私は魔王様の騎士なのです~最強幼女が魔王様のために行く!~
三話『まおうさまの所に行かせません!』
私の杖、白銀の杖の先へ魔力がたまっていく。もうそう遠くない場所に見えた人間たちが怯んで進軍を止めるのが見える。
「―――――――――」
完全無詠唱。
技の名前すらも唱えずに魔法を発動できる無詠唱の最高峰。私はそれをいとも簡単に使って『破壊の女王』という技を撃ちだす。
土が無遠慮に削れていき、台風のような強風が人間の居る所を中心に広がるように大破壊を進めていく。この先は絶対に通さない。
私はその後も白銀の杖を握って無数に光を放ち続けた。
「《無限の破壊よ、無限の破滅よ、愚かな人類どもに思い知らせ!》」
人間を圧迫するように空気が圧縮し、あちこちで目を塞ぎたくなるような情景が私の目に入ってくる。しかし私が目を塞ぐことは無い。
むしろこの情景を焼き付けなければいけない、そんな感じがした。
私が少し疲れて、息を突こうとすると同時に、爆風が晴れた。
「へえ、この世界にまだアタシ達以上の実力を持った人がいたのね」
「オレはまぁ……ちょっと不利だとは思うけどな?」
「―――何が何だろうと、通さない! ふぃりあは守らなきゃいけないから!」
乱れ始めた息を整え、私は白銀の杖を構えなおす。何百人も何千人も何万人もの人間を、仮にも昔は同じランクに居た生物を殺した。
私には現在魔の血が流れているが、昔は人間に血が流れていたのに。
なんにせよ、いい気分ではなかった。でも、これは魔王様のためだ。
「ヒーロー気取りなの? 残念、ヒーローの役目は私たちよ?」
「違う! 私は私を助けてくれた魔王様を助けたい、ただそれだけ!」
白銀の杖に魔力を込めて、次の瞬間に私の肩までの紫に藍色を足した髪が上にはためき、紅く燃え上がり黒の電撃を纏った鎖が出現した。
「《行け。私の使役に応えて―――》」
「これはまた―――強力な」
「まあ、しゃーねーし?」
冷や汗を流して剣を構える女に対し、男は不安気にしながらもだらけた表情で弓を構えている。二人が小さな声で詠唱を始める。
その前に――――――。
私の鎖は二人をとらえ、強く強くしばりつけた。電撃が流される。
「ぐっ……衝撃波ぉっ!!」
「絶対斬撃」
極限状態で魔力を大量に使い、私の鎖を吹き飛ばした女。だらけている男は魔力を半分ほど消費して私の鎖を吹き飛ばした。
手に取るように、まるで見せてきているかのようにお見通しだ。
男の持つ技、絶対斬撃は一生に十回使えて、魔力を半分消費して何でも切断する技だ。
「……これをオレは二回以上使える。アイの魔力が続く限りな。こいつは攻撃に特化していない、回復士だからな」
「回復士でこの性格かよ、と思ったかもしれないけど、本当に回復士なのよ……この調子だと……あと二回はソーマの魔力を全回復できるわ」
「本調子だったら何回出来るの?」
「五回はできるわ……全く、こんなに小さいのに三回分も削ってくれるなんてね」
ムッ。
小さいからってバカにされると私は少し頭にくる。小さい頃から私は見た物を全てインプット出来たり、周りの子より大人っぽかったりする。
三歳なのに、六歳並の頭脳を持っていたりとか……。
漢字やひらがなを覚えるのも全部二歳で出来ちゃって、何度も病院に行ったけど問題は無く、人体実験されるのではないかと不安になるくらいだ。
もしも私の体質のことを科学的に公表したら、そうなっていたかもしれない。
思考が外れた。
私はもう一度深呼吸をしてまた杖を構えなおす。
「《杖よ、そなたの潜在能力を―――》」
「絶対斬撃」
「っ!? なるほど、人間たちは詠唱語というのがないんだね」
詠唱語は、魔王城ではみんな使っている詠唱するときに使う特殊な言葉。でも、それをいらずに魔法を使うのが人間なのだろう。
どちらかというと、専門用語を使った方が効率はいいのにな。
潜在能力を覚醒させようとしたのに、斬撃を喰らって消されてしまった。
「そろそろその杖……消し飛ばした方がいいのかな?」
「杖を消し飛ばす? そんなことはさせないよ。だって私の大事な相棒なんだもん」
