-フォックス×フレンド-
「濡れる狐」Ⅱ
降り止む気配のないどしゃ降りの雨の音を聞きながら、俺と狐音は図書室に着いた。
 「失礼しまーす………って誰もいないな………」
いつもなら司書や図書委員の生徒がいるはずなのだが、誰もいないらしく図書室内は恐ろしいほど静まりかえっていた。聴こえてくるのはどしゃ降りの雨が窓を打ち付ける音だけである。
 「………使えないの?」
 狐音が心配するように聞いてきた。
 「いや、そういう訳じゃないんだけどね。逆に静かすぎて………」
 「………耳が痛い?」
 「うん。そんな感じ」
 司書がいないと本が返せないので、借りていた本は返却ポストに入れた。
その間に狐音は本棚の奥に吸い込まれるように移動していたので、俺は読んでいたシリーズ本の続きを手に取り、図書室内の一番端の席に座り、本を開く。それと同時に狐音が一冊の本を片手に戻ってきた。
 狐音は俺の隣の席に座った。
いや、座るのなら向かい側の席ではないのか?と疑問を口に出しそうになったが、止めた。
―――数十分後
 「「………………」」
 今のところ会話はない。
 俺は手の内にある本を読み終えて、次の巻を読もうと席を立ち上がる際にチラリと狐音の読む本の題名を見た。
 『狐でもわかる!簡単な友達の作り方~会話・雑談編~』
 「………………」
 狐音は呼吸をも忘れたかのように熱心に(?)読みふけていた。
………図書室にこんな本があるとは初めて知ったよ。てか狐でもわかるとか、嘗めてかかっているようにしか思えないわ。
しかし、そんな本を食い入るように読んでいる狐音を見ていると、なぜだか何も言う気になれなかった。
 (………ま、いっか)
 俺は読んでいた本を本棚に戻し、次の本を取って席に戻る。
 顔を埋めるように本を読んでいる狐音を見ていたら、思わずいじりたくなったので、狐音の席の後ろから無防備に晒されたつむじを、リモコンのボタンかのように押してみた。
 「うにゃっ」
あ、なんか可愛い声が出た。
 「………何するの」
 本から顔を上げ、微かにむくれるような表情を俺に向ける狐音。
 「い、いや、悪い。思わず………ね?」
 「………むぅ」
 狐音は柔らかそうな頬を小さく膨らました。中々見れない狐音の表情変化に少し喜びを感じていると、
ピシャッ………ドッカーンッ!ゴロゴロ………
「………っ!」
 突然図書室が強い光に包まれ、雷かと思った瞬間。地面が微かに揺れる感覚と耳をつんざくような雷鳴が鳴り響いた。
 「うわ、これは結構近いぞ………停電の心配はないかな………狐音。ここは一旦教室に………ってあれ?」
 目の前にいたはずの狐音が煙のように姿を眩ましていた。
 「あれ、狐音?どこに………」
 突如いなくなった友人に戸惑いを隠せず、その場から一歩踏み出そうとしたとき、
 「………ん?」
 腰に違和感を覚え、見下ろしてみると
「………っ!………っ!」ガタガタガタガタガタ
 そこには○鬼に登場する、た○しのようにぶるぶる震えながら俺の腰に腕を回してしがみつく狐音の姿が。
 「………えっと。狐音、さん?」
 「………………」ガタガタガタ
「………一体どうしたの?」
 「………………」ガタガタガタ
「………もしかして、雷が怖い、とか?」
 「………………」ガタガタガタ
青○の○けしにも匹敵するほどのガタガタ力。肯定も否定もしないが、きっと雷が苦手なのだろう。
 再起不能寸前になっている狐音は、しばらく動きそうにない。今、この場から移動することは無理かと考えた。
その次の瞬間、
―――カシャッ
俺と狐音以外誰もいない図書室に突如鳴り響くカメラのシャッター音。これは静寂の空間だったからこそ聞こえた音だった。
 「っ!誰かいるのか?!」
 音が聞こえた方向へ顔を向けると、
………ガタガタッ………バサリ
奥側の本棚からいくつかの本が落ちる音が聞こえる。本は誰もいないのに勝手に落ちることはない。つまり―――
「そこに誰かいるなっ!」
ガタガタッ………バッ
 もう一度物音がして、その本棚から一つの小さな影が図書室出入口に走って行くのが見えた。
 「逃がすかっ」
 俺は狐音の捕縛から解放されると、小さな影を追って走り出そうとした。(※室内で走ってはいけません)
しかし、一歩目を踏み出そうとした瞬間、
ゴンッ
何かが障害物に衝突する音と、
 「あうっ」
 子犬が鳴いたような声が聞こえた。
その場を見てみると、
 「きゅう………」
 出入口前で一人の少女が床にのびていた。
 「お、おい。大丈夫か………」
 反射的に助け起こそうとしたが、すぐ横に落ちているものを見て止めた。
そこに落ちていたもの
→一眼レフカメラ
「………………」
