二週目村人は最強魔術師!?~元村人の英雄譚~
元村人、報告する。
「おっさーん、いるかー?」
行きつけの鍛冶屋、賢龍鍛冶屋の前で声を張り上げる。
普段は、ユーリを連れてくるところなのだが、今回は俺一人だ。
「なんじゃ、こんな朝早くから……」
賢龍鍛冶屋の店長、ラカンが眼をこすりながら店先に出てくる。
「どうした、小僧?ってどうしたんじゃ、その左腕は!!」
ラカンがなくなった俺の左腕を指さして叫んだ。
「うるさいな、見ての通りだ。モンスターにやられたんだよ」
「本当か?小僧の左腕を奪うほどのモンスターとは、いったい何と戦ったのじゃ?」
言っていいものか悩んだが、結局素材を見せるのだから同じだと思い、ラカンに語りだした。
「あんまり、と言うか誰にも言うなよ?」
「分かっておる、さっさと話さんか?」
「ああ、分かってる。黒龍と戦ったんだ」
「マジか?」
「マジだ。ついでを言うと、黒龍の王だな」
「は?とうとうわしは耳がおかしくなったかの?」
まあ、いきなりそんなことを言われれば当然の反応である。
「おかしくなってないって!俺が黒龍如きに後れを取ると思うか?」
「……思わないな」
ラカンは納得はしていない様子だったが、引き下がってくれた。
「それで?どうしてわしの所に顔を出したんじゃ?」
「ったく、分かってんだろうが」
ガシガシと、右手で頭を掻く。
「は、は、は、まあな。どうせ武器を作れとか、防具作れとかそんなとこじゃろ?」
「まあな、半分あたりで半分外れだ」
「ほう?」
「今回は、義手を作ってもらいに来たんだ」
俺は、アイテムポーチから黒龍王の鱗を一つ取り出す。
「なぁあぁあああああああ」
ラカンが突如奇声を上げる。
「ど、如何した?」
「こ、この鱗をどこで?」
「さっき言った黒龍王のだよ」
「や、やはりか」
ラカンは、鱗に見惚れ心ここにあらずと言った感じだ。
「これで、義手を作ってくれ。可能なら一週間以内に」
「わ、分かった。今日中に作り上げて見せよう!!」
そう言い残すと、厨房の奥に消えていく。
「おい、ちょっと待てよ!!」
俺は、ラカンを引き留めた。
「なんじゃ?」
「まだ、黒龍王の素材はあるから、それも全部使ってくれよ」
ポーチから黒龍王の素材をすべて出す。
賢龍鍛冶屋の店先には、黒龍王の素材の山が出来上がった。
「フォッフォフォーイ!!レア素材の山なのじゃーい」
完全に、ラカンのテンションが可笑しなことになっているが、俺の手に余る存在なので放置しておく。
「それじゃ、頼んだぞ!!」
俺はそそくさと、賢龍鍛冶屋を後にした。
次に俺は、冒険者ギルドに向かった。
「あ、シードさんじゃないですか、ってどうしたんですか!その腕は!!!」
「ああ、これか?」
俺は、フードを取って左腕を晒す。
「モンスターにやられたんだよ、あんま気にしないでくれ」
「そ、そうですか……それで今日はどうしたんですか?」
「依頼達成の報告と素材の買取にな」
俺はゴブリンの素材をカウンターに出す。
「え?わっ、わっ、わ」
「すまないな、ちょっと狩り過ぎちゃって」
俺はガシガシと頭を掻いた。
「ちょ、ちょっと待ってくださいね、急いで鑑定しますので」
そう言い残して、フラフラとカウンターの奥に消えていった。
しばらくして、カウンターの奥から筋骨隆々としたおっさんが出てきた。
「きみか?大量のゴブリンを狩ってきた新人冒険者は」
「ええ、おそらくは」
「それじゃあ、ギルドマスター室に来てもらおうか」
「は?ギルドマスター室?」
このおっさんが何を言っているのか全く理解できない。
「ああ、そう言うことか。すまない、自己紹介が遅れた。俺はここ、ライングラン冒険者ギルドのギルドマスター、ルーク・アルフォギアだ」
そういってギルドマスターと名乗るおっさんは頭を下げた。
