私は魔王様の騎士なのです~最強幼女が魔王様のために行く!~
二十五話『ギルマスさん降臨』
Mランクになるためには、ギルドに大量の貢献をすることが必要なのだそうだ。竜を倒したりでもしなければそこまで上がれることは無い。
ちなみにミルフィは元Cランク冒険者だったのだそうだ。
やめてしまった理由は、相棒に問題があった、と自分から笑顔で彼女は話した。
「では、こちらがギルドカードです。ルールとギルドの使い方については、こちらの羊皮紙とご覧になってください」
渡されたのは、銀色に煌めくカードだった。パンフレットのように糸で括られた三枚ほどの羊皮紙はお世辞でも綺麗とは言えなかった。
中を見るときれいな字で、全て手書きであるのが温かみを感じる。
この世界に印刷技術はないものの、日本では手書きが少なくなっているのだ。
「ではまず、ステータスを測定いたします。測定の仕方についてはこれに手を置いてください、スキルだけが表示されます」
ミルフィが受付の引き出しから持ってきたのは手のひらサイズより一回り大きめの水晶球だった。私は一度自分のステータスがどう表示されるか見たことがある。
全知全能のスキルは、まさしく運命体にも手を伸ばせる第一歩のスキルだ。
全知全能にも含まれないスキルともなれば、運命体には届いているのだが、それを持つ者は運命体と、フランしか私は知らない。
そもそも全知全能のスキルは、この世界に存在する限りの全てのものを知り、全てのものを使いこなすことができるスキル。
この世界の神の範疇を超えているスキルは含まれてはいないのだ。
(でも、狙われる)
三人の中で一番強いのだから、きっと私を引き抜こうとする人も出てくるだろう。
いざとなってフーラと名無しばかりに頼っていたら意味はない。
考えながら、ゆっくりと手を水晶球に乗せる。
「……はい、って、え!? うそでしょ、貴方まだ十五歳ですよね」
「はい。私は十五歳です。年齢という物差しは、捨ててしまった方が良いと思うのですが。冒険者の過酷な世界で年齢の物差しを語る必要はありますか?」
大人らしく見せるために、歳のことを聞かれたらそう答えろと演技含め魔王様にしごかれた。おかげで今は完璧に言うことができる。
目を光らせ、顔に影を作り、反論を許さない威圧をかける。
そしていかにもな感じの重苦しい言葉を吐くことで、真実を感じさせる。
「し、失礼いたしました」
「じゃあ、わたくしもやらせていただきますねっ」
フーラは嬉しそうに水晶球に触れる。ついでにフーラのスキル《内容理解》で水晶球のつくりを脳内で覚える。
内容理解は一見使えないスキルに思えるが、使いこなせば強力だ。
一方のミルフィはSランクに相当する彼女のスキル量を見て卒倒しそうになっていたのを、名無しはくすりと笑う。
そうすると一部の女性たちがミルフィと同じように卒倒する。
「じゃ、僕もやらせてもらうよ」
名無しが水晶球に手を乗せると、あら大変、スキル量が水晶球で測れる範囲を超えた。名無しはにこりと微笑む。
偽装スキルで使えないごみスキルを偽装し、それでもエラーが変わらないので比較的冒険者業に向いていないスキルを偽装して消した。
「ごめんね、スキルの量が多すぎて。でもこれなら大丈夫だよね。手間取らせてごめん」
「い、いえ、大丈夫でしゅっ……ひゃぁ……」
顔は見えないけれど煌めく笑みがフードの中からまるで見えるかの紳士さにミルフィは如何やら堕ちてしまったようだ。
周りの女性陣も堕とされてしまっていることに私は笑えてしまう。
その私の微笑みで何人かの男性が堕ちたのは、また別の話になるだろう。
周りの男性は名無しの紳士さに、フーラを攻略することをあきらめたようだ。
「で、では、またのご利用お待ちしております!」
「分かりました。ゼロ、早く行かないとおいて行きますよ?」
「待ちなさい」
