俺の転生体は異世界の最凶魔剣だった!?

まさみゃ〜(柾雅)

16 人化擬き→実体化

 俺はアルガンスを見て驚いた。彼は以前会った姿より弱っていたのだ。身体は骨の形が少しわかる位まで細くなり、衣類まで汚れている。髪の毛は整えられておらず、手足と頬には黒炭で汚れていた。美形だった顔も今ではノーマルな位に魅力が落ち台無しになっている。

 「何があったんだ?そんな姿になって……」

 俺はアルガンスに問う。現在、キリカが俺の膝枕で寝ている為、俺は立ち上がることが出来ない。

 「なに、お前が心配する必要はない。少々地下牢に居ただけだ」

 地下牢?この屋敷にそんなものもあったのか。悪趣味だな……チャビィ糞元領主………

 「ところで、その状況は何だ?役が反対だとは思うが?」

 アルガンスは無理に笑顔を作り、冗談で場の空気を変えようとする。それに俺も小さな笑顔で返す。

 「アハハハ……俺もそう思った。でも無理に笑顔を作らなくても良いぞ、身体のために。それと座ったらどうだ?」

 「そうだな、身体は大事だからな。俺も座るとしよう」 

 アルガンスは向かいの椅子にゆっくりと腰掛ける。彼の座る動作にも辛さを感じる。結構状態的にこの時間も辛そうだな……

 「……っと…先ず、本題の前に謝罪と感謝をしたい」

 俺は答えずに頷く。

 「この度は元領主がご迷惑を掛けてしまい、本当に申し訳無かった。そして、元領主を生かしたままで感謝する。これでも俺の父親だから死は避けたかったのだ」

 「別に俺に感謝する必要も、謝る必要も無いさ。謝罪すべき相手はこのエムメレクの一人娘、キリカとその村の人々だ。俺はあのデブが自惚れていたから現実を見せていただだけで、感謝も謝罪も要らない」

 俺には関係無い。自分がやりたかったことをやっただけであって、誰かの為にはやっていない。もし、それが自分にメリットが無い場合もやらなかった。今回は、初めてあのデブと出会ったとにちょっとイラっと来て、その次の夜襲と奇襲に沸点を通り過ぎた。だから後悔させたかった。それだけである。

 「そうか………しかし、お前との決闘で俺は己の弱さを知ることが出来た。それに関しては感謝したい。ありがとう」

 そう言って、アルガンスは俺に向かって頭を下げる。深々と……無理しないでって言ったんだけどな〜

 「分かったから頭を上げて。あと、無理し過ぎだって」

 「そうだな。この体勢も辛い……」

 アルガンスの辛そうに震える体を見て俺は溜息をつく。そして〈回復魔法(小)〉を掛ける。〈回復魔法(小)〉は、切り傷や捻挫、打撲、突き指位の軽い怪我の他に軽めの疲労回復等も出来る。戦闘とかでの大怪我には使えないけどまあまあ使える魔法だ。因みになんだが、俺が作った?〈境界スキマ収納〉と〈境界生成バウンダリー〉のスキルは魔法で、固有魔法らしく使える人が数えられる位しかしいないらしい。そして系統が系統外………まぁ、関係の無い話はここまでとして俺はアルガンスに〈回復魔法(小)〉を掛けた。

 「ん?急に疲れが軽く……ああ、お前か。済まない。そしてありがとう」

 「フッフッフッフー感謝するが良い」って言いたい……

 「一度、剣を交えた仲だしね」

 その代わりだが、もう一つの言って見たかった言葉を言う。結構達成感があるものなんだな……言って見たかった言葉を言うのって………

 「それで、今後の元領主はどうなるんだ?」

 まだ寝ているキリカの頭を優しく撫でながら俺はアルガンスに問う。

 「王都送りだよ。理由は、こんな感じな父上だけど一応王都出身の貴族だし、王宮でも働いている身なんだ。こう見えてもね………」

 うわぁ……王宮で働いているのにこんな事するとか……元領主…本気でヤバイ………色んな意味で。

 「そうなんだ。何時頃に身柄を引き渡すんだ?」

 「それは5日後の南風の月24日目にここを出て31日に王都に着いて引き渡すつもりだ。丁度その時は学び舎の休みが明ける日に近いしな、一緒に向かうつもりだ」

 成る程、ここから王都までの距離は一週間位の距離か。
 因みに、この世界の日付は12ヶ月と前世と同じだ。しかし違うところは、1月が睦増むつましの月、2月が雪消ゆきげしの月、3月が早花咲さはなさきの月、4月が新芽の月、5月が橘の月、6月が水張りの月、7月が穂含みの月、8月が南風の月、9月が稲熟の月、10月が醸成かみなんの月、11月が食物おしものの月、12月がきわみの月と呼ばれていると言うところだ。で、今は南風の月だから8月となる。

 「それなら俺たちも同行しても良いか?」

 同行する理由は二つある。一つは楽がしたい。これは一番大切だ。でもう一つの理由は元領主の監視……え?二つ目の理由の方が大切なんじゃ無かって?俺が一番大切だと思うのは楽をする事だ。仕事?知らない子です。人間なんてそんなもんだと思うし、実際に俺は楽しければそれで良いと思うし……………あれ?俺って意外と下衆?………

 「本当か ︎それは是非頼みたい事だ!」

 シッ!静かに!キリカが起きる!ってもう遅いか……
 今のアルガンスの声でキリカが目を覚ましてしまった。初めは自分の状態が理解出来ていなかった様だが直ぐに理解して顔が赤くなっている。可愛い…………癒しだ……

 「それともう一つ頼みたい事があるんだ。聴いてくれるか?」

 頼み事?何だろう、気になる……

 「ああ、言ってみてくれ。受けるか受け無いか内容次第で判断するけど」

 「そう言ってくれると助かる。それで頼みたい事なんだが、24日目に王都へと向かうだろ?その時の護衛を頼みたい」

 護衛依頼か……

 「護衛依頼って事で良いのかな?報酬は?」

 「ああ、所謂護衛依頼だ。報酬は金貨4枚って言うのはどうだ?」

 金貨4枚か……なら王都で武具とか買えるかな?でも今は人間の死体か人造人間ホムンクルスなんだよな……欲しいものは

 「その報酬に人間の死体か人造人間ホムンクルスも出来たら追加できるか?出来たらだけど」

 この応えは、依頼を受けると言う意味になる。

 「そうだな……人造人間ホムンクルスは無理だが人間の死体は………護衛中運良く見つかるかもしれん。まぁ考えておこう。しかし、何故それが必要なんだ?」

 やっぱり訊かれるよね〜ここは正体をバラすべきか?いや、誤魔化した方が……しかし、下手に誤魔化したらかえって怪しくなるな………
 そんな風に考えていたら急に目の前にメッセージが表記された。

 [一定時間のスキル発動による経験値により、EXスキル〈人化みたいなもの〉が〈実体化〉に変化しました]

 え?このタイミングで?あと『進化』じゃなくて『変化』?

「俺の転生体は異世界の最凶魔剣だった!?」を読んでいる人はこの作品も読んでいます

「ファンタジー」の人気作品

コメント

コメントを書く