俺が転生した世界はどうやら男女比がおかしいらしい

めんたま

大会の終わり

「.......」

私、神崎莉央は絶句していた。いや、私だけではない。みんなだ。会場にいる、観客、係員、選手、仁くんの家族、みさみさちゃんみんな言葉を発せないでいる。

そんな私たちの視線を一身に浴びているのが、

「仁....くん?」

そう、仁くんのはずだ。絶対あれは仁くんだ。それなのに、まるで違う人に見える。

一体、どういうことです...?あれはいつものフワフワした優しい仁くんじゃないです。なんて言い表せば良いのか私の拙い語彙力では分かりません。しかし、一つ言えるのは、

「....綺麗」

ポツリと横に座っている仁くんの妹の心愛ちゃんが呟きます。
そうなのです、今の仁くんは、とにかく綺麗です。

それは仁くんが会場に入ってきた瞬間に感じた。

....違う。

いつもの仁くんとはもちろん違うし、何より周りの人間との存在感が違う。動作の一つ一つから溢れ出る気品が。感情の読み取れない、かと言って無表情というわけでもない不思議な表情がひき立てるその圧倒的な美貌が。

なんでしょうこの感じ....。神聖なものを目にしてるみたいです....。


仁くんは、ゆったりとした動作で的を射る準備を始めた。

....素人の私でも分かります。仁くんのフォームはとても綺麗です。何も分からないのに、なにも知らないのに何故か目を奪われるのです。

そして仁くんが、矢を放ちました。

キィイイン...
パァンッ!!

矢が速すぎて全く見えなかったです。仁くんが矢を放ったかと思えば既に矢は的のど真ん中に的中していました。
す、すごいです...。

その後も仁くんは的に的中し続け、仁くんの持つ4本の矢は全て的中した。

パチパチパチ...

あ、そういえば自分が持つ4本の矢を全て的中させることを「皆中かいちゅう」と言い、誰かがそれを達成すると拍手をする決まりがあるんでした。

パチパチッ!

私は精一杯拍手をした。
その時チラリと左右を見たのだが、仁くんのお母さん、お姉さん、妹さんは口をダラーンと開けて呆然としているし、みさみさちゃんは泣いていた。

「えっ?みさみさちゃん、なんで泣いてるんですか!?」

びっくりしました!

「だ、だって仁が凛々しすぎるから...。反則だあんなの....。普段とのギャップであたし死にそう....」

「お、大げさですよ〜」

そんな事を言う私だが、それが大げさでもなんでもないのはよく分かる。
かっこよすぎるのだ。普段はどちらかと言えば可愛い感じなのに、さっきの凛々しさは一体何なのか。

....仁くんの魅力は天元突破していますね。



大会は午後3時半に終了した。

なんと、仁くんが予選、決勝と通じて射った合計12本の矢は全て的に的中してしまいました。仁くんが的中する度に、会場はざわついていましたね。仁くんの活躍もあり、春蘭高校は団体戦初優勝を果たしました。表彰式の時は皆仁くんに熱い視線を送っていました。しかし、仁くん1人の力で優勝はできません。同じチームの人達も努力と涙を重ねて今があるのでしょうから、私はチームみんなに心からの賞賛の拍手を送りました。


そして現在、私は武道館の入り口で仁くんの帰りを待っている。

「ジンちゃんかっこよかった....」

「そうだね...」

「お兄ちゃん最高だった...」

「「「....ふぅ」」」

隣で仁くん家族が遠い目をしながらボソボソ言っている。家族ですらこの反応なのだから、この会場にいた女は皆仁くんに魅了されたに違いない。
ちなみにみさみさちゃんは隣でボーっとその赤い顔とは反対の、青い空を見上げている。

あー...いつもの笑顔の仁くんと弓道をしてる時の凛々しい顔の仁くんとが私の頭の中に交互に現れて私を揺さぶってきます。
うぅ...素敵すぎですよ仁くん.....。

私は両手を重ね胸の前でギュッと握りしめ、仁くんが来るであろう入り口をジッと見つめるのだった。
 

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コメント

  • アマスさん

    はい、仁君はかっこいいです!

    4
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