二週目村人は最強魔術師!?~元村人の英雄譚~

雪桜 尚

元村人、平穏な学校生活との別れ

「これより、第123回ライングラン魔法学校入学式を始める」
始まってしまった……
とてつもなく緊張した記憶はあるが、入学生代表挨拶が終わるまでの記憶はない。
すなわち、俺の記憶があるのは、入学生代表挨拶の次に当たる生徒会長挨拶からである。
「生徒会長挨拶、生徒会長レジスタント・ドラグーン君は、登壇してください」
そう言われ、登壇してきた生徒を見て、俺は驚きを隠せなかった。

なぜなら、昨日の晩俺に声をかけてきた、金髪の美少年だったからだ。
金髪の美少年、レジスタントは、堂々とした態度で登壇し、会長挨拶を始めた。
レジスタントの一挙手一投足が美しく、まるでダンスでも踊っているかのようであった。
会長挨拶が終わり、レジスタントが降壇してくるときに、俺に気がついたのか、俺と視線がぶつかった。
レジスタントは、ニコッとこちらに笑いかけ自分の席に戻っていった。
それから入学式は滞りなく終わり、入学して初めてのホームルームが行われた。

「それでは、第一回、召喚科1-Sのホームルームを始めます」
俺たちの前に立つのは、メアリ先生である。俺たち特待生組は一応召喚科で受験したので、ホームルームは、召喚科に出席する。
「では、自己紹介からはじめましょうか。それでは、出席番号順にお願いします」
メアリ先生の指示で、自己紹介が始まる。
「出席番号1番、イリーナ・グランです」
それから、5人の自己紹介が終わり、俺の番が来る。
「出席番号6番、シード・グリシャスです」
俺の自己紹介が終わると教室がざわめき出す。ヒソヒソとだが、あいつが主席の……とか、格好かっこいいじゃんとか、割りとタイプよぉとか聞こえる。
おい!最後のやつおかしいだろ!!誰だよ!!
「出席番号ぉ7番、クリス・オナベールよぉ〜」
いたよ!!絶対こいつだろ!
それから、暫くして、ユーリの番が訪れる。
「えっと〜、出席番号25番のユーリ・グリシャスです」
クラスのいたるところから共通の疑問が上がった。
手を挙げて、席を立つ。共通の疑問に答えるために。
「皆さんお察しだとは思いますが、念のため確認を。俺、シード・グリシャスと、ユーリは婚約関係にありす。くれぐれも、変な気を起こさないでくださいね」
そういってニコッと笑う。しかし、僅かではあるが殺気を飛ばした。
メアリ先生とイリーナ、ユーリを除くほぼ全員がビビっていたので、変な気を起こす輩はいないだろう。
ユーリが終わった後5人が自己紹介をして、自己紹介は終わりとなった。
「全員自己紹介が終わったところで、明日から始まる召喚科の授業の準備を行います。10分後に、この教室の真下にある、召喚の間に集合してください」
メアリ先生が教室を出ると、クラスは雑踏に包まれた。
「シード君、ちょっといい?」
そう言われ振り返ると、たくさんの女子。
とその後ろに殺気だった男子たちが待っていた。
「さっきの自己紹介なんだけどさ……詳しく教えて!!」
とんでもない食いつきようである。なんとかそれをくぐり抜けたその先には、ユーリロスの男子たちが待ち構えていた。
そして、ユーリをめぐる血で血を洗う聖戦が幕を開ける………ことはなかった。

「皆さん、揃いましたね。それでは、召喚の儀をはじめましょうか。といってもいきなりはできないでしょうから、説明から入りますね。召喚の儀は、召喚師の命とも言える、使い魔と契約を結ぶためのものです。
召喚の儀の手順は、この魔法陣に魔力を流し込む、それだけです。難しいものではないので、出席番号に5人ずつ出てきてください」
イリーナを含む、五人が前に出る。
「それでは、魔法陣に魔力を流し込んでください」
5人が、全力で魔力を流し込む。程なくして、イリーナの魔法陣に変化があった。
魔力を流し込んだ直後は、白い光を放っていた魔法陣の輝きが一層強くなり、光の中からエンジェルの上位モンスター、イーリアが姿を現した。
「イーリアですか……素晴らしい」
召喚が終わったため、俺とイリーナが入れ替わる。
俺は魔法陣に触れ、全力で魔力を流し込む。

カッ

魔法陣から発火するような音がした後、光の色が、白からまるで海の底のような深い青に変わる。
刹那、魔法陣が大爆発を起こす。
そして、煙の中から出てきたモンスターに、このクラスにいる全ての人間が驚愕することとなった。

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