「す、すいません。僕も自己紹介が遅れました。新人のシード・グリシャスです」
「なかなか礼儀正しいな」
感心したようにルークが呟いた。
「そうですか?」
「ああ、冒険者ってのはもっと血気盛んで礼儀のなってないようなのばっかりだよ」
そういって快活に笑った。その姿を見て悪い人じゃないと本能的に察した。
「それで、何で新人の僕がギルドマスターに呼び出されるんです?」
「今回のゴブリンの買い取り価格がちょっとな」
ギルドマスター、ルークは少し申し訳なさそうに告げた。
「お金にならなかったんですか?」
「いや、そんなことはない。ただちょっとばかし問題があるんだ。詳しい話はギルドマスター室で頼む」
そういって、ルークはまた頭を下げた。
「頭を上げて下さい、そう言うことでしたらギルドマスター室に決ましょう」
「すまない」
俺は、ギルドマスターと受付嬢に連れられてギルドマスター室を訪れた。
「で?話って何なんですか?」
「さっきも言ったと思うが、ゴブリンの買い取り価格についてだ」
ルークは、亜空間のようなところから大きな袋を取り出す。
「これが買い取り額の半分だ」
「これで半分ですか?」
「ああ、お前が持ってきたゴブリンは上位腫が多くてな三分の二くらいがそれだったんだ」
「とはいえ高すぎやしませんかね」
俺はジトッとした目でルークを見る。
「やはりばれているか……君が左腕を失ったと聞いてな」
「それとこれとは話が別でしょう?」
「君も人が悪いな、ニーアの話を聞くところそこいらのモンスターにやられるほど君は弱くないそうじゃないか」
「お褒めに預かり光栄です。それで?」
「だとしたら君は何にやられたのか、ギルドマスターとして調べないわけにはいかない。だから買い取り額に色を付けたのだよ」
「なるほど」
確かにそうかもしれない。しかし、これは色を付け過ぎじゃないだろうか?
「そう言うことなら話しましょう。僕は黒龍王にやられたんですよ」
「黒龍王だと?それは本当か」
「ええ、ここまで買い取り額に色を付けてもらって嘘をつくわけがないでしょう?」
「それもそうだな。して、黒龍王はどうなった?」
「もちろん討伐しましたよ?」
「なに?ならば証拠となる品を見せてもらおうか?」
ルークは試すような目で俺を見てくる。
俺はアイテムポーチから欠けた黒龍王の鱗を取り出した。
「むむむ、確かにこれは黒龍王の鱗だな……だとすれば買い取り額はこんなものでは全く足らないな」
「でしたら、こちらから提案があるのですが……」
俺は、おずおずとルークに申し出た。
「魔剣がほしいのですが……」
「魔剣だと?」
「はい」
「黒龍王を討伐する程だ、相当良い装備を持っているのだろう?」
「はい、確かに持ってはいるのですが、奥の手のようなもので……それに近いうちに護衛の依頼があるので、人に見せても大丈夫なものがほしいなぁと」
「なるほど……であれば俺が良いものを見繕ってやろう。何かリクエストはあるか?」
「そうですね、可能であれば、敵の生命力を吸って攻撃力を上げるようなものがほしいです」
「分かった。手に入り次第連絡を入れよう」
交渉が成立し俺たちは、ギルドマスター室を後にした。
俺は、大きな袋を抱えて冒険者ギルドの外に出る。
「よう、坊主。いいもん持ってんじゃねえか」
そういって声をかけてきたのは、なんとも冴えない顔をしたおっさん三人組だった。
「なんですか?」
俺は、ものすごく鬱陶しそうに返事をした。
「なんだよその態度は」
「そうだそうだ」
取り巻き二人が声を上げる。
「だから、何なんですか」
「いや、見たところ腕をやられて冒険者引退かと思ってな、有り金を全部貰おうと思ったわけよ」
「いやだと言ったら?」
「力づくで奪うまで!!」
おっさんが地面をけって俺との距離を詰める。
はっきり言って遅い。ナメクジの方が早いんじゃないだろうか?
