異世界でみんなの飯テロ保護してます!

雪見だいふく

廃人になる

 満足! 満足ー!

「ありがとうございます! ……さん!」

 こんだけ、食べさせて貰ったのに名前を知らないという現状を叩きつけられ、誤魔化す。
 誤魔化しても、どうしようもないとは分かっているが、やはり怖い。

「おう! いいぜ」
「名前は何て言うんですかー?」

 流石だぜ! 陽葵さん!

魚雷ぎょらい 海人かいとだ。改めて、宜しくな!」

 名前、めっちゃカッコイイ! なんか、中・高生の心を揺さぶる名前だな。

「宜しくお願いします! あ、俺の名前は……」

 と、三人全員が自己紹介を済ませ、下らない雑談をうるさい雨風と共にした。

 そして、次の日。

 まだ、豪雨は止んでいないので、今日も泊めてもらう事にした。
 俺らも出来る家事を手伝った。

 豪雨三日目。

 雨は未だに止むことを知らない。そろそろ、この家が陥没してもおかしくないのではないだろうか。

「この家が陥没したりしませんよね?」
「しないさ! 水は操れるからな!」

 超人だったので、そんな事にはならないみたいだ。
 なんだかんだ言って、仲良くなってきていた。

 豪雨四日目。

 食べ物が質素になってきた。終わり。

 豪雨五日目。

「「「「「……。ゴホン」」」」」

 話すことも無い。気まずくなってくるやつだ。雨風の音が物凄くイライラする。
 あと、風呂に入りたい。
 魚飽きた。終わり。

 豪雨六日目。

 どうせ、顔を見合わせても気まずくなるだけなので、壁の端っこで体育座りをしていた。
 飯は食べなかった。いや、食べれなかった?!

 豪雨七日目……。


「「「「「……だぁ! もういい加減にしろ!」」」」」

「海人さん。悪いんですけど、何か無いんすか?! 暇っていうか、死にます! 廃人になる!」
「あぁ?! なら、出ていくか?! 俺だって、腹減ってんだ! ぼけぇ!」
「あぁ、いいさ! 出てってやるよ!」

 俺は扉を開けて、外に出る。

 ビューン! ザザザザザザ!

 寒っ!

「ごめんなさい」

 俺は定位置に戻り、正座をして、頭を下げる。

「だから、言ってんだろ! ばぁか!」
「っせんだよ! くそ! くそ! くそ! 飯を出せー!!」

 俺が海人さんに飛びかかり、取っ組み合う。

「……死ね」

 体の血の気が引くのが分かった。エミリーさん、怖すぎます。

 そう。俺達は今、食糧不足に悩まされている。いや……。正確には、同じもの飽きたし、やること無くて暇すぎ地獄で死にそうになっている。
 あと、一週間も風呂に入らないと、結構……キツいよね! ははっ!

「あの、いい加減。飽きました」

 俺が出せる食料は、山葵とサンチュ。玉ねぎは、玉ねぎボンバーをしないとなので、やめた方がいい。家が壊れるかもしれないからだ。
 サン・チュの出せる食料は、俺と同じサンチュと色が完全に危ない野草のみ。
 陽葵さんの出せる食料は、シュークリームのみ。あとのスキルは強すぎて、こんなところで発動したら危険すぎる。
 エミリーの出せる食料は、これまたサンチュのみ。
 海人の出せるものは水。終わりだ。

 サンチュをムシャムシャ食っても、そこまで美味しくは無いんだよなぁ?! いや、美味いんだけど、すぐに飽きるんだよなぁ!
 まだ、あの魚が家に残っている時は平和だった。
 次の日。シュークリームを出せると知った時も良かった。だけど、シュークリームってすぐに飽きるんだよね。
 パサパサして喉が渇くし。
 今なら、いつの日かのシュークリーム、山葵野郎の気持ちが分か……らなくもない。
 野草は……。もう、色々と危なかった。山葵は何に付ければいいのか分かんないし。
 水はうん。生きていく最低限。

「うるさいので、黙ってください」

 陽葵さんがめっちゃ真面目! 怖い!

「でも……」
「うるさい」
「ごめん。サン・チュ」

 全員、風呂にも入れずイライラする気持ちは分かるけどやめようぜ?! この雰囲気!

「そう怒らず、俺の提案を聞いて欲しい」

 そこで、ビシッと手を挙げ、海人が提案を出した。
 その提案は、雨をつきっきる勢いでダッシュし、銭湯のような大浴場があるところまで走るという提案だ。
 ちなみに距離は三百メートルくらいだが、この場合の三百メートルはかなり危険といえる。
 だが、止まっているわけにはいかない!

「確かに……悪くない。どちらの建物で生活しようと、こうなれば変わんねぇもんな。なら、風呂のある方がマシだ」
「それは名案ですね」
「行きましょう……」

「「「「「3、2、1! GO!」」」」」

 俺達は一気に外に出て……Uターンする。

「寒っ!」
「だ、ダメだ。諦めよう」
「いや……まだだ! 諦めるには早い! もう一度……!」

 全員が各自徒競走の構えのようなものをする。


「「「「「3、2、1! GO!」」」」」


 俺達は嵐の中、各自大浴場を目指し走り続けた……!

取得スキル
皿洗いの極意 出前の初級術

カルビ名人 焦がし焼きマスター 山葵鼻つめ リーフターン 玉ねぎボンバー 土下座フラッシュ(晴れの時だけ使用可能) 水鉄砲(小) おっぱおビーム

迷惑客の対処 愛想笑い 協調性 驚き対策 ロリコン対策 ジャパニーズソウル 無神経

おトイレの付き添い 遊園地の支配 身体強化(全身) 魚との会話 危機察知

つまようじ回避マン

お色家 変装『舞妓』

地球のゲームでもあったようなレベルの煽り 
演技『狂人』 主人公補正 騙される弱抵抗力

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