本音を言えない私にダサ眼鏡の彼氏ができました。
8 ビーチの視線
当日。私達は朝早く集合して、ケイゴさんの運転する10人乗りのハイエースワゴンにギュウギュウ詰めに乗り込んで二時間、首都圏にある海水浴場に着いた。
レンタカーはビーチから徒歩1分のホテルの駐車場に停めて、女子組はホテルのトイレを借りて着替えることに。と言っても、皆服の下に水着を着て来てるんだけどね。
田辺くんが大きなパラソルを持ってきてくれたので、男子組は駐車場で着替えて、先にビーチに行って場所取りをしてくれることになった。
私達はそれぞれトイレの個室に入ると、来ていた服を脱いだ。私はAラインのロングワンピースを頭から脱いで、お兄ちゃんに編んでもらったフィッシュボーンが崩れてないか触って確かめる。三つ編みじゃなくて、四つ編みって言ったら近いかな。自分ではうまく出来ないんだけど、お兄ちゃんを叩き起して編んでもらっただけあって、かなり可愛い。
水着は、生まれて初めて三角ビキニにしてみた。色は白無地。下の水着は紐タイプ。ブラトップも華奢な紐のホルターネックになっていて、大人になったら一度は着てみたいと思っていたカッコイイ水着だ。
店員のお姉さんが言うには、白はモテ色らしい。レイカの太鼓判ももらった。今日まで毎日ストレッチも欠かさなかったし、昨日は晩ご飯抜いたし、朝はエネルギーチャージゼリーしか食べてないから、お腹もぺったんこ。
ふっふっふ。これで、神崎くんもメロメロのはず!
私は朝も塗ってきたけど、もう一度全身に日焼け止めスプレーをふりかけてから、トイレの個室から出た。
「遅かったじゃない。ナナが最後よ」
鏡から振り返ったレイカに言われて、私は平謝りした。
「あ、ごめん。日焼け止めしてて」
「ばかね。そんなのダサ眼鏡にしてもらいなさいよ」
「ええええええ!」
そっか。しまった。その手があったのか。や、でも、外でそんないきなり。なんか恥ずかしいし。私が赤面してもじもじしている横で、ヒロカちゃんが目を白黒させていた。
ヒロカちゃんは、青いホルターネックのブラトップに、下はスカート風ショートパンツの水着を着ていた。中学生だけど、案の定ワンピースやタンキニではなく大人っぽい水着で攻めてきたか。くそう。巨乳なので、胸の谷間がばっちりで、その水着姿はグラビアアイドルも真っ青の完成度だった。
うう。眩しい。そのおっぱいはずるい。私だって、水着にパッド入れて盛って来たけど。本物には負ける。気後れする。
「じゃ、行きましょうか」
気後れしないのはレイカだ。リップグロスをポーチにしまうと颯爽と歩き出した。レイカも華奢なくせにEカップある。黒のアメリカンスリーブの水着で、鎖骨のところがレースになってる大人っぽくて素敵な水着。黒髪の長髪をアップにして、ボストンサングラスをかけている。高一とは思えない色気に、やっぱり大学生と付き合ってる子は違うな、と感心した。
「行こ行こ」
「楽しみだねー!」
ヤエとミサミサもすごくご機嫌だ。ヤエはボブカットで活発だからかっこいい系で来るかと思ったら、白地に青の花柄オフショルダーの水着だった。二の腕のフリルが可愛らしい。ボトムにもフリルがついている。色が寒色系だから爽やかな印象。
ミサミサは、ピンクのフリルチューブトップで、ボトムもピンクの紐タイプの元気可愛い水着に、肩につくくらいの三つ編み姿だった。これは、彼氏とプール行った時のインスタと同じ水着。やっぱり可愛い。
私達は、ケイゴさんとスマフォで連絡をとるレイカに案内されて、男子組がとってくれた場所までビーチを歩いた。
゜+o。。o+゜♡゜+o。。o+゜♡゜
「お、こっちこっちー!」
