二週目村人は最強魔術師!?~元村人の英雄譚~

雪桜 尚

元村人、入学式に出る。

俺、シード・グリシャスは、考えていた。
明日に控えた入学者代表挨拶の言葉をだ。

(ああ〜!!ヤベェ、どんなこと話せばいいんだ?)

代表挨拶ったって前世でやったことなどない。そんなものを前日に言われて次の日にできるほど、俺のスペックは高くない。
壁にかかっている時計の目をやると針は0時を指していた。
入学式は、9時からなのでタイムリミットは約9時間だ。

(大丈夫、まだ9時間もある。さすがに9時間もあれば考え付くだろ)

まだまだ時間のあることを確認し、少し気が楽になる。

(そいえばイリーナは落ち着いてたけど大丈夫なのかな?)

ちょっと気になったので空絶眼を使って、確認してみる。
イリーナは、ベッドに入って眠りについていた。どうやれら準備が出来ているらしい。
ちなみに、ユーリも同様に眠りについている。
眠りにつく二人や、夜の静寂に響く単調な時計の音を聞いていると俺もだんだん眠くなってきた。
こののまま眠るわけにはいかないので、少し夜風にあたって眠気を覚まそうと宿から出ることにした。
「はあ、あの校長め、もっと前に行ってくれればいいのに」
愚痴が口を突いて出る。
「君は、もしかして魔法学校の新入生かい?」
背後から声をかけられる。まさか声をかけられるとは思っていなかったので少し驚いてしまった。
「ええ、そうですよ。あなたは?」
ふりかえった先にいたのは、とてつもない美少年だった。
さらりとよ風になびく金色の髪。切れ長の目、ぷっくりと膨らんだ小さな口、高い鼻。すらりと伸びた足はとても長く、身長は、おれよりも少し高いくらいなので、170~175くらいだろう。
(ちなみに、おれの身長は169センチである。ユーリは160、イリーナは155くらいだ。)
「僕かい?僕は、魔法学校の生徒だよ」
「そうなんですか。なんでこんな時間に外に?」
「明日のスピーチが心配でね……」
「あなたもですか?」
「君も明日スピーチをするのかい?」
「ええ、でも今までスピーチなんてしたことなくって……」
「はは、懐かしいなぁ。僕も去年そんなだったよ」
「ってことはあなたも特待生ですか?」
「君も?」
それから俺は、美少年(先輩)にスピーチの内容について教えてもらった。

(いやー、助かった。でも、名前聞くの忘れちゃったな……)

俺は、心配事もなくなり、深い、深い眠りにつくのだった。(現時間は1時である)

「……ド、シ……ド、シード、起きてったら!!」
「んあぁ、おはようユーリ」
「おはようじゃないでしょ!!もう7時よ!!」
どうやら俺は、本当に深い眠りについてしまったらしい。
「入学式は、9時からだろ。まだ間に合うよ」
「そうじゃなくて!!特待生は、8時に行っかなきゃだめでしょ!!」
そういえばそんなことを校長が言ってた気がしてきた。
「なに!!それはちょっとやばいかもな……入学式から遅刻とか」
「嫌なら急ぎなさい!!ほれさっさと起きる!!」
無理やり布団を剥がされ、着替えさせられる。
そして、朝の爽やかな空気を引き裂きながら、ユーリに引っ張られて行く俺であった。

「それでは、第123回ライングラン魔法学校入学式を始める。入学生入場」
始まってしまった……

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