俺が転生した世界はどうやら男女比がおかしいらしい

めんたま

母さんとのデート

あぁ〜

  天気は晴れ。気温は少し暖かめで少しでも気を抜くと眠ってしまいそうなほど心地よい。

俺は青い青い空へと顔を向けながら、駅の時計塔の下のベンチに座り背もたれにもたれながら、ぼーっとしている。
...気持ちいい〜。

今日は祝日、部活は休みだ。

なぜ俺がこんなところにいるかというと、母さんとのデートのためだ。

この間拗ねてしまった母さんに約束したからな。俺は約束は守る男なのだ。

家は同じなのだから一緒に家を出ればいいのだが、母さんは「待ち合わせっていうのが大事なの!」と力説していた。母さんは先に待ち合わせ場所で待つつもりだったようだが、女の人にそんなことをさせるわけにはいかない。無理矢理俺が先に待ち合わせ場所で待っておくことを納得してもらった。

そして母さんが来るまでこうしてぼーっとしてるというわけだ。


おっ?視線の端っこに、こちらに近づいてくる人が写る。母さんかなっ?

「母さっ....」

バッと立ち上がり、初デート記念ということでサービスで抱き付こうとする。

しかし、

「およっ?暇そうにしてたからいけるかと思ったけどもしかして脈アリな感じ?」

俺に近づいて来たのは母さんではなく、1人の金髪ギャルだった。

.....またナンパか。嬉しいし、普段なら遊んでもいいんだけど、今日は母さんとのデートなんだよね〜....。

「あ、す、すみません。人違いでした。人と待ち合わせしてるので今は遊べないです。また今度見かけたら誘ってくださいね」

丁寧に断っておく。

「そっかあ、それは残念。また今度遊ぼうね〜。それじゃあねっ」

「えっ?」

「なんであなたが驚くの?」

「いや、案外すんなり引くんだなと思いまして...」

「あー、他の人と待ち合わせしてるのに無理やり連れてったら可哀想でしょう。私は男の子は大好きだし遊びたいけど、それ以上に大切にしたいのよ」

笑いながらそんなことを言う。

.....なんだこの人。とてもいい人じゃん。顔はこの世界でも美人な方だし、ナンパなんてしなくても彼氏とかいそうなのにな。

これはハーレムを目指す者として見逃せない。

「あ、あの!」

この場を去ろうとする女の人を引き止める。

「ん、どした?」

「ラ、ラインを交換しませんか?」

「....私は大歓迎だけど、いいの?」

「はいっ!僕はあなたのことがとても気に入ってしまいました」

「っ!そ、そう。わかった、交換しよっか」

笑顔で手を握ると少し驚いたようだが、最終的にニマニマしながら了承してくれた。

そして俺はラインを交換した。名前は、近藤恵令奈こんどうえれな
手を振りながら近藤さんとまた今度遊ぶ約束をして別れた。

俺は、俺が最低な事をしていると自覚している。それでも俺はハーレムを目指すのだ。
俺は人を愛すのが大好きだし愛されるのも大好きだ。自分を偽ることなく、愛す人に曝け出すというのはとても気持ちの良いものだ。それならば愛す人数も愛される人数も多い方が幸せであると俺は考えている。暴論だ、分かっている。でも、俺はハーレムを目指したい。
なぜなら!!!


男の夢ってのは、そういうものだろ?



俺君、さいてー。




近藤さんと別れたすぐ後に母さんが到着した。

「ご、ごめんね!遅くなっちゃった!」

「ううん、全然大丈夫だよ」

どうやら近藤さんのことは見られていないようだ。よかった。女の子を何人も引っ掛けてる俺が最低なのは分かっているが、それでも母さんを大好きなのは本当だし、母さんを悲しませたいわけではないのだ。

「そ、そそれじゃあジンちゃん!デートに!行くよっ!」

母さんは本当に、それはもう楽しそうに言う。こうして見ると、天真爛漫で可愛いらしい美少女みたいだな。母さんは童顔だし。

「うん行こっか。じゃあ、はい」

俺はそう言って手を差し出す。

「....?」

母さんはよく分からないようだ。
しょうがないな。

「デートなんだから手を繋ごうよ?ほらっ」

母さんの手を取る。

「そおおおい!?い、いいんだね!?ジンちゃん、いいんだね!?」

母さんの反応は相変わらず最高だな。この前の莉央ちゃんとのデートでは手を繋ぐまで頭が回らなかったことを終わってから後悔したのだ。今回はそんなミスは犯さない。

「いいよ。僕は母さんのことが大好きなんだから」

「だ、だだっ!?わた!私も!大好きだよ!なんならジンちゃんの子供を産みた....もごっ!?」

....何を言い出すのかなママは。慌てて口を塞いで正解だった。色々アウトな発言だったぞ。いや、別に嫌というわけではないんだが、息子にそれを言うのはマズイでしょう。