田辺くんが両手をぶんぶん振ってくれたので、私達は男子組の居場所に気づいた。レイカがスマフォを切る。
田辺くんは、ウエストにロゴの入った真っ赤なサーフパンツを履いていた。茶髪なのもあって結構チャラく見えるけど、サッカー部で鍛えているだけあって細マッチョでモテそう。
スマフォを下ろして片手を上げたのは、ケイゴさん。ブルーボーダーのサーフパンツを履いていて爽やかイケメンっていう感じ。今日初めてお会いしたけど、東大生だからもっとガリ勉っぽい人なのかと思ったら、女子ウケしそうな見た目の爽やかイケメンだった。すっごくモテそう。ほんとに完璧超人なのかな? さすがというかなんというか。こんな人をメロメロにしているなんて、やっぱりレイカはすごい。
そして、その二人の後ろで神崎くんは荷物の整理をしているみたい。白いTシャツの下にヤシの葉柄の黒とグレーのサーフパンツを履いている。このモテる二人の男子と一緒にいても見劣りしないどころか、一番かっこいいんじゃないかな。今日は泳ぐからコンタクトだし。横を通り過ぎる女子達が神崎くんのことをチラチラ見てる。
もちろん、私達女子5人も、ビーチの男子達の視線を集めてはいる。
まあ、これだけ全員可愛ければ視線も集まるよね。
でも、それなのに、肝心の神崎くんは何故荷物を見てる? それするの今じゃないはず。気付いて気付いて! あなたの彼女が、いま超可愛い水着着てますよ!
「ねえ、君たち超可愛いね! 俺たちと遊ばない?」
と、いきなり大学生のチャラそうな集団に声をかけられて、私達5人は足を止めさせられた。進行方向を塞がれたからだ。小麦色に日焼けした金髪の3人組。
「遊ばない。邪魔、どいて」
レイカがにべもなく断る。
「くう。気強いのたまんねえわ」
集団の中の誰かが言って、チャラい大学生達はゲラゲラと下品に笑った。
「そう言わずにさ、後悔させねえよ?」
「しつこい」
レイカがキレている。わあ。すごいな。怖くないのかな。私はかなり怖い。
その時、神崎くん、ケイゴさん、田辺くんが私達のもとに走り寄って来てくれた。
「おっさん! 俺の妹達になんか用?」
一番喧嘩っぱやそうな田辺くんに睨まれて、大学生達は舌打ちをした。
「っち、男いたのかよ」
「また外れか」
チャラい大学生達は面倒ごとに巻き込まれるのは御免とばかりに、結構あっさり去っていった。
「レイカ、大丈夫だった!?」
ケイゴさんが、レイカに走り寄って言った。
「別に。何もされてないわよ。不快なだけで」
「よかった。そんなエロい水着着てるからだよ。前着てたワンピースのやつは無いのかよ」
「はあ!? ワンピースって、それ小学生の時の話しじゃない。そんなのとっくの昔に捨てたわよ」
「とにかく、そのカッコはダメだ。危険過ぎる。これでも着とけよ」
ケイゴさんはそう言うと着ていたパーカーを脱いで、レイカに押し付けた。
「嫌よ。せっかくビーチに来たのに」
「そう言うなよ。またナンパされたら面倒だろ?」
レイカは舌打ちした。
「仕方ないわね」
押し付けられたパーカーを受け取って、レイカはしぶしぶ袖を通す。
その時、それを見ていた神崎くんもおもむろにTシャツを脱ぐと、それを私にずいと差し出した。
「へ?」
「これ。相田さんも。心配だから着てて」
「で、でも私、いっぱい泳ぎたいし、濡れたら悪いよ」
「濡れても構わない」
「ええ……そっか。うん、じゃあ、ありがとう」
神崎くんは絶対に私を見ないと誓っているかのように明後日を向いているので全然視線も合わないまま、ずずいとTシャツを押し付けてきた。レイカが着たのに、ここで私が着ない訳にもいかない。
けど、そんなあ。
せっかく、可愛い水着着てきたのに、これじゃあ神崎くんに見てもらえないよ。まだ、全然見てもらってないのに!
