私は魔王様の騎士なのです~最強幼女が魔王様のために行く!~
九話『世界が回る最初の一歩』
「ふふふふ……あはははははははは―――!!」
念願の、異世界転移をしたものの中の一人―――。
僕の名は北野永夜―――現実世界では、ゲス男子と呼ばれていた時期もあり。
それはそうだ。
僕にとって都合が悪いものは―――遠慮なく切り捨てるからな!!
「ようやくだ……ようやくすべてが始まる……」
脳裏に浮かぶのは、ライトノベルのような主人公を困らせるようにヒロイン。
第一週目は、ちょっと耐えてみた。
第二週目は、もうくだらないと思った。
第三週目、僕は全てを開始させた。
お姉さんキャラに秘密をばらされ白い目で見られる―――よくあるシーンだけど、それは主人公への信頼の表し。
僕は、違うよ?
『ふうん……僕に歯向かうんだ……じゃあ僕が此処に居る全員を殺したら、またそんなことが言えるようになるのかなぁ!?』
『うそ、でしょう? エイヤが、そんな……』
『僕は表側が大嫌いだ。僕は僕らしく、裏で生きていくのが似合ってんだよ!』
そうして、一から三週まで―――もう見慣れてしまったかつての仲間たちを全員殺していった。僕にとってもういらないキャラクターだから。
四週目、裏組織を立ち上げた。
もう回る必要はないな、と五週目への道を一時封鎖しておく。
フィネスト魔術帝国を滅ぼした。あとは簡単だ。フィネストは簡単ではなかったけど、主要地帯をぶち壊せばあとは何とかなる。
運命体が地上に降りた噂は組織の中でも後を絶えない。
「僕が運命体に勝てる確率は?」
『78%です、マスター』
「そうか」
「永夜様―――! 行動を開始いたしますか?」
「うん。そうするよ―――スパイのミレシア。うるさいから死んでくれる? 君に言われなくても僕はそうするに決まっているじゃないか」
「うぐあっ」
今日も、一人死んだ。
ミレシアは本当にスパイなのだが、組織に入れていた使い物にならない奴らは全員ナビのエリスを借りて始末している。
いらない物を置いていても意味がない。使えないのだから。
―――行動を開始いたしますか?
「うぅ~ん」
倒れていた死体を蹴ると、それは消滅して光となりなくなった。
「異世界人全員消すか」
『最強は、マスター以外要らないです―――』
僕の力ははっきり言ってまだ覚醒しきれていない。最終覚醒まで行けるのなら、運命体に勝つのも難しい事じゃない。
僕を困らせたら終わりだ。
僕の機嫌を損ねたら死ぬ。
噂ばかりが組織の中で広まっているけれどまあ間違ってはいない。
「どうするエリス?」
『どうする、とは?』
「魔王城にね~、異世界人を発見したんだよ。とんでもない強さらしいんだけどね。そいつをどうするかって話」
『話を聞いてくれるのなら、仲間にした方が良いとは思いますが』
「そうだねぇ……」
僕は傍にあったペンを掴んで、羊皮紙に腕を身体強化させながら強く当てた。衝撃波が起こるが、僕の最大魔力で作られたこの部屋は壊れない。
しかし、街では地震に怯える人々の声が聞こえる―――。
「僕はでないほうがいいかもねぇ」
『ではワタクシが出ましょう《エリス・擬人化》』
淡い青の髪を腰まで長く伸ばした、水色の瞳をした美しい女性。これがエリスの擬人化で、擬人化は僕が作ったスキルだ。
エリスのユニークスキル、と言っても過言ではない。
「僕は奴隷商人や情報屋の顔見知りだからな。そこらへん聞けば僕の情報なんていくらでも入る。そろそろ行動を起こそうかエリス」
「すべては―――マスターのために」
僕は主人公みたいに奴隷を買って助けるようなマネはしない。古龍が出たって魔神が出たって僕に被害がなければ何もしなかった。
つまり、奴隷を買って使い古し壊し過ぎて色んな奴隷商人と顔見知りだ。
さらに裏ルートも使うのでほとんどの情報屋は僕のことを知っている。
