ミミック転生 ~『比類なき同族殺し』の汚名を晴らす方法~
魔族到来
俺は魔方陣があった場所を見る。
禍々しさを放っていた魔方陣はもうない。
しかし、その場所に存在していたことを刻むように、床は焦げている。焼き印のように残っているのは―――
「エンブレム・・・紋章か?」
黒いそれは悪魔の横顔。それも笑っているように見える。
紋章に俺のユニークスキル『異世界の知識』が反応を示す。
それによると―――
『魔族の紋章・・・・・・』
魔族とは人間とは違う進化を遂げた存在。
魔物の食物連鎖の頂点に立つ存在。
人間とは違う、もうひとつの霊長類。それが魔族だった。
しかし、今の世の中、魔族を見る機会はないと言える。
生存戦争。過去、何度となく行われた人類と魔族の戦争が行われた。
それに魔族は敗北したのだ。
個の力は圧倒的に人類を上回る魔族ではあったが、弱点があった。
それは、武力や戦闘能力といった弱点ではなく生物としての弱点。
魔族の弱点は繁殖能力の低さだった。
強靭な肉体。死ににくい生物である魔族は、長きに及ぶ戦争により、繁殖の機会を失い、歴史の表舞台から姿を消した。
「その魔族の紋章がどうしてこんなところに?それに本物なのか?」
俺はマリアに聞いた。
魔方陣を解除したマリアには、その際に魔方陣を作った術者の情報が大量に流れ込んでいるはずだ。
「本物だった。誰かが―――いえ、本物の魔族が、夜な夜な魔方陣をここに書いて・・・コウくんをコントロールしていた・・・」
「コントロール?洗脳されたということか?そうか。そうやって自分の意思で家を抜け出すように誘導した。だから母親は息子が抜け出したことに気づかなかった」
そんな俺の意見をマリアは否定した。
「違うよ、あれは洗脳とは違っていた。うまく説明できないけど・・・・・・あれは存在そのものを上書きするような感じだった」
「存在そのものを・・・・・・」
俺はマリアの言葉を漠然としか理解できなかった。
「しかし、どうする? 一度、ギルドに緊急の連絡すべきじゃないのか?」
「そうだね、相手が姿を消したはずの魔族なら、私たちだけじゃ無理かも・・・・・・」
俺たちはギルドに向かうことにした。
しかし―――
「僕のトラップを解除した人間がどんな奴か気になって戻ってみたら・・・・・・この程度か。興覚めだね」
「え?」と俺。
「え?」とマリア。
突如として現れた第三者に反応できなった。
一体、いつの間に?
そんな疑問も一瞬で吹き飛ばされた。
その第三者の風貌は、依頼人に見せられた似顔絵と同じモノだったからだ。
5日間、行方不明だったはずのコウ少年がそこにいた。
似顔絵と同一の顔だが、その表情には禍々しさを感じさせる笑顔がこびりついている。それよりも―――コウ少年の背中には、自身が魔族であるということ示すように羽が生えていた。
漆黒の羽。 左右に3枚の羽。計6枚の羽を背中に生やした魔族。
さっきまで気配すら感じることができなかったはずなのに―――
(う、動けない!?)
その存在を認識してしまうと、その存在感は物理的なエネルギーを帯びて、俺の動きを封じていた。
「なんと脆弱な。本当に我々、魔族がこんな人間に負けたというのか?」
コウ少年は値踏するような視線。
その直後―――
「もう、殺すか」
コウ少年の周囲に魔力が集まり、膨張していく。
それの魔力が放出される直前に―――
「させないよ!」
打撃音が室内に響いた。
マリアの拳がコウ少年の肉体を激しく叩いたのだ。
「ぐっ」とコウ少年から短い呻き声。
「ミッくん、私の剣を!」
マリアの声に俺は「おっ、応!」と反応する。
束縛されていたはずの体が動く。
(マリアの攻撃が魔族に有効だったからか?)