 「失礼しまーす………って誰もいないな………」
いつもなら司書や図書委員の生徒がいるはずなのだが、誰もいないらしく図書室内は恐ろしいほど静まりかえっていた。聴こえてくるのはどしゃ降りの雨が窓を打ち付ける音だけである。
 「………使えないの?」
 狐音が心配するように聞いてきた。
 「いや、そういう訳じゃないんだけどね。逆に静かすぎて………」
 「………耳が痛い?」
 「うん。そんな感じ」
 司書がいないと本が返せないので、借りていた本は返却ポストに入れた。
その間に狐音は本棚の奥に吸い込まれるように移動していたので、俺は読んでいたシリーズ本の続きを手に取り、図書室内の一番端の席に座り、本を開く。それと同時に狐音が一冊の本を片手に戻ってきた。
 狐音は俺の隣の席に座った。
いや、座るのなら向かい側の席ではないのか?と疑問を口に出しそうになったが、止めた。
―――数十分後
 「「………………」」
 今のところ会話はない。
 俺は手の内にある本を読み終えて、次の巻を読もうと席を立ち上がる際にチラリと狐音の読む本の題名を見た。
 『狐でもわかる!簡単な友達の作り方~会話・雑談編~』
 「………………」
 狐音は呼吸をも忘れたかのように熱心に(?)読みふけていた。
………図書室にこんな本があるとは初めて知ったよ。てか狐でもわかるとか、嘗めてかかっているようにしか思えないわ。
しかし、そんな本を食い入るように読んでいる狐音を見ていると、なぜだか何も言う気になれなかった。
 (………ま、いっか)
 俺は読んでいた本を本棚に戻し、次の本を取って席に戻る。
 顔を埋めるように本を読んでいる狐音を見ていたら、思わずいじりたくなったので、狐音の席の後ろから無防備に晒されたつむじを、リモコンのボタンかのように押してみた。
 「うにゃっ」
あ、なんか可愛い声が出た。
 「………何するの」
 本から顔を上げ、微かにむくれるような表情を俺に向ける狐音。
 「い、いや、悪い。思わず………ね?」
 「………むぅ」
 狐音は柔らかそうな頬を小さく膨らました。中々見れない狐音の表情変化に少し喜びを感じていると、
ピシャッ………ドッカーンッ!ゴロゴロ………
「………っ!」
 突然図書室が強い光に包まれ、雷かと思った瞬間。地面が微かに揺れる感覚と耳をつんざくような雷鳴が鳴り響いた。
 「うわ、これは結構近いぞ………停電の心配はないかな………狐音。ここは一旦教室に………ってあれ?」
 目の前にいたはずの狐音が煙のように姿を眩ましていた。
 「あれ、狐音?どこに………」
 突如いなくなった友人に戸惑いを隠せず、その場から一歩踏み出そうとしたとき、
 「………ん?」
 腰に違和感を覚え、見下ろしてみると
「………っ!………っ!」ガタガタガタガタガタ
 そこには○鬼に登場する、た○しのようにぶるぶる震えながら俺の腰に腕を回してしがみつく狐音の姿が。
 「………えっと。狐音、さん?」
 「………………」ガタガタガタ
「………一体どうしたの?」
 「………………」ガタガタガタ
「………もしかして、雷が怖い、とか?」
 「………………」ガタガタガタ
青○の○けしにも匹敵するほどのガタガタ力。肯定も否定もしないが、きっと雷が苦手なのだろう。
 再起不能寸前になっている狐音は、しばらく動きそうにない。今、この場から移動することは無理かと考えた。
その次の瞬間、
―――カシャッ
俺と狐音以外誰もいない図書室に突如鳴り響くカメラのシャッター音。これは静寂の空間だったからこそ聞こえた音だった。
 「っ!誰かいるのか?!」
 音が聞こえた方向へ顔を向けると、
………ガタガタッ………バサリ
奥側の本棚からいくつかの本が落ちる音が聞こえる。本は誰もいないのに勝手に落ちることはない。つまり―――
「そこに誰かいるなっ!」
ガタガタッ………バッ
 もう一度物音がして、その本棚から一つの小さな影が図書室出入口に走って行くのが見えた。
 「逃がすかっ」
 俺は狐音の捕縛から解放されると、小さな影を追って走り出そうとした。(※室内で走ってはいけません)
しかし、一歩目を踏み出そうとした瞬間、
ゴンッ
何かが障害物に衝突する音と、
 「あうっ」
 子犬が鳴いたような声が聞こえた。
その場を見てみると、
 「きゅう………」
 出入口前で一人の少女が床にのびていた。
 「お、おい。大丈夫か………」
 反射的に助け起こそうとしたが、すぐ横に落ちているものを見て止めた。
そこに落ちていたもの
→一眼レフカメラ
「………………」
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