僕はもう一度自分のステータスを開いた。
―――称号:邪神
「いつ見ても物騒だねえ。世界の人間がコレと僕の性格を見たら、魔王は討伐の対象にならなくなるだろうね?」
「マスターは死なせません。エリスが守ります」
「エリスも相変わらずそんなセリフを言うのが得意だね」
エリスは。
エリスは僕がそんな言葉を信じないと分かっていながらも、事あるごとに敬意を示す言葉をかけてくる。
信じたい、できれば世界を信じて人々を信じたい。
―――でも僕にはムリだ。すでにもう後戻りできないレベルなのだから。
「唄え叫べ嘆け―――地獄の業火はそこにあり―――闇の光はただ一点―――運命の歯車を壊し燃やし亀裂を起こせ―――」
「「《運命裁断》」」
詠唱をすると、僕の前に幾万をも超える様々な次元の様々な場面を映したモニターが現れた。僕の前にというよりは部屋全体に広がっている。
詠唱した本人である僕とエリスさえも一瞬意識がフリーズした。
「これを全部見るには時間がかかりそうだね。―――エリス」
「精霊の光、精霊の守り、精霊の祝福―――集え、百の精霊!」
『エリス様永夜様、何なりとお申し付けくださいませ』
精霊召喚士。
これも僕がエリスに取り付けた称号と属性とスキルだ。称号と属性とスキルを共に取り付けるのは、さすがに少し疲れてしまったが。
結果としてエリスは百の精霊を従え、大精霊四人に慕われている。
ちなみにその大精霊の中の二人は僕を師匠と呼んでいる。原因は分からない。
「擬人化して―――攪乱せよ」
『はっ。その御命令、必ずや全う致しましょう―――』
百の精霊が二つに分散し、一人の男性と一人の女性に擬人化した。二人は礼をすると、エリスの命令を聞いて部屋から出た。
何をするのか明確ではない命令を、彼らが理解し違うことは無かった。
僕はニヤリと笑った。
エリスはまだ見ぬ未来に、心を躍らせていた―――。
念願の、異世界転移をしたものの中の一人―――。
僕の名は北野永夜―――現実世界では、ゲス男子と呼ばれていた時期もあり。
それはそうだ。
僕にとって都合が悪いものは―――遠慮なく切り捨てるからな!!
「ようやくだ……ようやくすべてが始まる……」
脳裏に浮かぶのは、ライトノベルのような主人公を困らせるようにヒロイン。
第一週目は、ちょっと耐えてみた。
第二週目は、もうくだらないと思った。
第三週目、僕は全てを開始させた。
お姉さんキャラに秘密をばらされ白い目で見られる―――よくあるシーンだけど、それは主人公への信頼の表し。
僕は、違うよ?
『ふうん……僕に歯向かうんだ……じゃあ僕が此処に居る全員を殺したら、またそんなことが言えるようになるのかなぁ!?』
『うそ、でしょう? エイヤが、そんな……』
『僕は表側が大嫌いだ。僕は僕らしく、裏で生きていくのが似合ってんだよ!』
そうして、一から三週まで―――もう見慣れてしまったかつての仲間たちを全員殺していった。僕にとってもういらないキャラクターだから。
四週目、裏組織を立ち上げた。
もう回る必要はないな、と五週目への道を一時封鎖しておく。
フィネスト魔術帝国を滅ぼした。あとは簡単だ。フィネストは簡単ではなかったけど、主要地帯をぶち壊せばあとは何とかなる。
運命体が地上に降りた噂は組織の中でも後を絶えない。
「僕が運命体に勝てる確率は?」
『78%です、マスター』
「そうか」
「永夜様―――! 行動を開始いたしますか?」
「うん。そうするよ―――スパイのミレシア。うるさいから死んでくれる? 君に言われなくても僕はそうするに決まっているじゃないか」
「うぐあっ」
今日も、一人死んだ。
ミレシアは本当にスパイなのだが、組織に入れていた使い物にならない奴らは全員ナビのエリスを借りて始末している。
いらない物を置いていても意味がない。使えないのだから。
―――行動を開始いたしますか?
