クラス転移〜オタク共が活躍する世界〜

隙間の隙に

殺気をさっき感じたんだ、能力を知りたい俺がいる


遂に異空間を出た俺は目の前に見える大豪邸に向かっている。
今は茂みの中を歩いている。
異空間が茂みで途切れていたからだ。
せめて豪邸の玄関の一歩手前にして欲しかった。
こういう細かい事まで気を使えないなんて、あの神アープはどうかしているだろう。
そんな事はどうでも良いが、俺が心配しているのは…、不法侵入者として捕まるかもしれないという事だ。
適当に言い訳をすれば良いかもしれないが、後々面倒くさくなるだろうし、何より自らで自らの墓穴を掘りそうだ。
こういう豪邸に住む人は正直に事を言えば許してくれると相場が決まっている。

そう、その時は気楽に物事を考えすぎていた、まさか自分にあんな事が起こるなんて…。

的な展開が起こるはずもなく、俺は茂みを出た後にこの豪邸に勤めている執事に

「話は伺っております、どうぞお屋敷にお入り下さい」

と、言われた。そのおかげで、難なく入れたが…面白くない展開で少し残念だ。
そう考えられるのも、事が順調に進んでいるからであって、順調に進んでいなければ、今頃心の中で愚痴を神アープに向けて言っていただろう。
人は贅沢を知るとダメになってしまうからな、そう、俺の目の前にいるこの屋敷のお嬢様のように。

「何だお前、顔に私を非難するような言葉がたくさん書いてあるぞ」

ついでに勘がいいのもなお悪いな…。
髪がロングで腰に届くか届かないぐらいで見た目は良いのに…。
それと、俺と同じ歳ぐらいに見えない少し幼い顔をしてるのも良いのに…。

「そんな、急に褒めらても…、何もやらんからな!」

見た目が良い、しか読み取らないとは…。
俺のど肝を抜くほどの完全に自己中心的な考えしか出来ないだろう。

「何を、私にだって人の事を考える事ぐらいできるわ!」

なら、やって見せて欲しいものだ、と思いたいとこだが、今俺は客と言う立場である事を忘れていた。
しかも今はそんな事を考えている暇ではない、もっと聞くべき事がある。

「ん、急に真面目な顔になったな、やっと今やるべき事に気が付いたか…」

癇に障る言い方だな、それは後で処置するとして、まずはこの世界の事を聞こう。

「そんで、お嬢様〜何で俺の事知ってんすか?」

げっ、しまった、ついいつもの調子で喋ってしまった。
さっきの人とはまた別の若い執事が部屋の隅から殺気を出している。
若いから血の気が多いのだろうか、それともただ単にお嬢様への態度が悪かったからなのか…?
恐らく、後者だろうが別に気にしないがな。
そのまま話をしようとしたら、

「おい、お客様相手に殺気を出すな、失礼だろう」

その時、お嬢様の声のトーンが低くなり、顔が笑っていたが人一人程度なら殺しそうな冷酷な笑顔だった。
その時、目が一瞬赤く光ったのは、俺がさっきまで暗い所にいた疲れだったのだろう。

「それと、私の名前は リリア・レクリア、この屋敷の人からはリアと呼ばれているわ、以後お見知り置きを…。自己紹介って面倒よね、それとあなたの名前は坂浦さかうら天旡あまきであってるわよね」

何だ、意外としっかりした所もあるじゃないか…、そう思えたのは言葉どうりにあっと言う間だった。
というか、いちいちこんなのに反応してしまっては上手く話を続けられない。
取りあえず、俺は何故俺を知っているか聞いた。
どうせ、アープ経由だろうが…。

「合っていますけど、なぜ知ってるんですか?」
「…敬語じゃなくて良いわ、あなたの敬語を聞くと気持ち悪くなるわ」

答えになってないじゃないか、今は敬語よりも大事な話があるだろうに。
まず、今日初めて会った人に気持ち悪いとか初めて言われたぞ。今は流すけど…。

「はいはい、それでリアは、誰から俺の事を聞いたんだ?」
「それはねぇ、アープって神からだったわ、それで貴方と貴方の仲間を一時的に預かって欲しいって」
「そうか、今更だがこの世界も俺らと同じ言語なんだな」
「本当に今更ね」

本当に今更だがどうでも良い事を聞いた。

「そりゃそうよ、私たちの世界、レカリアは貴方達の世界と日本をモデルに造られたんだから」

意外に重要なことだったんだなこれ…。そうなると時間とかも同じなのか…?

「貴方の想像通りここは、一年を365日で回っているは、分や秒とかも貴方達と同じよ」

おぉー、時差ボケとかしないようになってるんだな。感心するべきとこはそこではないんだがな…。
そういえば、能力のこと神から聞いてないか、聞いてなかったな。
物は試しに聞いてみようか。

「リア、お前って神から俺の能力のこと聞いた?」
「能力の事なら聞いたよ、あれ、教えてもらってないの?」
「時間がないとか言われてな、だから教え教えてくれ」
「良いわよ、別にそれぐらいなら」

何だ、教えてくれないと思ったが、案外すんなりと承諾したな…。
そう考えたさ、あと数文字で能力が分かったのだから、しかし、何でここで来るんだよ。

「お話中失礼します、他の方々がご到着しました」

何でここであいつらが来るんだよ、嫌がらせなのか、世界が今度こそ俺に背を向けたのか分からないが、兎に角来るタイミングの悪いクラスメイトに俺は怒りを感じるだけだった。
結局、話を長くした俺が悪いんだがな、能力を知るのはまた次回に持ち越しか…。
待つの面倒くせ〜な、そう思いながら呑気に部屋を移動する俺がいた。

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