クラス転移キターっと思ったらクラス転生だったし転生を繰り返していたのでステータスがチートだった

名無しシャン

第50話「全員決着と戦争前日〜後編〜」

「ただいま」
「おかえり。速かったな」
「もちろん、最速、だから」
「リアちゃん、今の何」

 俺とリアの間に入るようにして、シアが入ってくる。
 そして、固有スキルがどうだとか言いながら、2人で何処かに向かって行く。

「ルルー、試合が近いから戻って来たよ」
「システナか。先生からの要件はもういいのか?」
「あー、それなら、とっくの前に終わってるよ」
「じゃあ、今まで何してたんだ?」
「先生からのお話は終わってたけど、こう見えても、忙しくてね〜。終わらせてきたら今だったんだよ」
「そうなのか、ご苦労様」

 こんなやりとりをしている間も試合は進む。そして試合数も終わっていく。

『第19回戦、システナ・スロート対ハーキッツ・フォールン』

 システナの順番がきていた。
 この試合は恐らく、システナが勝つ。2人とも近距離での格闘が得意だが、システナにあって、ハーキッツには無いものが2人に差を作っている。
 それは、圧倒的なまでの才能やセンスだ。
 ハーキッツに才能が無いわけでは無い。しかし、システナと比べると微々たるものだ。2人にはそれ程の才能の差がある。

「呼ばれたし、行ってくるね〜」
「行ってらっしゃい」
「私は負けたけど、システナは勝ちなさいよ」
「そういえば、ルナちゃんは負けたんだっけ。相手は誰だったの?」
「王女様よ。それも、魔法合戦で」
「魔法合戦でルナちゃんに勝つとは。とりあえず、私は勝ってくるよ」
「相手は8組だけど、今年は特殊な人が多いから一応は、気を引き締めてなさいよ」
「わかってる」

 システナは闘技場に向かって走っていった。
 数十秒程して、闘技場にシステナの姿が見える。

『第19回戦、開始』

 試合は予想通り、近接戦で進行する。
 蹴りや拳を繰り出しては防がれ、繰り出されたのを防ぎ、たまにフェイントが混ぜられるが、引っかかる事はない。
 途中までは同じくらいに見えていたが、途中ぐらいからハーキッツの被ダメージが増えてくる。もうそろそろ限界だろう。
 隙があった訳ではないが、ハーキッツの上段に蹴りが入る。
 ガードが疲れなどから下がっていた訳ではなく、システナの蹴りが途中まで中段ぐらいの高さだったから、ハーキッツが防ごうとして少し下げたのだ。
 普通ならそこで防がれて終わりだが、システナは少し特殊な蹴り方をしたのだ。
 日本だと、ブラジリアンキック、って言われていた蹴り方だ。途中までは中段だが、途中で膝を折り畳み、膝を下げた後膝を伸ばして蹴る蹴り方だ。
 親父が小さい時、転移してきた格闘家から教わった技の一つらしい。今でもレビュート家式近接格闘術の中に、教わった技は全て含まれているのだとか。

 今の一撃がキッカケとなりハーキッツは気絶。女相手に情けない、という声が飛ぶかと思ったが、それ以前に8組なのによく頑張った、という声が飛ぶ。どうやらクラスというのは予想以上の影響力があるようだ

『試合終了。勝者、システナ、スロート』

 システナが帰ってくると同時に20回戦目が始まり、特に見どころもなく終了した。
 そして、次の試合に移るかと思いきや、昼食の休憩が入った。時計を見ると昼時であったので、昼食を摂った。

 昼食休憩が終了し、午後の部に変わる。午後からは姉さんとライがやったら、夏休み明けに結果が張り出されるから、最後まで見ずに帰る。これが午後からの俺の流れになると思う。
 それと、昼食を済ませていると、システナとルナが帰って行くのが見えた。試合の終わった選手はいつでも帰っていいことになっている。

 ライと姉さんがウォーミングアップしに行って、20分程した時に25回戦が始まった。そして、それと同じくらいに2人が帰ってきた。
 そして、それから数分。決着が付き、次の試合の奴の名前が呼ばれる。

