俺が転生した世界はどうやら男女比がおかしいらしい
寝る前に
「ふぁあ...寝ますか」
時刻は午後11時50分。俺は前世から日付が変わる前には確実に布団に入ることを自らに課している。特にこれといった理由は特にないが、強いて言うとすればボーダーラインを決めないとずるずると夜更かししてしまいそうだからだ。
眠たげに目をこすりながらベッドに入り込む。
布団のこの異常な包容力は一体何なんだろうか。寝る前にこの安心感に包まれる俺は幸せ者だ。
俺はこの世に布団が存在する奇跡に感謝しながら目を瞑る。
眠る前の時間皆は何を考えているのだろうか?ちなみに俺はその日あった楽しい事や嬉しい事を頭の中で思い浮かべていることが多い。たまに自分がヒーローになるような妄想をする時もあるが、これは恥ずかしくて人には言えない。
そして例の如く今夜も頭の中で今日という日を思い描いていく。
今日も濃密な1日だった。
母さんへの初キス(おでこ)から始まり、桜咲さんマキさんとの再会、そして姉さんの偉大さを知った。
辛い事もあったが、その分嬉しい事もあったな。この世界に転生した当初は今世はイージーモードだとか調子に乗っていたものだが、やはり人生とはそう薄っぺらくなく簡単には行かないものだ。考えてみれば当たり前なのだがな。前原仁とはいえど15年の人生を歩んできていて、15年という歳月は様々な事を経験するには十分な期間だ。人1人の人生をイージーモードなどと称したのは俺が浅はかだった。
とまあ真面目な思考は此処までにして楽しい事でも考えるか。
今日あった楽しい事と言えば、そうだな。姉さんに膝枕してもらっている俺を見た母さんの反応がとても良かった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「大変!!!大変だよ!!ジンちゃんが学校に来ていないって先生から連絡が!!ど、どうしよう!?」
「「あっ」」
部屋に駆け込んできた母さんの言葉を聞いて、失態に気付いてしまう俺と姉さん。
あの時はついつい姉さんの魅力に負けて身を委ねてしまっていたから、学校の事なんて頭の片隅にもなかったんだよね。
「茄林聞いてるの!?ジンちゃんが....」
反応が芳しくない姉さんに痺れを切らした様子の母さんがリビングの入り口からソファの正面に回り込んで来たのだが、その瞬間膝枕されている俺を見て動きを止めた。
「ジンちゃんが...ジンちゃん?」
信じられないように俺の名前を繰り返していたな。
あれは気まずかった。何をどこから説明すればいいのか分からなかったからな。正に悪戯を母親に見つけられた子供といったところか。
「あー...えっと」
姉さんが少し汗をかきながら逡巡する。うまい言い訳が思いつかなかったんだろう。
「......っ」
母さんは目に決壊しそうな程の涙を溜め、体をフルフルと震わせる。
そしてその震える指先で俺たち2人を指差すとこう言った。
「...そういう関係だったんだ。お、お母さんに内緒でそういう関係だったんでしょっ!!」
「「えっ!?」
これには少し、いやかなり焦ったものだ。もう殆ど泣いている母さんが子供が癇癪を起こすように叫ぶのだ。誰でも動揺する。
「....学校に行かないで膝枕なんか...!だ、ダメだから!お母さんは許しません!......。....えっと、ジンちゃん?私の膝枕はどう?や、やってほしい?」
涙を拭った後、そんな提案をする母さん。学校をサボった事を怒っているのではなく、俺を膝枕している姉さんが羨ましかったみたいだ。
少し安心した。
「そらやって欲しいけど....」
俺はそこまで言って姉さんの顔をチラリと見た。絶賛姉さんに膝枕され中のため、母さんの太ももに浮気するのはどうかと思ったのだ。
「くすっ...いいよ?」
姉さんは微笑ましいものを見る目で母さんを見た後、クスリと笑って言った。
あれじゃあどっちがお母さんでどっちが娘なのか分かったもんじゃなかったな。
「やったっ!!」
飛び跳ねる母さんは本当に嬉しそうだった。
時々、というよりいつもこの人が40歳を超えている事は嘘なんじゃないかと思ってしまう。
その後仕事をほっぽり出してきた母さんに2時間ほど膝枕されましたとさ。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「ふふっ」
寝なければいけないのに、楽しい気分になりついつい笑みが漏れてしまう。
母さんは本当に可愛いし、姉さんは本当に頼もしい。あと心愛も本当に愛らしいし、うちの家族は最高だな!