「遅いよ」
俺は足払いで軸足を払いおっさんを転倒させる。
「よ、よくも兄貴を!!」
「そうだそうだ」
取り巻きが同時に殴りかかってくる。
まあ、同じ手法でこかしてやったが。
「それじゃ、さようなら~」
俺はおっさんスリーに手を振ってその場を後にする。
家に帰ると、ある一通の手紙が届いていた。
行きつけの鍛冶屋、賢龍鍛冶屋の前で声を張り上げる。
普段は、ユーリを連れてくるところなのだが、今回は俺一人だ。
「なんじゃ、こんな朝早くから……」
賢龍鍛冶屋の店長、ラカンが眼をこすりながら店先に出てくる。
「どうした、小僧?ってどうしたんじゃ、その左腕は!!」
ラカンがなくなった俺の左腕を指さして叫んだ。
「うるさいな、見ての通りだ。モンスターにやられたんだよ」
「本当か?小僧の左腕を奪うほどのモンスターとは、いったい何と戦ったのじゃ?」
言っていいものか悩んだが、結局素材を見せるのだから同じだと思い、ラカンに語りだした。
「あんまり、と言うか誰にも言うなよ?」
「分かっておる、さっさと話さんか?」
「ああ、分かってる。黒龍と戦ったんだ」
「マジか?」
「マジだ。ついでを言うと、黒龍の王だな」
「は?とうとうわしは耳がおかしくなったかの?」
まあ、いきなりそんなことを言われれば当然の反応である。
「おかしくなってないって!俺が黒龍如きに後れを取ると思うか?」
「……思わないな」
ラカンは納得はしていない様子だったが、引き下がってくれた。
「それで?どうしてわしの所に顔を出したんじゃ?」
「ったく、分かってんだろうが」
ガシガシと、右手で頭を掻く。
「は、は、は、まあな。どうせ武器を作れとか、防具作れとかそんなとこじゃろ?」
「まあな、半分あたりで半分外れだ」
「ほう?」
「今回は、義手を作ってもらいに来たんだ」
俺は、アイテムポーチから黒龍王の鱗を一つ取り出す。
「なぁあぁあああああああ」
ラカンが突如奇声を上げる。
「ど、如何した?」
「こ、この鱗をどこで?」
「さっき言った黒龍王のだよ」
「や、やはりか」
ラカンは、鱗に見惚れ心ここにあらずと言った感じだ。
「これで、義手を作ってくれ。可能なら一週間以内に」
「わ、分かった。今日中に作り上げて見せよう!!」
そう言い残すと、厨房の奥に消えていく。
「おい、ちょっと待てよ!!」
俺は、ラカンを引き留めた。
「なんじゃ?」
「まだ、黒龍王の素材はあるから、それも全部使ってくれよ」
ポーチから黒龍王の素材をすべて出す。
賢龍鍛冶屋の店先には、黒龍王の素材の山が出来上がった。
「フォッフォフォーイ!!レア素材の山なのじゃーい」
完全に、ラカンのテンションが可笑しなことになっているが、俺の手に余る存在なので放置しておく。
「それじゃ、頼んだぞ!!」
俺はそそくさと、賢龍鍛冶屋を後にした。
次に俺は、冒険者ギルドに向かった。
「あ、シードさんじゃないですか、ってどうしたんですか!その腕は!!!」
「ああ、これか?」
俺は、フードを取って左腕を晒す。
「モンスターにやられたんだよ、あんま気にしないでくれ」
「そ、そうですか……それで今日はどうしたんですか?」
「依頼達成の報告と素材の買取にな」
俺はゴブリンの素材をカウンターに出す。
「え?わっ、わっ、わ」
「すまないな、ちょっと狩り過ぎちゃって」
俺はガシガシと頭を掻いた。
「ちょ、ちょっと待ってくださいね、急いで鑑定しますので」
そう言い残して、フラフラとカウンターの奥に消えていった。
しばらくして、カウンターの奥から筋骨隆々としたおっさんが出てきた。
「きみか?大量のゴブリンを狩ってきた新人冒険者は」
「ええ、おそらくは」
「それじゃあ、ギルドマスター室に来てもらおうか」
「は?ギルドマスター室?」
このおっさんが何を言っているのか全く理解できない。
「ああ、そう言うことか。すまない、自己紹介が遅れた。俺はここ、ライングラン冒険者ギルドのギルドマスター、ルーク・アルフォギアだ」
そういってギルドマスターと名乗るおっさんは頭を下げた。
「す、すいません。僕も自己紹介が遅れました。新人のシード・グリシャスです」
