私は魔王様の騎士なのです~最強幼女が魔王様のために行く!~
十九話『魔王軍の最高峰戦力』
ファルナは地に伏せていた。こうして地に伏せるのは久しぶりで、いくら作戦だったとしても少しは屈辱を感じる。
族長とリイは残った二千の軍隊を一掃している。
(ふふ、この生意気な人たちにとどめを刺せないのが、腑に落ちない点ね)
転移先のベッドで、モニター画面を覗きながらファルナはそんなことを思っていた。
「さて、とどめを刺すか」
「―――待ちなさい」
明るく、しかし怒りを帯び、白銀の杖を構えた私が、空の上から飛び降りてファルナと、リイと族長の間に立ちふさがる。
加えて名の知れているアスカさんも私の隣で控えている。
「は、はは、全部作戦だったってことなのか」
やっと余裕そうににしていた族長の額に、冷汗が流れ落ちる。軍隊を少なくしたのは全て、私とアスカさんを用意するためだったのだ。
私とアスカさんが訓練している間の時間稼ぎ、ともいえる。
「そうだよ。全部貴方を確実に仕留めるための、計画だったんだよ」
「それなら話している時間は無いんではないのです!?」
「リイ。こいつは勝つ自信がある。こうして話していても俺達には負けない、こいつはそう言ってんだよ……」
小さいからと言って、族長が私を舐めることはない。私の体から溢れる魔力と威圧感が、絶対に私を舐めることを許さない。
さらにアスカさんの構えている剣のまとう空気を揺らす焔は―――。
「焔……」
「よくわかりましたね。確かにこの剣は焔という名です。忘れていなかったのですね、この剣も喜んでいるでしょう」
アスカさんの目が、『剣は喜んでいます』と物語っている色をしていない。ちなみにアスカさんは転移時に色々教えてくれたファルナを尊敬しており、そのファルナを傷つけたことをきっと許せてはいない。
私も、そんなアスカさんに尊敬している。もしアスカさんに何かあるようならば、きっと私も同じ行動をとっていた。
現に、族長とリイはアスカさんと私のオーラに気圧されている。
「……逆転したね」
重苦しく明るいように言った私の声で、族長とリイは我に返ったようだ。何としてでも勝たなければいけないことを自覚したのだろう。
私もアスカさんも、絶対勝たなきゃいけない。
大きく息を、吸う。
―――魔王様の所には行かせないし、魔王様を傷つけた人を許さない。
「はぁあああああああっ!!」
青色の、雷。
地面から、天へ、落ちる。
族長とリイは雷を感知し、上を見上げたが、下からだとは思わなかったようだ。リイが貫かれて血を吹き出して倒れる。
族長は目を見開き、リイを助けようとするが、アスカさんが風のシールドでそうさせない。その隙に私が身体強化をして杖を構える。
族長が私に目を向ける、その前に。
「風神、雨神―――私に力を貸してッ!」
風が吹き荒れ、雨が降った。暴風雨、そんなものだろう。雨で視界が良くなく、風でうまく動くことができない。
しかし私は、自分の身体強化ですべての条件を有利に運べる。
目に存分に強化し、足と手に集中して強化した。戦に必要な部位は全体的に強化した。
「うあっ―――」
「ふぃりあは此処で止まるわけには行かないの! ごめんなさいっ」
初めて人を傷つけた。
その傷付け方は、杖に強化をして、族長の腹辺りに突き刺した――――――。
「フィリア、行きますよ」
「うん、分かった」
しゅん、と冷めた音がして、血に濡れた戦場は誰もいなくなった。風も止み、雨もなくなっている。残っているのは、すでに固まった血。
全てを受け入れる大地は、その血の塊を吸収していく―――。
ズガンッ。
大爆発が起き、ライトは吹き飛ばされるが、サテラはシールドで何とか耐える。
フラネスが爆炎の中から現れ、サテラの剣に何度も剣を打ち付ける。
サテラは強くとも、フラネスとは男と女―――力量の差は激しい。
「はぁっ、ぐっ……やりますわね。貴方、まだ手加減しているように、見えますわよ」
「うん。僕は手加減しているよ。……待っているんだ。戦力とやらを」
「まさか貴方! 読んでいるというんですの!?」
「勿論、読まないと戦いも何もないでしょ? じゃ、バイバイ~」
爆風が起きた。サテラが吹き飛ばされる。風の中では特別な条件を抜いた場合で人だろうと何だろうと動くことは難しい。
風の中に、刃が仕込まれていた。
あちこちから風の刃が長くなり短くなり伸びて、体を細かく斬りつける。
爆風が収まったころには、サテラの体力はなく地面に伏せていた。
「くっ……削って、くれますわね……」
「君じゃ僕と戦えないよ。じゃ、此処で殺しちゃうのもいいんじゃないかなー?」
「っ―――」
「待って。サテラさんは絶対に殺させない!」
「サテラさん、大丈夫ですか? 皆さんも早く転移して逃げてください。此処は危険です。あれこれ言わず転移をお願いします」
圧力を込めたアスカさんの言葉に、反論できずに皆が転移する。アスカさんと私。そしてフラネス。此処に残されたのは、三人だけだ。
―――戦の歯車が動き始める。勝つのは、どっちだ。
戦力的には、私の方が少し有利なくらいだ。どちらが勝つこともあり得る。
「アスカさんが倒れたら、終わる……」
小声でつぶやく。
この勝負の勝敗を決めているのは、アスカさんが居るかいないかだ。
