俺の転生体は異世界の最凶魔剣だった!?
閑話的な何か 魔剣さんのバイト体験1
王都に到着した。今日は一日中私が実体化して動き回れる日だ。さて、どこから回ろう?
ケイトからはあまり必要のないものは買うなと言われている。それは私でも分かっている。だって、そうじゃ無いと宿代が払えなくなってしまうのだから。アルガンスから宿を取ってもらえるはずだったが、ケイトはそれを辞退してしまった。理由を聞いてみると、流石にそこまでお世話になりたく無いとのことだ。
「ま、それは私には関係のない事だわ」
私は適当に大きな広場に来ていた。広場には子供達が遊んでいたり、カップルが噴水を背景にイチャツイテイタリ、露店があったりして、色々と賑わっていた。因みに私の服装は、目立たない様にケイトに頼んだ代物だ。ケイトは基本温厚で思考がたまにアレだが、服装などの美学に対してはセンスがあると思う。それに……女子よりも女子と思えるような技術を持っている。だから、どこか恨めしくも思う。
それはさておき、王都には見所がたくさんあって、どこに行こうか迷ってしまう。そんな中で、偶に私への視線を感じるが、それは多分本体への物だろう。そんな中、一つ面白い店を見つけた。それは特に特別なものを売っているのではなく、ただの鍛冶屋だった。
「いらっしゃい……って、ここはお嬢ちゃんみたいな子が来る所じゃないよ」
店に入ると、高齢と思われるドワーフの女性が出迎えてくれたが、追い返されそうになった。
「あ、すみません。ですが、ここから面白い雰囲気が漂っていたもので…………そう、例えば元所有者の思念が詰まった物……とか?」
それを言った途端、ドワーフの女性の表情が真剣になった。
「どうやら私の目も衰えて来たのかね……しかし、何故それを知っている?」
私は答えずに、腰の魔剣を揺らした。
「ハハッ、そう言う事かい。全く、世の中は面白いねぇ……全然飽きないよ。あ、ここに来た記念にこれを持って行きな。失敗作だけどね」
女性は真剣な表情をすぐに崩すと、今度は笑顔でおよそ200本もの小さな針を私にタダでくれた。これはケイトにあげればいいか。喜んで何かに使いそうだし。
「それじゃ、今からそれを見せるから奥に入りな」
私は女性の後から続き、とある部屋に入った。そこには一つ大きな楽器が置いてあった。
「これが……?」
「ああ、そうさ。この楽器はタタンの角笛って言ってね、タタンって言う絶滅した魔物のツノから加工された大笛だんだ。しかし、元の持ち主がとても特殊な性格でね……その………好きになった相手をこの笛の音色で催眠して、この笛を使って殴り殺していたんだよ。一応捕まったんだけどね…………因みにその赤い色は殺された人たちの血だよ」
「な、成る程……」
ニンゲンコワイ…………そうだ、私は何も見なかった。うん、私が見たのは貴重な魔物の角で作られた、赤く塗装された角笛。何処にでもある呪いの武器だ。そう、ごく普通の呪いの武器……武器?
しばらくして、私は鍛冶屋から他の場所に移動した。その場所は大きな建物で、以前の所有者が生きていた頃の建物とは大きく文明が離れていて、私は唖然としていた。建物の中には沢山のお店が構えてあり、ケイトの記憶ではデパートと呼ばれる建物に近かった。あ、因みに最近になってやっとケイトの記憶にアクセス出来たのだ。どうしてそうしようと思ったのかと言うと、ただの何処にでもある好奇心だ。私と同じ器に魂を宿しているから覗く事ができる。しかし、入れたのは良いものの、彼の記憶にはまだ鍵の掛かったものが沢山あった。気になる……
そんな事を考えながら歩いていると、声をかけられた。
「そこのお姉さん綺麗ですね!良かったらうちのお店でその洋服の話し込みで来ませんか?」
一人の店員と思われる金髪の少女が話しかけて来た。そして、私が答える間も無く少女は私の手を引き、建物内の喫茶店の中に入った。そして店の奥まで連れて来らた。
「さて、ここなら他の店員も居ませんし、タップリと話が出来ますね!」
「は、はあ………」
イマイチ状況が把握出来ない。私は何故ここに連れて来られたのだっけ?