《フィリアお嬢、ありがとうございます~照れます~》
相変わらず余裕そうに杖から声が聞こえる。《シルヴィア》これがこの杖の名前である。いつも余裕そうにしていて、今のところその力はフィリアより上だ。
でも訓練していけばフィリアはシルヴィアを超えると皆が思っている。
―――ならば、仕方ない。
「はぁっ!」
《邪気眼》
魔王様から学ばせてもらった、魔王様にしか使えない魔法を発動させる。絶対斬撃でも切れない、これは魔王様の必殺技。
それを完全無詠唱でできてしまう私は、何なのだろう。
今まで発動してきた魔法は、全部同じく完全無詠唱でできたけれど、邪気眼の発動条件は一回以上詠唱して魔法を放つことなのだ。
私の右目が紅く染まり、左目は黒く濁った。
「《お行きなさい》」
黒い煙が上がり、女を包んだ。男は女を助けようとするものの、私が再度出した鎖に阻まれ倒れてしまう。
「アイ―――!!」
手を伸ばして悲痛に叫ぶ男の声がした。全てが晴れた後、女の姿は消えてなくなっていたからだ。黒い靄の中で大爆発が起きたのだから。
二酸化炭素で包まれた煙は靄の壁のせいで逃れられず、死んでしまう。
邪気眼は強力だ。
魔法的にも物理的でもなく、科学的に確実に相手を仕留めることができるから。
「これで回復役はいなくなったよ―――一対一だね?」
「くっ……これだから魔王はぁああ!! 神の加護ぉおおお!!」
「魔王様を悪く言ったら許さない―――暗黒覇王の加護―――」
次元旋風。
次元を捻じ曲げながらもブラックホールと同じ役目をするスキルを展開した。神の加護で押し飛ばされる。
これほど強力だということは、最高神ゼウスくらいの加護かそれとも。
「どちらにせよ―――!?」
「絶対斬撃! からのぉ!! 死の神タナトス、召喚!」
「召喚士!?」
次元旋風を消し飛ばされ、残った魔力で死の神タナトスを召喚した男。それとともに男は倒れ、私の表情はさらに険しくなる。
それと同時に、私の所以外でも戦う音が聞こえる。
―――魔王様!
そうだ。負けるわけには行かない。
だって魔王様の所へ通すわけには行かないんだから!
「―――――――――」
完全無詠唱。
技の名前すらも唱えずに魔法を発動できる無詠唱の最高峰。私はそれをいとも簡単に使って『破壊の女王』という技を撃ちだす。
土が無遠慮に削れていき、台風のような強風が人間の居る所を中心に広がるように大破壊を進めていく。この先は絶対に通さない。
私はその後も白銀の杖を握って無数に光を放ち続けた。
「《無限の破壊よ、無限の破滅よ、愚かな人類どもに思い知らせ!》」
人間を圧迫するように空気が圧縮し、あちこちで目を塞ぎたくなるような情景が私の目に入ってくる。しかし私が目を塞ぐことは無い。
むしろこの情景を焼き付けなければいけない、そんな感じがした。
私が少し疲れて、息を突こうとすると同時に、爆風が晴れた。
「へえ、この世界にまだアタシ達以上の実力を持った人がいたのね」
「オレはまぁ……ちょっと不利だとは思うけどな?」
「―――何が何だろうと、通さない! ふぃりあは守らなきゃいけないから!」
乱れ始めた息を整え、私は白銀の杖を構えなおす。何百人も何千人も何万人もの人間を、仮にも昔は同じランクに居た生物を殺した。
私には現在魔の血が流れているが、昔は人間に血が流れていたのに。
なんにせよ、いい気分ではなかった。でも、これは魔王様のためだ。
「ヒーロー気取りなの? 残念、ヒーローの役目は私たちよ?」
「違う! 私は私を助けてくれた魔王様を助けたい、ただそれだけ!」
白銀の杖に魔力を込めて、次の瞬間に私の肩までの紫に藍色を足した髪が上にはためき、紅く燃え上がり黒の電撃を纏った鎖が出現した。
「《行け。私の使役に応えて―――》」
「これはまた―――強力な」
「まあ、しゃーねーし?」
冷や汗を流して剣を構える女に対し、男は不安気にしながらもだらけた表情で弓を構えている。二人が小さな声で詠唱を始める。
その前に――――――。
私の鎖は二人をとらえ、強く強くしばりつけた。電撃が流される。
