兜の将軍と亡国の姫と補佐官と

きりんのつばさ

嫁入り当日、その1

そして当日

「皆さん、今日はネルフェ様の結婚相手がいらっしゃる日です。各自の持ち場を再確認してください」
とジェンルが女中や他の執事に檄を飛ばしていた。とうとう姫が来る当日が来たのだった。
「庭園の花足りてないよ‼️」
「料理は準備できてるか?」
「おーいシーツの準備」

「皆さん今日は慌ただしいですね」
「そりゃ、今日嫁が来る日だからな。リセ、お前は何もやるなよ?」
「チッ」
「おい、今舌打ちしただろ。ジェンル」
「はい、リセさんが仕掛けたのは全て外してありますのでご心配ご無用です」と手には様々な物を持っていた。
「・・・リセ、後で説教な」
「ええ〜そんな〜」
ギロッと兜の中からリセを睨んだ。
「す、すみません。ですが本当に結婚するんですね。あんなに拒否していたのに」
「王からの命令だから仕方ないだろ・・・まぁ名目上の夫婦になればいいからな」
「ネルフェ様、まだ気にしているのですか」
「リセ、それは無し」
「すみません」と珍しく素直に謝罪をしていた
「いや、君は正しい。ただ私はこれからもこのスタンスで生きていく。リセは好きな風に生きてくれ」と私が言うとリセは私の右腕に抱きついてきた。
「私はネルフェ様の右腕です。右腕は死ぬまで一緒にいます」
「私はリセには自由に生きてほしい。私はなんとかするから」
「なら私は私の意思でネルフェ様の隣にいます。それが私の一番の幸せです」
・・その笑顔は反則だと思いながら
「そ、そうか」とぶっきらぼうに答えた。
「あ、ネルフェ様、照れてますね‼️可愛い〜」
「うるさい」

「アルシア国の姫様到着しました‼️」
「とうとう来たか。リセ行くよ」
「分かりました‼️」
私達が邸宅の門付近に行くと、本当に元とはいえ王族が乗っているのだろうかと誰もが思うぐらい質素というよりも地味な馬車が止まっていた。
「ジェンル」
「はい、どうかされましたか?」
「本当にこれであっているのか?」
「はい、こちらにアリシア国の王女が乗っていらっしゃいます」
「そんな馬鹿な・・・」と私が思っていると馬車の扉が開いて、1人の女性が降りてきた。
「・・・」
「綺麗・・・」とリセが珍しく女性を褒めるぐらいその女性は綺麗だった。
髪は漆そのものを思わせる黒
肌の色は髪とは真逆の透き通る様な白
そして瑞々しい四肢を持っていた。
「アリシア国から参りました。アリシア国、王女ラウラと申します。ネルフェ様はどちらでしょうか?」
「・・・」
「ネルフェ様、呼ばれてますよ」とリセに呼ばれて、やっと気づいた。
「あ、ああネルフェは私だ。ようこそ我が家へ。私はローザリア国将軍、ネルフェと言う」
「貴方がネルフェ様ですか。お噂はかねがね聞いております。この度は我が国の国民への配慮ありがとうございます」
「いや、あれは我が王が決めた事だから、私では無い。疲れているだろう執事に部屋まで案内させよう、ジェンル」
「かしこまりました。ではラウラ様こちらへ」
とリーアはジェンルに着いていった。

「ラウラ様でしたっけ?めっちゃ綺麗な人じゃないですか‼️これなら私も・・・」
「リセ、頼みがある」
「なんですかラブレターなら自分で・・・」と私が真面目な表情をしていたのを見たのか、普段の仕事の表情になった。
「ラウラから目を離すな」
「・・・分かりました」

とリセやがいなくなった後、私は考え事をしていた。
(彼女があの噂の悪女か・・見た目はとても良い。そりゃ見た目を使ってたぶらかしたりできるな。とりあえずはリセを監視につけて様子を見よう。何かあればすぐに離婚でもしよう。私の秘密がバレる前に)

続きます

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