「さ、母さん行くよ」

「むぅ....」

母さんは最後まで言わせてくれなかったことが気に食わないようだ。頬をプクッと膨らませてる。
俺は母さんの頬を指でつついてみる。

つん

「ぷすッ」

可愛い音を出しながら母さんの頬から空気が抜けた。

「あ、あはは!」

「ジ、ジンちゃん!もうばかっ」

口ではそう言ってるが母さんはとても楽しんでるようだ。周りにいる人たちはイチャイチャしてる俺たちを、というか母さんをむちゃくちゃ睨んでる。母さんは何も応えていないようでふふんっと視線を返している。そんなドヤ顔も可愛いよ母さん。

「じゃあこれからどこ行こっか?」

俺は繋いでいた手の指を絡ませながら、聞く。謂わゆる恋人繋ぎだな。その瞬間周りからの殺意が高まったが、まあ大丈夫だろう。

「はう....。わ、私に任せて。今日の為にプランを考えてきたんだよ!」

おお、頼もしいな。じゃあ任せてみようか。

「それは楽しみだね」

「うん!じゃあ行こっ!!」


その後、母さんとは本当に色んなところに行った。どうやら母さんはこのデートのことをかなり楽しみにしてくれていたようだ。嬉しい。

「ふふっ、大人の財力を見せてあげるよジンちゃん!」

と言って高級レストランに行きお腹いっぱい食べたのはいいものの、母さんの手持ちでは支払いが数百円足りず、結局俺がその分を支払った時はそれはもう大笑いしてしまった。思ったより料理の値段が張ったらしい。母さんは顔を真っ赤にして俯いてプルプルしてた。

その後銀行に行きお金を下ろした母さんは、

「つ、次はラウ○ドワンでバドミントンしよっか!私こう見えて昔バドミントン部だったんだよ!そこそこ強かったんだよ!」

そう得意げに言っていた母さん。

「ふふ、手加減してあげるから全力で来ていいよジンちゃん!」

俺はその言葉通り全力でスマッシュを母さんのコートに叩き込んだ。

ズパァンッ!!

「.....わ、私もちょっと本気出そうかな」

ズパァンッ!!

「ジ、ジンちゃんもうちょっと優しく....」

ズパァンッ!!

「.....」

ズパァンッ!!!!

「うぇ....うぇえええええん!!」

母さんはついに泣き出してしまった。

ちょ、ちょっと調子に乗りすぎたかな。ごめんね母さん?

そう思った俺は母さんの頭を撫でて頑張って慰めた。

「わ、私弱くないもん....」

「うんうん母さんは強いね」

そう言いながら。

その後も、母さんは色々あの手この手を使って格好つけたかったようだがことごとく失敗した。とにかく母さんはおっちょこちょいなのだ。

そして現在。

「うぅ...ぐすっ。私だって格好つけたかったんだよ...。私はこんなでもジンちゃんのお母さんだもん....」

「かっこいいかどうかはわからないけど、すごく可愛いかったよ母さん」

待ち合わせ場所であった時計塔の下のベンチに座り、頭をよしよししながら母さんを慰めている俺。

「そ、そう?」

お、少し嬉しそうだ。

「うん。さすが僕の母さんだよ、母さんの息子で本当によかったよ」

「ジ、ジンちゃん....」

「格好つけようとする母さんも可愛くて好きだけど、俺はやっぱりいつもニコニコして俺を甘やかしてくれるいつもの母さんが好きだな。そのままの母さんが、俺は大好きだよ」

俺は母さんの髪を撫でつつ言う。

「うぇ....ぐす。....ありがどうジンちゃん...こんないい子が生まれてきてくれて本当に私は幸せだよぉ...」

「大袈裟だなあ」

「違うもん....」

そうしてイチャイチャしていると、


「あ、あれ!?仁!?母さん!?ふ、2人で何してるの!ず、ずるい!」

こちらを見て叫ぶ黒髪の女性が1人。

な、なんだと?姉さん、なぜここに!?駅は大学からの帰り道にあったのか!

「あ、茄林。え、えへへ。デートだよ」

「はい!?ちょっと、どういうこと!?」

「ふふんっ!羨ましいでしょ!」

母さんと姉さんはギャアギャア騒ぎ始めた。

うちの家族は本当に騒がしいなぁ。

俺はその光景をぼんやりと見ながらそんなことを思うのだった。

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コメント

  • ウォン

    お母さん「そおおおい」って笑笑

    1
  • ノベルバユーザー186807

    そうですなぁ

    3
  • アマスさん

    ほほえましいですなぁ

    5
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