「あ、自己紹介が遅れました。この喫茶店『ヤヘイ』の店長をやっています、メヌーです!因みに歳は永遠の17歳です☆」
永遠の17歳って………ええぇ……反応に困る…………
あ、ヤヘイ……気になったので、私はケイトの記憶内にある情報でヤヘイを検索………………あ、2番目に鍵が掛かっていた記憶にあった。えーと、本名はアヤワスカで、南アフリカのアマゾン川流域に自生するキントラノオ科のつる植物バニステリオプシス・カーピーの事。また、カーピーにジメチルトリプタミンを含み植物プシコトリア・ウィリディスやディプロプテリス・カブレラナを加え、煮出して作られた向精神性の飲料。服飲すると、嘔吐を伴う強力な幻覚作用をもたらす。主にアマゾン西部の先住民族がシャーマニズムの儀式や民間療法、宗教儀式に用いる…………って危ないやつじゃん!ご丁寧にも、調理方法やら禁忌の事までも記憶してある………前世で誰かを毒殺でもしようとした、もしくはしたのかしらね……この人は……
余談はここまでにして、次に私の自己紹介をする。
「私はサナ、一応旅人?歳は……16…(?」
「へー、その歳で旅をしているのかー。あ、理由は聞かないから安心してね!それじゃあいきなり本題!貴女、お試しでも良いからここで働いてみない?」
「え、えっと、何故私がなのでしょうか?」
他にも人は居ただろうし、私なんかより断然上玉の娘も居ただろう。
「うんうんそうだよね。いきなりそう言われたら困るよね!ま、簡単に言えば私の勘が言っていた、貴女は働いたことがないと言う事を!」
「いや、働いたことが無いのなら何故――」
「チッ☆チッ☆チッ☆チッ。働いたことが無いからこそだよ!今、この喫茶店には足りないのは萌え!しかも、初体験で恥じらう娘の萌えなのよ!」
ナニヲイッテイルノダロウカコノヒトハ。やはり最近の事は理解出来ない……そうだ!こんな時もケイトの記憶から意味を調べれば良いのか!えっと萌えは……も・える【萌える】意味:芽がでる。芽ぐむ。きざす……なんか思ってたのと違う……あ、続きがあった。萌え(もえ)とは本来の日本語では、草木の芽が出る(伸びる)様を言う………結局同じだった。
「萌え……ですか………?」
「そう!『萌え』なの!本当は制服を着せたいのだけれど、衣装はそのままの方がいいわね。それと腰に下げた武器だけど……そのままで良いかしらね。貴女は美少女なんだもの。護身用として携帯しておきなさい」
こうして意味も経緯も分からずに《魔剣:メラン=サナトス》の一番初めに宿っていた魂は、喫茶店でバイトすることになった。
ケイトからはあまり必要のないものは買うなと言われている。それは私でも分かっている。だって、そうじゃ無いと宿代が払えなくなってしまうのだから。アルガンスから宿を取ってもらえるはずだったが、ケイトはそれを辞退してしまった。理由を聞いてみると、流石にそこまでお世話になりたく無いとのことだ。
「ま、それは私には関係のない事だわ」
私は適当に大きな広場に来ていた。広場には子供達が遊んでいたり、カップルが噴水を背景にイチャツイテイタリ、露店があったりして、色々と賑わっていた。因みに私の服装は、目立たない様にケイトに頼んだ代物だ。ケイトは基本温厚で思考がたまにアレだが、服装などの美学に対してはセンスがあると思う。それに……女子よりも女子と思えるような技術を持っている。だから、どこか恨めしくも思う。
それはさておき、王都には見所がたくさんあって、どこに行こうか迷ってしまう。そんな中で、偶に私への視線を感じるが、それは多分本体への物だろう。そんな中、一つ面白い店を見つけた。それは特に特別なものを売っているのではなく、ただの鍛冶屋だった。
「いらっしゃい……って、ここはお嬢ちゃんみたいな子が来る所じゃないよ」
店に入ると、高齢と思われるドワーフの女性が出迎えてくれたが、追い返されそうになった。
「あ、すみません。ですが、ここから面白い雰囲気が漂っていたもので…………そう、例えば元所有者の思念が詰まった物……とか?」
それを言った途端、ドワーフの女性の表情が真剣になった。
「どうやら私の目も衰えて来たのかね……しかし、何故それを知っている?」
私は答えずに、腰の魔剣を揺らした。
「ハハッ、そう言う事かい。全く、世の中は面白いねぇ……全然飽きないよ。あ、ここに来た記念にこれを持って行きな。失敗作だけどね」
女性は真剣な表情をすぐに崩すと、今度は笑顔でおよそ200本もの小さな針を私にタダでくれた。これはケイトにあげればいいか。喜んで何かに使いそうだし。
「それじゃ、今からそれを見せるから奥に入りな」
私は女性の後から続き、とある部屋に入った。そこには一つ大きな楽器が置いてあった。
「これが……?」
「ああ、そうさ。この楽器はタタンの角笛って言ってね、タタンって言う絶滅した魔物のツノから加工された大笛だんだ。しかし、元の持ち主がとても特殊な性格でね……その………好きになった相手をこの笛の音色で催眠して、この笛を使って殴り殺していたんだよ。一応捕まったんだけどね…………因みにその赤い色は殺された人たちの血だよ」
「な、成る程……」
ニンゲンコワイ…………そうだ、私は何も見なかった。うん、私が見たのは貴重な魔物の角で作られた、赤く塗装された角笛。何処にでもある呪いの武器だ。そう、ごく普通の呪いの武器……武器?