受付の隣から凛々しくも冷淡で、それほど大きな声ではないのにギルド全体に響く威圧感のこもる声がした。
とたんに、ギルドはざわめく。
振り返ると、青い髪を腰まで伸ばした冷たそうで美しい女性が立っていた。
一言、言葉を放つだけですべてが沈黙するほどの威圧感をまとわせている。
「何ですか?」
負けじとフーラは女性をまっすぐに見つめて威圧感を纏って声を出す。
また、フーラをまだ狙っていた男性たちはこれを見て諦めてようだ。
「私は此処のギルドマスター、フィオだ。少し来てもらおうか?」
「分かりました、セルカ、ゼロ、行かないんですか?」
「いいえ、行かせていただきます、お嬢様」
「じゃ、僕も便乗させてもらうとするよ」
かつてのSランク冒険者であるフィオ・フレーズ・アイリスを圧倒させるほどの威圧を纏った私は、名無しとフーラに手を伸ばした。
フーラはその手を受け取り、フィオは振り返って速足で奥まで進んでいく。
どうやらギルド入会早々面倒ごとになりそうだ。
予想通りに事が進んで、私は密かに笑みを浮かべた。
ギルドマスター室につくと、フィオは事務室の机に座り、見事に扉の前に設置されているソファーに座るように命じた。
「……私が貴様らを此処へ呼んだ原因は分かるか?」
「ええ。王都で多発している事件を止めるのに手を貸してほしい―――そういうことに加えて、私たちが何処から来たのか知りたいのでしょう?」
「ああそうだ。此処まで私の意図を読めたことのある者は久しいな」
「私たちの身元は明かすことができません。何故なら時が来たら明かすことになるからです。手を貸すことは構いませんよ」
予定通り私がフィオとの交渉を進めることになっている。手を貸すことについては元々魔王軍は手を貸さなければいけないのだから問題はない。
問題は、身元を明かすか明かさないか。
フィオがどう出るか私に予想させることは無理難題だ。名無しとフーラがどう対応するかにも今後の計画に支障は出る。
しかしまず、計画の第一歩は完了したとみて間違いはないだろう。
ちなみにミルフィは元Cランク冒険者だったのだそうだ。
やめてしまった理由は、相棒に問題があった、と自分から笑顔で彼女は話した。
「では、こちらがギルドカードです。ルールとギルドの使い方については、こちらの羊皮紙とご覧になってください」
渡されたのは、銀色に煌めくカードだった。パンフレットのように糸で括られた三枚ほどの羊皮紙はお世辞でも綺麗とは言えなかった。
中を見るときれいな字で、全て手書きであるのが温かみを感じる。
この世界に印刷技術はないものの、日本では手書きが少なくなっているのだ。
「ではまず、ステータスを測定いたします。測定の仕方についてはこれに手を置いてください、スキルだけが表示されます」
ミルフィが受付の引き出しから持ってきたのは手のひらサイズより一回り大きめの水晶球だった。私は一度自分のステータスがどう表示されるか見たことがある。
全知全能のスキルは、まさしく運命体にも手を伸ばせる第一歩のスキルだ。
全知全能にも含まれないスキルともなれば、運命体には届いているのだが、それを持つ者は運命体と、フランしか私は知らない。
そもそも全知全能のスキルは、この世界に存在する限りの全てのものを知り、全てのものを使いこなすことができるスキル。
この世界の神の範疇を超えているスキルは含まれてはいないのだ。
(でも、狙われる)
三人の中で一番強いのだから、きっと私を引き抜こうとする人も出てくるだろう。
いざとなってフーラと名無しばかりに頼っていたら意味はない。
考えながら、ゆっくりと手を水晶球に乗せる。
「……はい、って、え!? うそでしょ、貴方まだ十五歳ですよね」
「はい。私は十五歳です。年齢という物差しは、捨ててしまった方が良いと思うのですが。冒険者の過酷な世界で年齢の物差しを語る必要はありますか?」
