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雪見だいふく

トラウマの王室

 城に入ってもなお、奥にどんどんと進みエレベーターに入る海人に付いていくものの、少し不安になってくる。

「お、おい。勝手に入ったりして大丈夫なのか……?」
「大丈夫だーって」

 そして、海人は最上階と思われるボタンを押す。

「おい! そこは王様か何かの城じゃないのか!?」

 野菜地区の城で起こった、嫌な記憶が目に浮かぶ。
 他の三人も焦っているのか足をガクガクと震わせていた。
 天井近くにあるエレベーターの数字が点滅し、どんどんと大きい数字に近づいていく。

「本当に大丈夫何ですか?!」

 珍しくエミリーがテンパっていた。これは良いものを見れたな。
 なんて、悠長なことを考えているとエレベーターが止まり……。
 目の前の扉が開かれた。

 そこには、ごつい装備を付けた兵士がたくさんいて、中央奥のとても大きい椅子に座った少女の近くに列を成して立っていた。

「……! 久しぶりですー!」

 だらーんとした部屋着を着た少女は椅子から飛び降り、俺らの方へ駆け寄ってくる。
 そんな彼女を兵士達は止めることもないし、止めようともしない。
 おいおい。何やってんだよ。
 そして、俺らの前で一度立ち止まったかと思うと……。

「海人ー! 久しぶりー!」
「「「「!」」」」


 海人の胸に飛び込んだ。
 おいおいおい! 捕まるぞ! 逃げた方がいいよな、これ!

「だから、辞めろって言ってんだろ!」

 ……なんと! 女王様っぽい女性にタメ口。
 信じられないぜ!

「いいじゃんー! 幼馴染の仲でしょっ?」
「それでもだな……」

 俺らをほぼほぼ無視して話を進める。まぁ、変なところで振られる方が嫌だが。

「むー! ……ところでさー。そこの周りの女の子達は何?」
「んー、この子達はこいつの連れ」

 うわっ……。俺に振られた。出来るだけ話を大きくしないように……。

「ふーん。なら、海人と縁は無いんだね?」
「そ、そうだなー……ははっ」
「何? 何かあんの?」

 いや、何にもないだろ。

「それはなー……」
「何? 早く言って」

 すると、海人は女性に駆け寄り耳を借りる。

「……!」

 何を聞いたのかは分からないが、彼女は海人を突き飛ばし俺の方へ一気に駆け寄る。

「あんた! 海人へ手を出したら許さないんだからね!」
「は、はいっ?!」

 俺は少し戸惑いながら返事をする。
 そして、彼女の海人へ対する一方的なイチャつきを見させられた後、部屋へと案内された。

「……海人。お前は何者だ」
「知らねぇ。まぁ、ここらでは有名だけどなー」
「その理由を話……あっ。ごめん、悪かった」
「謝んなくてもいいよ」

 そうだ。こいつは街の人を亡くしてしまったが敵を全滅させたんだ。有名になって当然だろ。
 俺らが、女性のいた部屋から一つ下に降りるとエレベーターは止まる。
 マジかよ……。王室の一つ下の階で泊まることが出来るのか。めっちゃラッキーじゃねぇか。
 扉が開くと、黒いタキシードに身を包んだ使用人のような男性二人が待っていた。

「海人様。こちらへ……」
「え? 俺だけ?」
「そちらの四人は私が案内しますので……」

 驚くほどの手際の良さで海人と俺達がエレベーター内と外で仕分けられる。
 あいつ。何されるのかな……。
 すると、王室から三つ下の階へ到着する。

 何だ。普通にいいじゃん。

「それではこちらへ……」

 女子三人もコソコソと喜んでいた。
 そうだよな。普通にいいよな。

「ちなみに、どんな部屋なんですか?」
「そう……ですね。ベッドがとても大きいです」
「凄いー!」
「だな! 普通に最高!」

 そして、エレベーターから降りた、少し遠い部屋に俺達は到着する。
 扉がとても大きく、外見から部屋の広さ、凄さが伺える。

「じゃあ、部屋を開けていいですか!?」
「あ、一君。先に入っててー。私、トイレに行ってくる」
「なら、私も」
「……私も!」

 そして、三人はトイレの場所を聞き、居なくなってしまった。
 部屋にあるだろうから、そのトイレを使えばいいのに……。

「じゃあ、俺は部屋に入っていいですよね!」
「はい。ごゆっくり……」

 そして、部屋に入る。
 内装はこんな感じだ。
 目の前にソファーと小さな椅子。長机が置いており、奥には家族が団欒するような長机と四つの椅子が置いてある。
 とりあえず、見える景色はこんな感じだ。
 他の位置にも扉があるので奥にも色んな部屋があるのだろう。楽しみだ。
 ……俺はゆっくりしようとソファーに腰をかける。
 足を伸ばし、ソファーで寝転がろうとすると奥の机に何かが置いてあるのが見える。
 俺は床に倒れ込んでから起き上がり、それを確認する。
 そこには……手紙と何かが置いてあった。

取得スキル
皿洗いの極意 出前の初級術

カルビ名人 焦がし焼きマスター 山葵鼻つめ リーフターン 玉ねぎボンバー 土下座フラッシュ(晴れの時だけ使用可能) 水鉄砲(小) おっぱおビーム

迷惑客の対処 愛想笑い 協調性 驚き対策 ロリコン対策 ジャパニーズソウル 無神経

おトイレの付き添い 遊園地の支配 身体強化(全身) 魚との会話 危機察知

つまようじ回避マン

お色家 変装『舞妓』

地球のゲームでもあったようなレベルの煽り 
演技『狂人』 主人公補正 騙される弱抵抗力

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