「ミッくん、早く!速く!」
マリアに急かされて俺は体内に収納していたマリアの大剣を取りだし、本来の持ち主であるマリアに手渡した。
禍々しさを放っていた魔方陣はもうない。
しかし、その場所に存在していたことを刻むように、床は焦げている。焼き印のように残っているのは―――
「エンブレム・・・紋章か?」
黒いそれは悪魔の横顔。それも笑っているように見える。
紋章に俺のユニークスキル『異世界の知識』が反応を示す。
それによると―――
『魔族の紋章・・・・・・』
魔族とは人間とは違う進化を遂げた存在。
魔物の食物連鎖の頂点に立つ存在。
人間とは違う、もうひとつの霊長類。それが魔族だった。
しかし、今の世の中、魔族を見る機会はないと言える。
生存戦争。過去、何度となく行われた人類と魔族の戦争が行われた。
それに魔族は敗北したのだ。
個の力は圧倒的に人類を上回る魔族ではあったが、弱点があった。
それは、武力や戦闘能力といった弱点ではなく生物としての弱点。
魔族の弱点は繁殖能力の低さだった。
強靭な肉体。死ににくい生物である魔族は、長きに及ぶ戦争により、繁殖の機会を失い、歴史の表舞台から姿を消した。
「その魔族の紋章がどうしてこんなところに?それに本物なのか?」
俺はマリアに聞いた。
魔方陣を解除したマリアには、その際に魔方陣を作った術者の情報が大量に流れ込んでいるはずだ。
「本物だった。誰かが―――いえ、本物の魔族が、夜な夜な魔方陣をここに書いて・・・コウくんをコントロールしていた・・・」
「コントロール?洗脳されたということか?そうか。そうやって自分の意思で家を抜け出すように誘導した。だから母親は息子が抜け出したことに気づかなかった」
そんな俺の意見をマリアは否定した。
「違うよ、あれは洗脳とは違っていた。うまく説明できないけど・・・・・・あれは存在そのものを上書きするような感じだった」
「存在そのものを・・・・・・」
俺はマリアの言葉を漠然としか理解できなかった。
「しかし、どうする? 一度、ギルドに緊急の連絡すべきじゃないのか?」
「そうだね、相手が姿を消したはずの魔族なら、私たちだけじゃ無理かも・・・・・・」
俺たちはギルドに向かうことにした。
しかし―――
「僕のトラップを解除した人間がどんな奴か気になって戻ってみたら・・・・・・この程度か。興覚めだね」
「え?」と俺。
「え?」とマリア。
突如として現れた第三者に反応できなった。
一体、いつの間に?
そんな疑問も一瞬で吹き飛ばされた。
その第三者の風貌は、依頼人に見せられた似顔絵と同じモノだったからだ。
5日間、行方不明だったはずのコウ少年がそこにいた。
似顔絵と同一の顔だが、その表情には禍々しさを感じさせる笑顔がこびりついている。それよりも―――コウ少年の背中には、自身が魔族であるということ示すように羽が生えていた。
漆黒の羽。 左右に3枚の羽。計6枚の羽を背中に生やした魔族。
さっきまで気配すら感じることができなかったはずなのに―――
(う、動けない!?)
その存在を認識してしまうと、その存在感は物理的なエネルギーを帯びて、俺の動きを封じていた。
「なんと脆弱な。本当に我々、魔族がこんな人間に負けたというのか?」
コウ少年は値踏するような視線。
その直後―――
「もう、殺すか」
コウ少年の周囲に魔力が集まり、膨張していく。
それの魔力が放出される直前に―――
「させないよ!」
打撃音が室内に響いた。
マリアの拳がコウ少年の肉体を激しく叩いたのだ。
「ぐっ」とコウ少年から短い呻き声。
「ミッくん、私の剣を!」
マリアの声に俺は「おっ、応!」と反応する。
束縛されていたはずの体が動く。
(マリアの攻撃が魔族に有効だったからか?)
「ミッくん、早く!速く!」
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