのだが今回はブラウザを立ち上げて検索画面へ。
 隣で気持ち良さそうに眠る彩音を見ながら語句を考える。

『従妹 寝顔 萌え死ぬ』

 って違うから! 彩音を見た感想を検索してどうするんだよ。
 そうじゃなくて、従妹と同居生活とかいうマンガのようなこの状況。おかしいだろ?

『従妹 二人暮らし 対応策』

 よーっしこれだ、検索ぅ!
 勢い良くエンターキーを押し、画面をスクロールする。
 しかし表示されたのはラノベやらアニメの世界について語っているブログばかりで、現実世界で従妹と二人暮らししてる情報は見当たらない。

「くそっ! この役立たずネットめ!」

 愚痴が叫びとなって漏れる。
 ネットの世界は無限大ともいうが所詮人間が作ったツール。情報量は限りなく広がっても、種類には限界があるようだ。

「……むにゃ? ゆうにぃ、どしたの?」

 寝ぼけ眼をこすりながら起き出す彩音。

「悪い、起こしちゃったか」
「……スは?」

 彩音が何か囁いたようだったが上手く聞き取れない。

「ん、何か言ったか?」
「おはょぅ、のキス……は? ……しな、いの?」
「はぁ!?」

 朝っぱらからぶっ飛んでるなこの子は……。

「むにゃむにゃ……ゆ……ぅに、ぃ、キス……」
「あのー彩音さーん? 起きてますかー?」
「んっ……。あ、おはようゆうにぃ!」

 両手を目からどけた彩音がニコリと微笑む。
 あれ……? もしかして覚えていない?

「おぅ、おはよう……。その……さっき言ってたのは寝言か?」
「え、おはようのキス…………って私喋っちゃってた!?」

 口を大きく開けてあたふたする彩音。
 そんな姿も実に可愛らしい。

「一体どんな夢を見ていたんだ?」
「んっとね。ゆうにぃと……結婚する……夢かな」

 彩音は顔を赤くしてもじもじとしながら答える。
 それよりも彩音と結婚か…………。
 新婚生活……って何を俺まで想像しているんだ! 相手は高校生を目前に控えた従妹なんだぞ、自重しろ、俺。

「ねぇ、続き……してもいい? おはようのキス……」
「駄目に決まってるだろ! そういうのは彼氏とか作ってからやってくれ」
「えぇー。でもゆうにぃとは結婚したんだよ、だからいいじゃん」
「それは彩音の夢の中での話だろうが……」

 だがしかし、従妹となら法律上結婚は可能だ。
 つまり将来、俺は彩音と……。
 ってまた良からぬ妄想をしてしまったな。俺もしっかりしないと。

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