「ぐっ……衝撃波ぉっ!!」
「絶対斬撃」
極限状態で魔力を大量に使い、私の鎖を吹き飛ばした女。だらけている男は魔力を半分ほど消費して私の鎖を吹き飛ばした。
手に取るように、まるで見せてきているかのようにお見通しだ。
男の持つ技、絶対斬撃は一生に十回使えて、魔力を半分消費して何でも切断する技だ。
「……これをオレは二回以上使える。アイの魔力が続く限りな。こいつは攻撃に特化していない、回復士だからな」
「回復士でこの性格かよ、と思ったかもしれないけど、本当に回復士なのよ……この調子だと……あと二回はソーマの魔力を全回復できるわ」
「本調子だったら何回出来るの?」
「五回はできるわ……全く、こんなに小さいのに三回分も削ってくれるなんてね」
ムッ。
小さいからってバカにされると私は少し頭にくる。小さい頃から私は見た物を全てインプット出来たり、周りの子より大人っぽかったりする。
三歳なのに、六歳並の頭脳を持っていたりとか……。
漢字やひらがなを覚えるのも全部二歳で出来ちゃって、何度も病院に行ったけど問題は無く、人体実験されるのではないかと不安になるくらいだ。
もしも私の体質のことを科学的に公表したら、そうなっていたかもしれない。
思考が外れた。
私はもう一度深呼吸をしてまた杖を構えなおす。
「《杖よ、そなたの潜在能力を―――》」
「絶対斬撃」
「っ!? なるほど、人間たちは詠唱語というのがないんだね」
詠唱語は、魔王城ではみんな使っている詠唱するときに使う特殊な言葉。でも、それをいらずに魔法を使うのが人間なのだろう。
どちらかというと、専門用語を使った方が効率はいいのにな。
潜在能力を覚醒させようとしたのに、斬撃を喰らって消されてしまった。
「そろそろその杖……消し飛ばした方がいいのかな?」
「杖を消し飛ばす? そんなことはさせないよ。だって私の大事な相棒なんだもん」
《フィリアお嬢、ありがとうございます~照れます~》
相変わらず余裕そうに杖から声が聞こえる。《シルヴィア》これがこの杖の名前である。いつも余裕そうにしていて、今のところその力はフィリアより上だ。
でも訓練していけばフィリアはシルヴィアを超えると皆が思っている。
―――ならば、仕方ない。
「はぁっ!」
《邪気眼》
魔王様から学ばせてもらった、魔王様にしか使えない魔法を発動させる。絶対斬撃でも切れない、これは魔王様の必殺技。
それを完全無詠唱でできてしまう私は、何なのだろう。
今まで発動してきた魔法は、全部同じく完全無詠唱でできたけれど、邪気眼の発動条件は一回以上詠唱して魔法を放つことなのだ。
私の右目が紅く染まり、左目は黒く濁った。
「《お行きなさい》」
黒い煙が上がり、女を包んだ。男は女を助けようとするものの、私が再度出した鎖に阻まれ倒れてしまう。
「アイ―――!!」
手を伸ばして悲痛に叫ぶ男の声がした。全てが晴れた後、女の姿は消えてなくなっていたからだ。黒い靄の中で大爆発が起きたのだから。
二酸化炭素で包まれた煙は靄の壁のせいで逃れられず、死んでしまう。
邪気眼は強力だ。
魔法的にも物理的でもなく、科学的に確実に相手を仕留めることができるから。
「これで回復役はいなくなったよ―――一対一だね?」
「くっ……これだから魔王はぁああ!! 神の加護ぉおおお!!」
「魔王様を悪く言ったら許さない―――暗黒覇王の加護―――」
次元旋風。
次元を捻じ曲げながらもブラックホールと同じ役目をするスキルを展開した。神の加護で押し飛ばされる。
これほど強力だということは、最高神ゼウスくらいの加護かそれとも。
「どちらにせよ―――!?」
「絶対斬撃! からのぉ!! 死の神タナトス、召喚!」
「召喚士!?」
次元旋風を消し飛ばされ、残った魔力で死の神タナトスを召喚した男。それとともに男は倒れ、私の表情はさらに険しくなる。
それと同時に、私の所以外でも戦う音が聞こえる。
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