茶師のポーション~探求編~
朝に茶を飲むために
早朝番はマスターと弟子が入っていた。マスターの場合は、この時間を希望したのだ。弟子は本来、深夜番だったのだが、アレルギー反応を起こし、急きょ交代した。
「ですから常に薬草茶を飲むように言っているでしょうが」
弟子の場合、複数のアレルゲンに反応するため、常に薬も持ち歩いているのだが。
「昔よりだいぶ楽になったんだけどなぁ」
そう言いながら、弟子が朝食の準備をしていた。
朝食は昨日仕留めた魔獣の肉に調味料となる薬草をまぶして醤油ダレをつけて焼いたものと、簡単なスープ、それからグラノーラバーだ。
対するマスターの用意する飲料関係は二種類と、珈琲。珈琲の淹れ方には、ウーゴがこだわっているため、豆と機械を渡すだけだ。
用意する茶は煎茶とアッサムをメインとしてブレンドした、特製モーニングティだ。
煎茶はいつものように、沸騰したお湯を八十度くらいまで冷まして、注ぐ。それを均等に湯呑にいれ、希望者に渡していく。
そして、モーニングティ。こちらは熱いお湯で濃いめに淹れる。それにミルクを注いで飲むのだが……。
「問題はミルクですね」
「……ししょー。持ってきてないの?」
「量をあまり持ってきていないのですよ。この人数にいきわたるようにとなると、二日分が限界です」
「納得」
何か代用できるようなものがあればいいのだが、難しいだろう。
「豆乳があればねぇ」
弟子が思いついたようにぼやいていた。
「その豆乳もありませんけどね」
「豆さえあれば、俺が作るけど」
弟子は料理面においてハイスペックになっていたようだ。
「では、最悪豆乳で我慢していただきましょうか」
確か豆関連の魔植物が生えていたはずである。ポーションの原料に使う場合もあるので、マスターも記憶していた。
「ただ、あと数層下に行かないとなかったはずですね」
あとは迷宮入り口の広場付近に生えている。
「そういうことなら、取ってくるよ!」
クリフとマイニが喜んで地上へと戻っていった。
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