『第26回戦、セリア・レビュート対フェルバ・リルル』

 2人が帰ってきたのは、試合があったからのようだ。

「ルル、リアちゃん、行ってくるね」
「いってら、しゃい」
「行ってらっしゃい、姉さん」

 闘技場に姉さんの姿が見える。相手は既に闘技場におり、2人が対面する。
 ここからでは周りの歓声で聞こえないが、フェルバの方が何かを言っている。

『試合開始』

 話し終わると、開始の合図がある。
 先手必勝とばかりに、フェルバがかなりの数の魔法を放つが、姉さんの障壁を前にしてはほぼ無意味。
 周りの生徒は剣術や魔法が観たいようだが、そんな事をせずにフェルバは姉さんに触られた。すると、フェルバはその場で膝を抱えて、何かから恐るように震え出した。さらに顔は、絶望と何もかもを諦めたような表情になっている。
 なんとなくだが、姉さんの魔力がごっそり減った気がする。デメリットの少ない感情操作。しかし、そのデメリットがかなり厳しい。相手の抱いている感情と逆の感情になれば成る程、消費魔力が大きくなるというものだ。

『試合続行不可能。勝者、セリア・レビュート』
『第27回戦、ライネット・ジアル対ヘイレッド・テトリア』

 どうやら、試合が続いていたようで、姉さんと入れ替わるようにライが入って行く。そして、先生に連れられフェルバが出て行くと、これまた入れ替わるようにヘイレッドと呼ばれた奴が入って来る。
 どこかで聞いた名前だなと思っていると、顔を見て思い出した。リアと母さんとで、出掛けた時に初めて出会った転生人である。
 対面して、ライ達も少し話しているのがわかったが、何を話しているのかまでは分からなかった。そして話し終わると、開始の合図をするように促す。

『第26回戦、開始」

 開始の合図と共にライが詠唱して魔法を放とうとした。
 しかし、魔法は発動する事はなかった。詠唱が間違っていたり、魔力が足りなかったなんて事は絶対にない。そして、魔法が発動されなかった事を考えるのは後回しにしたようで、ライは目の前に迫ってきているヘイレッドを剣で対処する。
 空間操作も使われる様子がない。互いに剣術だけによる打ち合いのようになる。2人共剣術を持っているのはわかるが、ヘイレッドの方は無駄が完璧なまでない。剣術を持っていても無駄が出る事はある。しかし、ヘイレッドの方はそれが全くない。恐らく固有スキルなんだと思うが。

 ヘイレッドの事は忘れていて見落としていたが、ライから受け取った転生人の一覧にはヘイレッドの名前と固有スキルは載っていなかった。
 しかし、転生人だと言っていた。紙に書いてあった中身を思い出すが、俺を除いた39人の名前と固有スキルが書いてあるのは覚えている。
 1組の人数が、俺と王族3人を除いた、36人である事は確認していないが、存在の消えたが違和感の残る生徒がいる以上、今の1組の人数が正確なのかはわからない。
 しかし、元クラスメイトは俺を入れた40人だったのは確かだ。恐らく、前世まで存在が消される事はないようだ。ただし、この世界に関わって考えると人数が正確ではなくなる。これは実証したので確実だろう。

 現状考えられるのは、ヘイレッドが消された転生人であるという事と、俺みたいな転生人だという事が分からなかったが、実力で1組に入って転生人だと思われているパターン、もしくはなんらかしらの事情で転生人だが今は転生人ではないと言っているかだろう。
 とりあえず、ライが帰ってきたら色々聞いてみよう。

『試合終了。勝者、ヘイレッド・テトリア』

 えっ。俺は驚いてしまった。まさか、ライが負けるとは思っていなかった。
 とりあえず、ライが帰ってきたので王族3人とレビュート家3人の計6人で帰る用意をして、正門から学院を出る。その間に色々と聞いてみよう。

「クラス転移キターっと思ったらクラス転生だったし転生を繰り返していたのでステータスがチートだった」を読んでいる人はこの作品も読んでいます

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コメント

  • 小説書いてみたいけど内容が浮かばない人

    ライが負けた…思わなかったなあー

    そう言えば、かませだよくんはどこへ消えたんだ…。

    0
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