―――経験が足りない私が出来るのは、アスカさんを倒させない、それだけだ。
族長とリイは残った二千の軍隊を一掃している。
(ふふ、この生意気な人たちにとどめを刺せないのが、腑に落ちない点ね)
転移先のベッドで、モニター画面を覗きながらファルナはそんなことを思っていた。
「さて、とどめを刺すか」
「―――待ちなさい」
明るく、しかし怒りを帯び、白銀の杖を構えた私が、空の上から飛び降りてファルナと、リイと族長の間に立ちふさがる。
加えて名の知れているアスカさんも私の隣で控えている。
「は、はは、全部作戦だったってことなのか」
やっと余裕そうににしていた族長の額に、冷汗が流れ落ちる。軍隊を少なくしたのは全て、私とアスカさんを用意するためだったのだ。
私とアスカさんが訓練している間の時間稼ぎ、ともいえる。
「そうだよ。全部貴方を確実に仕留めるための、計画だったんだよ」
「それなら話している時間は無いんではないのです!?」
「リイ。こいつは勝つ自信がある。こうして話していても俺達には負けない、こいつはそう言ってんだよ……」
小さいからと言って、族長が私を舐めることはない。私の体から溢れる魔力と威圧感が、絶対に私を舐めることを許さない。
さらにアスカさんの構えている剣のまとう空気を揺らす焔は―――。
「焔……」
「よくわかりましたね。確かにこの剣は焔という名です。忘れていなかったのですね、この剣も喜んでいるでしょう」
アスカさんの目が、『剣は喜んでいます』と物語っている色をしていない。ちなみにアスカさんは転移時に色々教えてくれたファルナを尊敬しており、そのファルナを傷つけたことをきっと許せてはいない。
私も、そんなアスカさんに尊敬している。もしアスカさんに何かあるようならば、きっと私も同じ行動をとっていた。
現に、族長とリイはアスカさんと私のオーラに気圧されている。
「……逆転したね」
重苦しく明るいように言った私の声で、族長とリイは我に返ったようだ。何としてでも勝たなければいけないことを自覚したのだろう。
私もアスカさんも、絶対勝たなきゃいけない。
大きく息を、吸う。
―――魔王様の所には行かせないし、魔王様を傷つけた人を許さない。
「はぁあああああああっ!!」
青色の、雷。
地面から、天へ、落ちる。
族長とリイは雷を感知し、上を見上げたが、下からだとは思わなかったようだ。リイが貫かれて血を吹き出して倒れる。
族長は目を見開き、リイを助けようとするが、アスカさんが風のシールドでそうさせない。その隙に私が身体強化をして杖を構える。
族長が私に目を向ける、その前に。
「風神、雨神―――私に力を貸してッ!」
風が吹き荒れ、雨が降った。暴風雨、そんなものだろう。雨で視界が良くなく、風でうまく動くことができない。
しかし私は、自分の身体強化ですべての条件を有利に運べる。
目に存分に強化し、足と手に集中して強化した。戦に必要な部位は全体的に強化した。
「うあっ―――」
「ふぃりあは此処で止まるわけには行かないの! ごめんなさいっ」
初めて人を傷つけた。
その傷付け方は、杖に強化をして、族長の腹辺りに突き刺した――――――。
「フィリア、行きますよ」
「うん、分かった」
しゅん、と冷めた音がして、血に濡れた戦場は誰もいなくなった。風も止み、雨もなくなっている。残っているのは、すでに固まった血。
全てを受け入れる大地は、その血の塊を吸収していく―――。
ズガンッ。
大爆発が起き、ライトは吹き飛ばされるが、サテラはシールドで何とか耐える。
フラネスが爆炎の中から現れ、サテラの剣に何度も剣を打ち付ける。
サテラは強くとも、フラネスとは男と女―――力量の差は激しい。
「はぁっ、ぐっ……やりますわね。貴方、まだ手加減しているように、見えますわよ」
「うん。僕は手加減しているよ。……待っているんだ。戦力とやらを」
「まさか貴方! 読んでいるというんですの!?」
「勿論、読まないと戦いも何もないでしょ? じゃ、バイバイ~」
爆風が起きた。サテラが吹き飛ばされる。風の中では特別な条件を抜いた場合で人だろうと何だろうと動くことは難しい。
風の中に、刃が仕込まれていた。
あちこちから風の刃が長くなり短くなり伸びて、体を細かく斬りつける。
爆風が収まったころには、サテラの体力はなく地面に伏せていた。
「くっ……削って、くれますわね……」
「君じゃ僕と戦えないよ。じゃ、此処で殺しちゃうのもいいんじゃないかなー?」
「っ―――」
「待って。サテラさんは絶対に殺させない!」
「サテラさん、大丈夫ですか? 皆さんも早く転移して逃げてください。此処は危険です。あれこれ言わず転移をお願いします」
圧力を込めたアスカさんの言葉に、反論できずに皆が転移する。アスカさんと私。そしてフラネス。此処に残されたのは、三人だけだ。
―――戦の歯車が動き始める。勝つのは、どっちだ。
戦力的には、私の方が少し有利なくらいだ。どちらが勝つこともあり得る。
「アスカさんが倒れたら、終わる……」
小声でつぶやく。
この勝負の勝敗を決めているのは、アスカさんが居るかいないかだ。
―――経験が足りない私が出来るのは、アスカさんを倒させない、それだけだ。
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