しばらくして、私は鍛冶屋から他の場所に移動した。その場所は大きな建物で、以前の所有者が生きていた頃の建物とは大きく文明が離れていて、私は唖然としていた。建物の中には沢山のお店が構えてあり、ケイトの記憶ではデパートと呼ばれる建物に近かった。あ、因みに最近になってやっとケイトの記憶にアクセス出来たのだ。どうしてそうしようと思ったのかと言うと、ただの何処にでもある好奇心だ。私と同じ器に魂を宿しているから覗く事ができる。しかし、入れたのは良いものの、彼の記憶にはまだ鍵の掛かったものが沢山あった。気になる……
そんな事を考えながら歩いていると、声をかけられた。
「そこのお姉さん綺麗ですね!良かったらうちのお店でその洋服の話し込みで来ませんか?」
一人の店員と思われる金髪の少女が話しかけて来た。そして、私が答える間も無く少女は私の手を引き、建物内の喫茶店の中に入った。そして店の奥まで連れて来らた。
「さて、ここなら他の店員も居ませんし、タップリと話が出来ますね!」
「は、はあ………」
イマイチ状況が把握出来ない。私は何故ここに連れて来られたのだっけ?
「あ、自己紹介が遅れました。この喫茶店『ヤヘイ』の店長をやっています、メヌーです!因みに歳は永遠の17歳です☆」
永遠の17歳って………ええぇ……反応に困る…………
あ、ヤヘイ……気になったので、私はケイトの記憶内にある情報でヤヘイを検索………………あ、2番目に鍵が掛かっていた記憶にあった。えーと、本名はアヤワスカで、南アフリカのアマゾン川流域に自生するキントラノオ科のつる植物バニステリオプシス・カーピーの事。また、カーピーにジメチルトリプタミンを含み植物プシコトリア・ウィリディスやディプロプテリス・カブレラナを加え、煮出して作られた向精神性の飲料。服飲すると、嘔吐を伴う強力な幻覚作用をもたらす。主にアマゾン西部の先住民族がシャーマニズムの儀式や民間療法、宗教儀式に用いる…………って危ないやつじゃん!ご丁寧にも、調理方法やら禁忌の事までも記憶してある………前世で誰かを毒殺でもしようとした、もしくはしたのかしらね……この人は……
余談はここまでにして、次に私の自己紹介をする。
「私はサナ、一応旅人?歳は……16…(?」
「へー、その歳で旅をしているのかー。あ、理由は聞かないから安心してね!それじゃあいきなり本題!貴女、お試しでも良いからここで働いてみない?」
「え、えっと、何故私がなのでしょうか?」
他にも人は居ただろうし、私なんかより断然上玉の娘も居ただろう。
「うんうんそうだよね。いきなりそう言われたら困るよね!ま、簡単に言えば私の勘が言っていた、貴女は働いたことがないと言う事を!」
「いや、働いたことが無いのなら何故――」
「チッ☆チッ☆チッ☆チッ。働いたことが無いからこそだよ!今、この喫茶店には足りないのは萌え!しかも、初体験で恥じらう娘の萌えなのよ!」
ナニヲイッテイルノダロウカコノヒトハ。やはり最近の事は理解出来ない……そうだ!こんな時もケイトの記憶から意味を調べれば良いのか!えっと萌えは……も・える【萌える】意味:芽がでる。芽ぐむ。きざす……なんか思ってたのと違う……あ、続きがあった。萌え(もえ)とは本来の日本語では、草木の芽が出る(伸びる)様を言う………結局同じだった。
「萌え……ですか………?」
「そう!『萌え』なの!本当は制服を着せたいのだけれど、衣装はそのままの方がいいわね。それと腰に下げた武器だけど……そのままで良いかしらね。貴女は美少女なんだもの。護身用として携帯しておきなさい」
こうして意味も経緯も分からずに《魔剣:メラン=サナトス》の一番初めに宿っていた魂は、喫茶店でバイトすることになった。
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