そういえば母さんに膝枕してもらった後莉央ちゃんと美沙から電話がかかって来たんだよね。
『仁くん何で学校休んだんです?体調でも悪かったんですか?大丈夫ですか?....念の為聞きますけど女と遊んでたわけじゃないですよね?』
『今日学校に来なかったけど、何かあった?仁に何かあればあたしが助けてあげるから安心してくれ!
追伸 クラスの女子達が悲しんでいました」
最近思っていたのだが、莉央ちゃんって何処と無く鬼嫁の素質があるのかもしれない。言葉遣いはいつも丁寧語なのにたまに迫力があるんだよね。
美沙は美沙で対照的に良妻の素質があるんじゃないか?俺が事故にあって入院していた時に一度美沙に救われてるからな...。確かに弱い部分を見せた事があるから比較的甘えやすいところがあるからな。妹や弟がいればさぞかし良いお姉ちゃんになるだろう。まあ、うちの姉さんも負けてないけどな!
あと、クラスの女子達よすまない。
明日は超絶イケメンの俺を魅せるから許してくれ!
さてさて、調子に乗った所でそろそろお開きとしよう。
今日は色々な事があったが、総じて考えてみれば楽しい良い日だった。
願わくば、明日はさらに素敵な日であって欲しい。可愛い女の子達、復活した俺を待っていろ!
おやすみなさい。
時刻は午後11時50分。俺は前世から日付が変わる前には確実に布団に入ることを自らに課している。特にこれといった理由は特にないが、強いて言うとすればボーダーラインを決めないとずるずると夜更かししてしまいそうだからだ。
眠たげに目をこすりながらベッドに入り込む。
布団のこの異常な包容力は一体何なんだろうか。寝る前にこの安心感に包まれる俺は幸せ者だ。
俺はこの世に布団が存在する奇跡に感謝しながら目を瞑る。
眠る前の時間皆は何を考えているのだろうか?ちなみに俺はその日あった楽しい事や嬉しい事を頭の中で思い浮かべていることが多い。たまに自分がヒーローになるような妄想をする時もあるが、これは恥ずかしくて人には言えない。
そして例の如く今夜も頭の中で今日という日を思い描いていく。
今日も濃密な1日だった。
母さんへの初キス(おでこ)から始まり、桜咲さんマキさんとの再会、そして姉さんの偉大さを知った。
辛い事もあったが、その分嬉しい事もあったな。この世界に転生した当初は今世はイージーモードだとか調子に乗っていたものだが、やはり人生とはそう薄っぺらくなく簡単には行かないものだ。考えてみれば当たり前なのだがな。前原仁とはいえど15年の人生を歩んできていて、15年という歳月は様々な事を経験するには十分な期間だ。人1人の人生をイージーモードなどと称したのは俺が浅はかだった。
とまあ真面目な思考は此処までにして楽しい事でも考えるか。
今日あった楽しい事と言えば、そうだな。姉さんに膝枕してもらっている俺を見た母さんの反応がとても良かった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「大変!!!大変だよ!!ジンちゃんが学校に来ていないって先生から連絡が!!ど、どうしよう!?」
「「あっ」」
部屋に駆け込んできた母さんの言葉を聞いて、失態に気付いてしまう俺と姉さん。
あの時はついつい姉さんの魅力に負けて身を委ねてしまっていたから、学校の事なんて頭の片隅にもなかったんだよね。
「茄林聞いてるの!?ジンちゃんが....」
反応が芳しくない姉さんに痺れを切らした様子の母さんがリビングの入り口からソファの正面に回り込んで来たのだが、その瞬間膝枕されている俺を見て動きを止めた。
「ジンちゃんが...ジンちゃん?」