悩殺計画が……!
私はしおしお萎れた気持ちでTシャツを受け取った。
レンタカーはビーチから徒歩1分のホテルの駐車場に停めて、女子組はホテルのトイレを借りて着替えることに。と言っても、皆服の下に水着を着て来てるんだけどね。
田辺くんが大きなパラソルを持ってきてくれたので、男子組は駐車場で着替えて、先にビーチに行って場所取りをしてくれることになった。
私達はそれぞれトイレの個室に入ると、来ていた服を脱いだ。私はAラインのロングワンピースを頭から脱いで、お兄ちゃんに編んでもらったフィッシュボーンが崩れてないか触って確かめる。三つ編みじゃなくて、四つ編みって言ったら近いかな。自分ではうまく出来ないんだけど、お兄ちゃんを叩き起して編んでもらっただけあって、かなり可愛い。
水着は、生まれて初めて三角ビキニにしてみた。色は白無地。下の水着は紐タイプ。ブラトップも華奢な紐のホルターネックになっていて、大人になったら一度は着てみたいと思っていたカッコイイ水着だ。
店員のお姉さんが言うには、白はモテ色らしい。レイカの太鼓判ももらった。今日まで毎日ストレッチも欠かさなかったし、昨日は晩ご飯抜いたし、朝はエネルギーチャージゼリーしか食べてないから、お腹もぺったんこ。
ふっふっふ。これで、神崎くんもメロメロのはず!
私は朝も塗ってきたけど、もう一度全身に日焼け止めスプレーをふりかけてから、トイレの個室から出た。
「遅かったじゃない。ナナが最後よ」
鏡から振り返ったレイカに言われて、私は平謝りした。
「あ、ごめん。日焼け止めしてて」
「ばかね。そんなのダサ眼鏡にしてもらいなさいよ」
「ええええええ!」
そっか。しまった。その手があったのか。や、でも、外でそんないきなり。なんか恥ずかしいし。私が赤面してもじもじしている横で、ヒロカちゃんが目を白黒させていた。
ヒロカちゃんは、青いホルターネックのブラトップに、下はスカート風ショートパンツの水着を着ていた。中学生だけど、案の定ワンピースやタンキニではなく大人っぽい水着で攻めてきたか。くそう。巨乳なので、胸の谷間がばっちりで、その水着姿はグラビアアイドルも真っ青の完成度だった。
うう。眩しい。そのおっぱいはずるい。私だって、水着にパッド入れて盛って来たけど。本物には負ける。気後れする。
「じゃ、行きましょうか」
気後れしないのはレイカだ。リップグロスをポーチにしまうと颯爽と歩き出した。レイカも華奢なくせにEカップある。黒のアメリカンスリーブの水着で、鎖骨のところがレースになってる大人っぽくて素敵な水着。黒髪の長髪をアップにして、ボストンサングラスをかけている。高一とは思えない色気に、やっぱり大学生と付き合ってる子は違うな、と感心した。
「行こ行こ」
「楽しみだねー!」
ヤエとミサミサもすごくご機嫌だ。ヤエはボブカットで活発だからかっこいい系で来るかと思ったら、白地に青の花柄オフショルダーの水着だった。二の腕のフリルが可愛らしい。ボトムにもフリルがついている。色が寒色系だから爽やかな印象。
ミサミサは、ピンクのフリルチューブトップで、ボトムもピンクの紐タイプの元気可愛い水着に、肩につくくらいの三つ編み姿だった。これは、彼氏とプール行った時のインスタと同じ水着。やっぱり可愛い。
私達は、ケイゴさんとスマフォで連絡をとるレイカに案内されて、男子組がとってくれた場所までビーチを歩いた。
゜+o。。o+゜♡゜+o。。o+゜♡゜
「お、こっちこっちー!」
田辺くんが両手をぶんぶん振ってくれたので、私達は男子組の居場所に気づいた。レイカがスマフォを切る。
田辺くんは、ウエストにロゴの入った真っ赤なサーフパンツを履いていた。茶髪なのもあって結構チャラく見えるけど、サッカー部で鍛えているだけあって細マッチョでモテそう。