「うぅ~ん」
倒れていた死体を蹴ると、それは消滅して光となりなくなった。
「異世界人全員消すか」
『最強は、マスター以外要らないです―――』
僕の力ははっきり言ってまだ覚醒しきれていない。最終覚醒まで行けるのなら、運命体に勝つのも難しい事じゃない。
僕を困らせたら終わりだ。
僕の機嫌を損ねたら死ぬ。
噂ばかりが組織の中で広まっているけれどまあ間違ってはいない。
「どうするエリス?」
『どうする、とは?』
「魔王城にね~、異世界人を発見したんだよ。とんでもない強さらしいんだけどね。そいつをどうするかって話」
『話を聞いてくれるのなら、仲間にした方が良いとは思いますが』
「そうだねぇ……」
僕は傍にあったペンを掴んで、羊皮紙に腕を身体強化させながら強く当てた。衝撃波が起こるが、僕の最大魔力で作られたこの部屋は壊れない。
しかし、街では地震に怯える人々の声が聞こえる―――。
「僕はでないほうがいいかもねぇ」
『ではワタクシが出ましょう《エリス・擬人化》』
淡い青の髪を腰まで長く伸ばした、水色の瞳をした美しい女性。これがエリスの擬人化で、擬人化は僕が作ったスキルだ。
エリスのユニークスキル、と言っても過言ではない。
「僕は奴隷商人や情報屋の顔見知りだからな。そこらへん聞けば僕の情報なんていくらでも入る。そろそろ行動を起こそうかエリス」
「すべては―――マスターのために」
僕は主人公みたいに奴隷を買って助けるようなマネはしない。古龍が出たって魔神が出たって僕に被害がなければ何もしなかった。
つまり、奴隷を買って使い古し壊し過ぎて色んな奴隷商人と顔見知りだ。
さらに裏ルートも使うのでほとんどの情報屋は僕のことを知っている。
僕はもう一度自分のステータスを開いた。
―――称号:邪神
「いつ見ても物騒だねえ。世界の人間がコレと僕の性格を見たら、魔王は討伐の対象にならなくなるだろうね?」
「マスターは死なせません。エリスが守ります」
「エリスも相変わらずそんなセリフを言うのが得意だね」
エリスは。
エリスは僕がそんな言葉を信じないと分かっていながらも、事あるごとに敬意を示す言葉をかけてくる。
信じたい、できれば世界を信じて人々を信じたい。
―――でも僕にはムリだ。すでにもう後戻りできないレベルなのだから。
「唄え叫べ嘆け―――地獄の業火はそこにあり―――闇の光はただ一点―――運命の歯車を壊し燃やし亀裂を起こせ―――」
「「《運命裁断》」」
詠唱をすると、僕の前に幾万をも超える様々な次元の様々な場面を映したモニターが現れた。僕の前にというよりは部屋全体に広がっている。
詠唱した本人である僕とエリスさえも一瞬意識がフリーズした。
「これを全部見るには時間がかかりそうだね。―――エリス」
「精霊の光、精霊の守り、精霊の祝福―――集え、百の精霊!」
『エリス様永夜様、何なりとお申し付けくださいませ』
精霊召喚士。
これも僕がエリスに取り付けた称号と属性とスキルだ。称号と属性とスキルを共に取り付けるのは、さすがに少し疲れてしまったが。
結果としてエリスは百の精霊を従え、大精霊四人に慕われている。
ちなみにその大精霊の中の二人は僕を師匠と呼んでいる。原因は分からない。
「擬人化して―――攪乱せよ」
『はっ。その御命令、必ずや全う致しましょう―――』
百の精霊が二つに分散し、一人の男性と一人の女性に擬人化した。二人は礼をすると、エリスの命令を聞いて部屋から出た。
何をするのか明確ではない命令を、彼らが理解し違うことは無かった。
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