ミミック転生 ~『比類なき同族殺し』の汚名を晴らす方法~
ニンバリの館?
荒くれ達に動揺が走っている。
頭を抑えられて、行動ができるヤツはいないらしい。
「君、何を悪い事したの?」
僕は直接、頭に聞いて見る事にした。ところが―———
「てめぇ、誰の差し金だ」
剣を突きつけられても、怒声を張り上げて話にならない。
「仕方ないか」と僕は首筋に押し付けた剣を軽く引く。
うっすらと鮮血が滲み始めた。
すると虚勢を張っていた頭が大人しくなった。
「す、すまねぇ、俺らが悪かった。許してくれ」
「それじゃ、手始めに手下を店の外に出してくれないかい?」
「わかった。おい、お前ら」と頭が声を出すと、僕を囲んでいた冒険者たちは酒場から出て行った。
「普通、最初はマスターに修理費を払ってもらうのが筋なんでしょうが、僕は急ぎの旅をしているのでねぇ。聞いてましたよね?最初に僕がこの店に来た理由を話していたのを」
「あっ……あぁ、聞いていたとも、人探しだってな」
「話が早い。ではニンバリって人を知ってますか?」
期待していたわけじゃない。
魔族の復活という前代未聞の計画を遂行しているヤツが、こんな所で大々的に活動しているとは思っていなかった。だから意外だった。
「ニンバリだって? もちろん知ってるさ。ここらで知らない奴は潜りだぜ」
「……え?」
「あの悪魔教崇拝者は、ここらの有名人だぜ」
・・・
・・・・・・
・・・・・・・・・
「ここがニンバリの屋敷ね」
冒険者の頭だった男の話は半信半疑だった。
だが、それ以降の聞き込みでわかった事がある。
どうやら、本当にニンバリという男は、有名人らしい。
それも悪魔教崇拝者としてだ。
「本物の悪魔教なんて歴史上では確認された事のない都市伝説のはずなんだが……」
聖騎士団なら、何かわかるかもしれない。
ニンバリの足取り。それどころか、潜伏先までわかったのだ。
ギルドへ報告するために戻るべきなのかもしれない。
しかし、どこまでも疑心暗鬼だった僕は、そこに足を踏み入れたのだった。
「お邪魔します」
ドアノッカー。ドアについた獅子が輪っかを咥えているアレだ。
それを僕は、ガンガンと叩いて音を出す。
内部の反応は……なしか。もしかすると留守なのかもしれない。
ならば、都合がいい。僕はドアを蹴とばす。
破壊と共にドアは蹴破られた。 内部は太陽の光を吸収するが如く漆黒。
そして、その先―――
(いる!)
僕は剣を納めた鞘を外す。
ならば先手必勝。僕は、前に飛び出すと共に鞘を後方へ投げるように滑らせる。
鞘の内部で十分に加速した剣は、最速必殺。
切った。
確かに感じた手ごたえ。
しかし、その相手はどこへ?
漆黒が支配する空間で視界は利かない。
初手こそ気配感知によって敵の居場所を突き止めたが……
今は、その気配すら闇に溶け込んでいる。
(僕の気配感知スキルを超えるのか? それとも、何か……ほかに?)
そう考え時だった。
室内に灯りが燈り始めた。
通路に置かれた蝋燭に火が付いたのだ。
その光はゆらりゆらりと揺らめいていく。
そして、1人の男を照らした。
「貴方がニンバリか?」
僕は声を張り上げた。決闘を申し込むように―――
だが、しかし、彼はこう返した。
「貴方がニンバリか?貴方?あぁ、私、俺、ボク……あれ?誰だったけ?私は……誰?」
その男を一言で称する挙動不審だった。目の焦点は合わず、左右に体を揺らしている。
(錯乱しているのか?)