スマフォを下ろして片手を上げたのは、ケイゴさん。ブルーボーダーのサーフパンツを履いていて爽やかイケメンっていう感じ。今日初めてお会いしたけど、東大生だからもっとガリ勉っぽい人なのかと思ったら、女子ウケしそうな見た目の爽やかイケメンだった。すっごくモテそう。ほんとに完璧超人なのかな? さすがというかなんというか。こんな人をメロメロにしているなんて、やっぱりレイカはすごい。
そして、その二人の後ろで神崎くんは荷物の整理をしているみたい。白いTシャツの下にヤシの葉柄の黒とグレーのサーフパンツを履いている。このモテる二人の男子と一緒にいても見劣りしないどころか、一番かっこいいんじゃないかな。今日は泳ぐからコンタクトだし。横を通り過ぎる女子達が神崎くんのことをチラチラ見てる。
もちろん、私達女子5人も、ビーチの男子達の視線を集めてはいる。
まあ、これだけ全員可愛ければ視線も集まるよね。
でも、それなのに、肝心の神崎くんは何故荷物を見てる? それするの今じゃないはず。気付いて気付いて! あなたの彼女が、いま超可愛い水着着てますよ!
「ねえ、君たち超可愛いね! 俺たちと遊ばない?」
と、いきなり大学生のチャラそうな集団に声をかけられて、私達5人は足を止めさせられた。進行方向を塞がれたからだ。小麦色に日焼けした金髪の3人組。
「遊ばない。邪魔、どいて」
レイカがにべもなく断る。
「くう。気強いのたまんねえわ」
集団の中の誰かが言って、チャラい大学生達はゲラゲラと下品に笑った。
「そう言わずにさ、後悔させねえよ?」
「しつこい」
レイカがキレている。わあ。すごいな。怖くないのかな。私はかなり怖い。
その時、神崎くん、ケイゴさん、田辺くんが私達のもとに走り寄って来てくれた。
「おっさん! 俺の妹達になんか用?」
一番喧嘩っぱやそうな田辺くんに睨まれて、大学生達は舌打ちをした。
「っち、男いたのかよ」
「また外れか」
チャラい大学生達は面倒ごとに巻き込まれるのは御免とばかりに、結構あっさり去っていった。
「レイカ、大丈夫だった!?」
ケイゴさんが、レイカに走り寄って言った。
「別に。何もされてないわよ。不快なだけで」
「よかった。そんなエロい水着着てるからだよ。前着てたワンピースのやつは無いのかよ」
「はあ!? ワンピースって、それ小学生の時の話しじゃない。そんなのとっくの昔に捨てたわよ」
「とにかく、そのカッコはダメだ。危険過ぎる。これでも着とけよ」
ケイゴさんはそう言うと着ていたパーカーを脱いで、レイカに押し付けた。
「嫌よ。せっかくビーチに来たのに」
「そう言うなよ。またナンパされたら面倒だろ?」
レイカは舌打ちした。
「仕方ないわね」
押し付けられたパーカーを受け取って、レイカはしぶしぶ袖を通す。
その時、それを見ていた神崎くんもおもむろにTシャツを脱ぐと、それを私にずいと差し出した。
「へ?」
「これ。相田さんも。心配だから着てて」
「で、でも私、いっぱい泳ぎたいし、濡れたら悪いよ」
「濡れても構わない」
「ええ……そっか。うん、じゃあ、ありがとう」
神崎くんは絶対に私を見ないと誓っているかのように明後日を向いているので全然視線も合わないまま、ずずいとTシャツを押し付けてきた。レイカが着たのに、ここで私が着ない訳にもいかない。
けど、そんなあ。
せっかく、可愛い水着着てきたのに、これじゃあ神崎くんに見てもらえないよ。まだ、全然見てもらってないのに!
悩殺計画が……!
私はしおしお萎れた気持ちでTシャツを受け取った。
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