[休止]第四王女は素敵な魔法幼女。

芒菫

過去のお話 ⑤


「えっ!?あ、わ、私のことですよね・・・。すいません。」

「謝る事はありませんわ。二重表現と言うのは人間必ずやってしまう事ですもの。」

腕を組んでいるので、確かに偉そうには見えるが言っていることは単なるそこだけの指摘だった。
ただ、二重表現の意味が解らない事に関しては何とも言えなかった。
と、考えていると隣に座っているカトレアちゃんが、こんな話を持って行った。

「へぇ、貴方意外と文章力とかに強いんだね。そんなに凄い召使いさんがいるんだね。私も教えてもらいたいよ。」

と、そう言ったのだ。何もかもお見通しのように話している。

「なっ!?なんで、今私の考えていたことを!?まっ、まさか貴方!」

「気づいてもらえてうれしいよ。私は魔法使いであって、1つの能力としての内容は人の心を悟す能力だからね。だから、君がどれだけ緊張しているとか、皆がどれだけの悪巧みをしているかなんてお見通しだよ。」

何気なくいったが、彼女は魔法使い。魔法使いと言えば、ここは魔法学校だ。確かに、魔法使いなら魔法学校に入ると言うのはなおさらと言える。でも、皆の悪巧みと言うのは一体どういう意味なのだろうか。

「ねぇ、カトレアちゃん。一つ聞いても良い?」

「ん?どうしたの?エリー」

「みんなの悪巧みってどういうことなの?」

私がそう聞くと、よく聞いてくれました!というようにニコッと笑い、彼女も同じく腕を組んだ。

「そうだね。今先生たちが見てないってみんな思ってるでしょ。毎年毎年あるんだよ、この受験科目が。この科目は、どれだけ落ち着いていられるかと言うのを目的とした試験。要するに、試験はこの教室から先生が出て言った時点で始まりを告げているという事なんだよ。」

カトレアちゃんに続けて、正面の女の子もその話につなげて話をした。

「そう、今この部屋は先生たちの魔法によって監視下に置かれているんですわ。もし、この状況でふざけて遊びまわっているならば第二試験は受けられず、そのままここでずっと待機、何も言われないまま試験が終わって評価点0として再び試験を受ける資格が無くなるっていうことですの。」

つまり、私たちはこうして座って落ち着いて話をしている。なので事実上、次のステージに進めることは確定していると、カトレアちゃんは話してくれた。
綺麗に、私の質問に答えてくれたことで、そのもう一人の女の子に問わなければいけない質問があった。
名前についてだ。

「そ、そういえば・・・。カトレアちゃんの名前は聞いたけど、貴方の名前は聞いていないですよね。お名前は?」

そう聞くと、彼女は腕を組むのを止めて、綺麗に腰を掛け直した。
乾きかけている彼女の唇からは、緊張している様子が見られたが数秒後、話を始めた。

「私の名前は、アシュリー・ビオラ・ロータス。魔法名家ロータス家の一人娘ですの。よろしくですわ。カトレアさん、エリーさん。」

彼女がそう言うと、カトレアちゃんが目を大きく開き、ギンギンに輝かせて

「ロータス家と言えば、あのロータス公爵家じゃないですか!超有名な魔法名家の娘さんとは・・・。なんまいだ~なんまいだ~」

「南無阿弥陀仏は関係ないですわよ。まぁ、共に合格した時はよろしくお願いいたしますわ。」

彼女たちは何でも知っていて物知りだ。エルも凄いけど、彼女たちだって私と同年代なのに何でも知っている。私が詳しいのはお花の話くらい。
やっぱり、凄い。この学校は凄いと思った。これだけ物知りだったり、実力のある人たちが集まるんですもの。
私もみんなみたいになりたいな。

そう思っていると、教室のドアが、突然ガラガラと開き、女の先生が1人入って来た。
あの人は確か、昇降口で呼びかけをしていた先生だ。
教卓の前に立つと、殆どの子たちは遊んでいたので、呆れた顔をしてこう話した。

「これより試験を開始します。今回は、順番製法を抜かし、指名した方から試験を始めさせていただきます。まず、初めにカトレア・M・べアリー。ついて来なさい」

呼ばれると、彼女は椅子を引いて立ち上がって

「あ、呼ばれたから行くね。はーい」

私と、アシュリーちゃんは一緒に頑張ってね。の声掛けをした。
カトレアちゃんは振り返って、ガッツポーズをしてうん!と言い、教室を出ていく。

試験の始まりだった・・・。


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