大人らしく見せるために、歳のことを聞かれたらそう答えろと演技含め魔王様にしごかれた。おかげで今は完璧に言うことができる。
目を光らせ、顔に影を作り、反論を許さない威圧をかける。
そしていかにもな感じの重苦しい言葉を吐くことで、真実を感じさせる。
「し、失礼いたしました」
「じゃあ、わたくしもやらせていただきますねっ」
フーラは嬉しそうに水晶球に触れる。ついでにフーラのスキル《内容理解》で水晶球のつくりを脳内で覚える。
内容理解は一見使えないスキルに思えるが、使いこなせば強力だ。
一方のミルフィはSランクに相当する彼女のスキル量を見て卒倒しそうになっていたのを、名無しはくすりと笑う。
そうすると一部の女性たちがミルフィと同じように卒倒する。
「じゃ、僕もやらせてもらうよ」
名無しが水晶球に手を乗せると、あら大変、スキル量が水晶球で測れる範囲を超えた。名無しはにこりと微笑む。
偽装スキルで使えないごみスキルを偽装し、それでもエラーが変わらないので比較的冒険者業に向いていないスキルを偽装して消した。
「ごめんね、スキルの量が多すぎて。でもこれなら大丈夫だよね。手間取らせてごめん」
「い、いえ、大丈夫でしゅっ……ひゃぁ……」
顔は見えないけれど煌めく笑みがフードの中からまるで見えるかの紳士さにミルフィは如何やら堕ちてしまったようだ。
周りの女性陣も堕とされてしまっていることに私は笑えてしまう。
その私の微笑みで何人かの男性が堕ちたのは、また別の話になるだろう。
周りの男性は名無しの紳士さに、フーラを攻略することをあきらめたようだ。
「で、では、またのご利用お待ちしております!」
「分かりました。ゼロ、早く行かないとおいて行きますよ?」
「待ちなさい」
受付の隣から凛々しくも冷淡で、それほど大きな声ではないのにギルド全体に響く威圧感のこもる声がした。
とたんに、ギルドはざわめく。
振り返ると、青い髪を腰まで伸ばした冷たそうで美しい女性が立っていた。
一言、言葉を放つだけですべてが沈黙するほどの威圧感をまとわせている。
「何ですか?」
負けじとフーラは女性をまっすぐに見つめて威圧感を纏って声を出す。
また、フーラをまだ狙っていた男性たちはこれを見て諦めてようだ。
「私は此処のギルドマスター、フィオだ。少し来てもらおうか?」
「分かりました、セルカ、ゼロ、行かないんですか?」
「いいえ、行かせていただきます、お嬢様」
「じゃ、僕も便乗させてもらうとするよ」
かつてのSランク冒険者であるフィオ・フレーズ・アイリスを圧倒させるほどの威圧を纏った私は、名無しとフーラに手を伸ばした。
フーラはその手を受け取り、フィオは振り返って速足で奥まで進んでいく。
どうやらギルド入会早々面倒ごとになりそうだ。
予想通りに事が進んで、私は密かに笑みを浮かべた。
ギルドマスター室につくと、フィオは事務室の机に座り、見事に扉の前に設置されているソファーに座るように命じた。
「……私が貴様らを此処へ呼んだ原因は分かるか?」
「ええ。王都で多発している事件を止めるのに手を貸してほしい―――そういうことに加えて、私たちが何処から来たのか知りたいのでしょう?」
「ああそうだ。此処まで私の意図を読めたことのある者は久しいな」
「私たちの身元は明かすことができません。何故なら時が来たら明かすことになるからです。手を貸すことは構いませんよ」
予定通り私がフィオとの交渉を進めることになっている。手を貸すことについては元々魔王軍は手を貸さなければいけないのだから問題はない。
問題は、身元を明かすか明かさないか。
フィオがどう出るか私に予想させることは無理難題だ。名無しとフーラがどう対応するかにも今後の計画に支障は出る。
しかしまず、計画の第一歩は完了したとみて間違いはないだろう。
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