僕は警戒心をより強める。
なぜなら、正気を失って見える男から、尋常ではない膨大な魔力のナニカを感じたからだ。
ナニカ……残念だが、僕の知識には、ソレを説明する言葉を存在していなかったのだ。
頭を抑えられて、行動ができるヤツはいないらしい。
「君、何を悪い事したの?」
僕は直接、頭に聞いて見る事にした。ところが―———
「てめぇ、誰の差し金だ」
剣を突きつけられても、怒声を張り上げて話にならない。
「仕方ないか」と僕は首筋に押し付けた剣を軽く引く。
うっすらと鮮血が滲み始めた。
すると虚勢を張っていた頭が大人しくなった。
「す、すまねぇ、俺らが悪かった。許してくれ」
「それじゃ、手始めに手下を店の外に出してくれないかい?」
「わかった。おい、お前ら」と頭が声を出すと、僕を囲んでいた冒険者たちは酒場から出て行った。
「普通、最初はマスターに修理費を払ってもらうのが筋なんでしょうが、僕は急ぎの旅をしているのでねぇ。聞いてましたよね?最初に僕がこの店に来た理由を話していたのを」
「あっ……あぁ、聞いていたとも、人探しだってな」
「話が早い。ではニンバリって人を知ってますか?」
期待していたわけじゃない。
魔族の復活という前代未聞の計画を遂行しているヤツが、こんな所で大々的に活動しているとは思っていなかった。だから意外だった。
「ニンバリだって? もちろん知ってるさ。ここらで知らない奴は潜りだぜ」
「……え?」
「あの悪魔教崇拝者は、ここらの有名人だぜ」
・・・
・・・・・・
・・・・・・・・・
「ここがニンバリの屋敷ね」
冒険者の頭だった男の話は半信半疑だった。
だが、それ以降の聞き込みでわかった事がある。
どうやら、本当にニンバリという男は、有名人らしい。
それも悪魔教崇拝者としてだ。
「本物の悪魔教なんて歴史上では確認された事のない都市伝説のはずなんだが……」
聖騎士団なら、何かわかるかもしれない。
ニンバリの足取り。それどころか、潜伏先までわかったのだ。
ギルドへ報告するために戻るべきなのかもしれない。
しかし、どこまでも疑心暗鬼だった僕は、そこに足を踏み入れたのだった。
「お邪魔します」
ドアノッカー。ドアについた獅子が輪っかを咥えているアレだ。
それを僕は、ガンガンと叩いて音を出す。
内部の反応は……なしか。もしかすると留守なのかもしれない。
ならば、都合がいい。僕はドアを蹴とばす。
破壊と共にドアは蹴破られた。 内部は太陽の光を吸収するが如く漆黒。
そして、その先―――
(いる!)
僕は剣を納めた鞘を外す。
ならば先手必勝。僕は、前に飛び出すと共に鞘を後方へ投げるように滑らせる。
鞘の内部で十分に加速した剣は、最速必殺。
切った。
確かに感じた手ごたえ。
しかし、その相手はどこへ?
漆黒が支配する空間で視界は利かない。
初手こそ気配感知によって敵の居場所を突き止めたが……
今は、その気配すら闇に溶け込んでいる。
(僕の気配感知スキルを超えるのか? それとも、何か……ほかに?)
そう考え時だった。
室内に灯りが燈り始めた。
通路に置かれた蝋燭に火が付いたのだ。
その光はゆらりゆらりと揺らめいていく。
そして、1人の男を照らした。
「貴方がニンバリか?」
僕は声を張り上げた。決闘を申し込むように―――
だが、しかし、彼はこう返した。
「貴方がニンバリか?貴方?あぁ、私、俺、ボク……あれ?誰だったけ?私は……誰?」
その男を一言で称する挙動不審だった。目の焦点は合わず、左右に体を揺らしている。
(錯乱しているのか?)
僕は警戒心をより強める。
なぜなら、正気を失って見える男から、尋常ではない膨大な魔力のナニカを感じたからだ。
ナニカ……残念だが、僕の知識には、ソレを説明する言葉を存在していなかったのだ。
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