「なかなか礼儀正しいな」
感心したようにルークが呟いた。
「そうですか?」
「ああ、冒険者ってのはもっと血気盛んで礼儀のなってないようなのばっかりだよ」
そういって快活に笑った。その姿を見て悪い人じゃないと本能的に察した。
「それで、何で新人の僕がギルドマスターに呼び出されるんです?」
「今回のゴブリンの買い取り価格がちょっとな」
ギルドマスター、ルークは少し申し訳なさそうに告げた。
「お金にならなかったんですか?」
「いや、そんなことはない。ただちょっとばかし問題があるんだ。詳しい話はギルドマスター室で頼む」
そういって、ルークはまた頭を下げた。
「頭を上げて下さい、そう言うことでしたらギルドマスター室に決ましょう」
「すまない」
俺は、ギルドマスターと受付嬢に連れられてギルドマスター室を訪れた。
「で?話って何なんですか?」
「さっきも言ったと思うが、ゴブリンの買い取り価格についてだ」
ルークは、亜空間のようなところから大きな袋を取り出す。
「これが買い取り額の半分だ」
「これで半分ですか?」
「ああ、お前が持ってきたゴブリンは上位腫が多くてな三分の二くらいがそれだったんだ」
「とはいえ高すぎやしませんかね」
俺はジトッとした目でルークを見る。
「やはりばれているか……君が左腕を失ったと聞いてな」
「それとこれとは話が別でしょう?」
「君も人が悪いな、ニーアの話を聞くところそこいらのモンスターにやられるほど君は弱くないそうじゃないか」
「お褒めに預かり光栄です。それで?」
「だとしたら君は何にやられたのか、ギルドマスターとして調べないわけにはいかない。だから買い取り額に色を付けたのだよ」
「なるほど」
確かにそうかもしれない。しかし、これは色を付け過ぎじゃないだろうか?
「そう言うことなら話しましょう。僕は黒龍王にやられたんですよ」
「黒龍王だと?それは本当か」
「ええ、ここまで買い取り額に色を付けてもらって嘘をつくわけがないでしょう?」
「それもそうだな。して、黒龍王はどうなった?」
「もちろん討伐しましたよ?」
「なに?ならば証拠となる品を見せてもらおうか?」
ルークは試すような目で俺を見てくる。
俺はアイテムポーチから欠けた黒龍王の鱗を取り出した。
「むむむ、確かにこれは黒龍王の鱗だな……だとすれば買い取り額はこんなものでは全く足らないな」
「でしたら、こちらから提案があるのですが……」
俺は、おずおずとルークに申し出た。
「魔剣がほしいのですが……」
「魔剣だと?」
「はい」
「黒龍王を討伐する程だ、相当良い装備を持っているのだろう?」
「はい、確かに持ってはいるのですが、奥の手のようなもので……それに近いうちに護衛の依頼があるので、人に見せても大丈夫なものがほしいなぁと」
「なるほど……であれば俺が良いものを見繕ってやろう。何かリクエストはあるか?」
「そうですね、可能であれば、敵の生命力を吸って攻撃力を上げるようなものがほしいです」
「分かった。手に入り次第連絡を入れよう」
交渉が成立し俺たちは、ギルドマスター室を後にした。
俺は、大きな袋を抱えて冒険者ギルドの外に出る。
「よう、坊主。いいもん持ってんじゃねえか」
そういって声をかけてきたのは、なんとも冴えない顔をしたおっさん三人組だった。
「なんですか?」
俺は、ものすごく鬱陶しそうに返事をした。
「なんだよその態度は」
「そうだそうだ」
取り巻き二人が声を上げる。
「だから、何なんですか」
「いや、見たところ腕をやられて冒険者引退かと思ってな、有り金を全部貰おうと思ったわけよ」
「いやだと言ったら?」
「力づくで奪うまで!!」
おっさんが地面をけって俺との距離を詰める。
はっきり言って遅い。ナメクジの方が早いんじゃないだろうか?
「遅いよ」
俺は足払いで軸足を払いおっさんを転倒させる。
「よ、よくも兄貴を!!」
「そうだそうだ」
取り巻きが同時に殴りかかってくる。
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