信じられないように俺の名前を繰り返していたな。
あれは気まずかった。何をどこから説明すればいいのか分からなかったからな。正に悪戯を母親に見つけられた子供といったところか。
「あー...えっと」
姉さんが少し汗をかきながら逡巡する。うまい言い訳が思いつかなかったんだろう。
「......っ」
母さんは目に決壊しそうな程の涙を溜め、体をフルフルと震わせる。
そしてその震える指先で俺たち2人を指差すとこう言った。
「...そういう関係だったんだ。お、お母さんに内緒でそういう関係だったんでしょっ!!」
「「えっ!?」
これには少し、いやかなり焦ったものだ。もう殆ど泣いている母さんが子供が癇癪を起こすように叫ぶのだ。誰でも動揺する。
「....学校に行かないで膝枕なんか...!だ、ダメだから!お母さんは許しません!......。....えっと、ジンちゃん?私の膝枕はどう?や、やってほしい?」
涙を拭った後、そんな提案をする母さん。学校をサボった事を怒っているのではなく、俺を膝枕している姉さんが羨ましかったみたいだ。
少し安心した。
「そらやって欲しいけど....」
俺はそこまで言って姉さんの顔をチラリと見た。絶賛姉さんに膝枕され中のため、母さんの太ももに浮気するのはどうかと思ったのだ。
「くすっ...いいよ?」
姉さんは微笑ましいものを見る目で母さんを見た後、クスリと笑って言った。
あれじゃあどっちがお母さんでどっちが娘なのか分かったもんじゃなかったな。
「やったっ!!」
飛び跳ねる母さんは本当に嬉しそうだった。
時々、というよりいつもこの人が40歳を超えている事は嘘なんじゃないかと思ってしまう。
その後仕事をほっぽり出してきた母さんに2時間ほど膝枕されましたとさ。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「ふふっ」
寝なければいけないのに、楽しい気分になりついつい笑みが漏れてしまう。
母さんは本当に可愛いし、姉さんは本当に頼もしい。あと心愛も本当に愛らしいし、うちの家族は最高だな!
そういえば母さんに膝枕してもらった後莉央ちゃんと美沙から電話がかかって来たんだよね。
『仁くん何で学校休んだんです?体調でも悪かったんですか?大丈夫ですか?....念の為聞きますけど女と遊んでたわけじゃないですよね?』
『今日学校に来なかったけど、何かあった?仁に何かあればあたしが助けてあげるから安心してくれ!
追伸 クラスの女子達が悲しんでいました」
最近思っていたのだが、莉央ちゃんって何処と無く鬼嫁の素質があるのかもしれない。言葉遣いはいつも丁寧語なのにたまに迫力があるんだよね。
美沙は美沙で対照的に良妻の素質があるんじゃないか?俺が事故にあって入院していた時に一度美沙に救われてるからな...。確かに弱い部分を見せた事があるから比較的甘えやすいところがあるからな。妹や弟がいればさぞかし良いお姉ちゃんになるだろう。まあ、うちの姉さんも負けてないけどな!
あと、クラスの女子達よすまない。
明日は超絶イケメンの俺を魅せるから許してくれ!
さてさて、調子に乗った所でそろそろお開きとしよう。
今日は色々な事があったが、総じて考えてみれば楽しい良い日だった。
願わくば、明日はさらに素敵な日であって欲しい。可愛い女の子達、復活した俺を待っていろ!
おやすみなさい。
「ファンタジー」の人気作品
書籍化作品
-
-
35
-
-
107
-
-
23252
-
-
4405
-
-
267
-
-
4
-
-
4
-
-
314
-
-
140
コメント