異世界でみんなの飯テロ保護してます!

雪見だいふく

久しぶり! 牢屋!

 とても綺麗でいい街なのだが……ここにいる住人やらの態度はとても素っ気なかった。

「あの態度は何なんですか……」
「まぁ、そう怒るなって。事情があるんだろ」

 流石に剣を出した時はビビったがな。怒りっぽいって言うか仲間思いなのか……。
 まぁ、俺が馬鹿にされた時に怒ってくれたのは素直に嬉しかったけどさ。

「ところでどうする? 一君。あの態度じゃ、どうしようも無くない? 女神探しなんて……」
「んー、確かに。どうしようか。とりあえずは海人のお陰で泊まる場所は確保出来てるから……。のんびり探すしか無いですよね」
「だね。のんびり……。まぁ、悪くないか! とりあえず、次はそこの店の人に聞いてみようか」

 そこは銃やら剣が置いてある武器屋のような店。
 店番をしているのは口のちょび髭が特徴的なオッサンだった。

「すみませーん。私達、情報を集めてるんですけどぉ」

 陽葵さんが甘え口調でオッサンに話しかける。
 まぁ、これなら愛想も良くしてくれるだろう。

「お、お嬢ちゃん。見ない顔だけど可愛いねー! どこ出身だい?」
「他所から来ましたー」
「ちっ……」

 オッサンの顔は優しくほんわかした顔から急変し、とても怖い仏顔になる。
 顔は真っ赤で沸騰しそうな色をしていた。
 すると、オッサンはキレて店の中に入って行ったかと思えば……。

 カチャ

 ハンドガンを店の奥から持ってきてリロードし、俺らに向けてきた。

「クソが……。俺の妻を……!」

 ハンドガンに物凄い力が入っているのか、怖がっているのか手先が凄く震えている。

「やめて下さい。何をしたって言うんですか」

 次の瞬間。エミリーは手にかけていた剣で相手のハンドガンを真っ二つに斬った。

「てめぇ……! 何てことを……!!」
「あなたが悪いんです。銃口を私達に向けたんですから」
「……」

 オッサンは黙り込んで何も言わなかった。

「……そうだ。金は返せ」
「この外道が……。呆れますね」

 エミリーはポケットに手をかける。

「お金ならいくらでもあります……あります?」

 ポケットを探るがお金は出てこない。野菜地区での生活のせいだろ? それ! お金出てこないのかよ!

「ほら。さっさと金を払えよ。商品を壊したバツだ。誰もテメェらを撃とうとなんてしてねぇぞ?」
「……ちっ。お金を貸してもらえませんか?」
「俺は持ってないぞ」
「私もー」
「もちろん。私も」
「「「「……」」」」
「おらおら。さっきの威勢はどうした? あぁん?」

 すると、エミリーは俺達に耳打ちで「逃げましょう」とそう言い放った。言い放ちやがった。

「まさか。逃げるとは言わねぇよなぁ。あこまで言っておいて」
「当たりー!」

 エミリーは後ろを振り向く。
 俺達も反射的に振り向いてしまう。

「ゴー!」

 エミリーのその掛け声に洗脳されるかのように走ってしまった。

「おい! こら、待ちやがれ!!」

 あー。やらかした。
 大変だ。どうしよう。
 器物破損。及び、窃盗。とかになるのかな。
 あー、知らね。この先、どうなっても知らね。

「お前は馬鹿か!! 逃げてどうすんだよ!」
「仕方の無い事です……」
「何、深刻そうに言っちゃってんの!? それもこれも全部お前のせいだからな!?」
「私達……捕まるの?」
「大丈夫だよー。サン・チュ。捕まったら、全部こいつのせいだからー」
「なっ!? 人のせいは良くないです!」
「人のせいって逃げなきゃいいだろ!!」
「まぁ、喧嘩をしている場合ではありません。後ろからは、まだ誰も追ってきていない。そこの路地裏に入りましょう」

 俺達四人は薄暗く絶対に見つからなそうな道へ入る。

「はぁはぁ……。お前、ふざけんなよっ!」
「捕まるの嫌だー!」
「陽葵さん。捕まったら一緒にこいつだけのせいにしましょう」
「陽葵っ。友達だよね! 共に胸を揉み合った仲じゃない」
「何それ! 俺も混ぜて!」
「なら、一君の代償は股間だね」
「陽葵さん。まさかの唐突な下ネタ発言!?」

 わっはっはっは! と、爽快に笑っていると警官のような人達に路地裏を挟まれていた。

「親が泣いているぞ!」

 急にそんな事を言い始める警官は初めて見たよ。

「大人しく、そこを動くな!」
「私がどうにかして見せます……」
「いや、待て。ここで何かをしたら本当にただ事じゃ済まなくなる……。絶対に何もするなよ……」
「振りですか?」
「違うわ!」
「よぉし。いい子だ。突入! 犯人確保!」

 いい子だ。って、何か山から降りてきた動物か! 俺らは!
 こうして、俺らは一人一人手錠をかけられ、取り調べを済ませた後、牢屋に閉じ込められてしまった。
 幸い、三人共同じ牢屋だったけど。

「……はぁ。馬鹿やな!」
「あのクソジジイが悪いんですー!!」
「うるさい。静かにしなさい」

 見回りの警官に注意される。
 一体、何日くらいこんな所に閉じ込められなくてはいけないのだろうか。

取得スキル
皿洗いの極意 出前の初級術

カルビ名人 焦がし焼きマスター 山葵鼻つめ リーフターン 玉ねぎボンバー 土下座フラッシュ(晴れの時だけ使用可能) 水鉄砲(小) おっぱおビーム

迷惑客の対処 愛想笑い 協調性 驚き対策 ロリコン対策 ジャパニーズソウル 無神経

おトイレの付き添い 遊園地の支配 身体強化(全身) 魚との会話 危機察知

つまようじ回避マン

お色家 変装『舞妓』

地球のゲームでもあったようなレベルの煽り 
演技『狂人』 主人公補正 騙される弱抵抗力

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