異世界でみんなの飯テロ保護してます!

雪見だいふく

海と荒地

 ザブーン

 魚地区に近付くに連れて、海が荒れてきているな……。

「風が強くて、荒れてますねー……」
「だねー……」

 波音が強く、声を大にしないとあまり喋れない。周りの人の迷惑になるかもしれないので黙って座ることにしよう。

 しばらくすると……。

「起きてー」
「あ、ふぇっ?」

 暇で、そのまま寝てしまったのか……。

「あはははは。ごめんなさい」
「着いたんだから、早く降りよー」

 トントントン

 外を見ても、荒未だに荒れていることが伺える。
 何も準備してねぇけど、大丈夫だよなー……。

 外に出ると、俺は絶望して倒れ込みそうになった。

「え……? 降りるの俺らだけ?」
「ごゆっくりー」
「ちょ、待っ……!」

 船は逃げるように、さっさと居なくなってしまった。

「あれ、客への対応としてどうなんだよ……」
「ていうか……」
「陽葵さん。言いたいことは分かります」

「「めちゃくちゃ寒いよー!!」」

 大雨に打たれ、風が吹き荒れる。台風が迫っているような環境下でもろに雨を受けているのだ。
 そんな危険な話があって良いのだろうか。いや、良くないだろう。

「で! で! どうします?!」
「さ、さ、寒さで死ぬよね!」
「足が震えて動けません……」
「とりあえず、そこに見える少し高い階段を登ろうよ」

 あ、あ、あー、あれか! 少し登ったらまともになってるかもしれないもんな!
 俺達は階段を登るが、見える景色の限りでは、ボロっちい民家があるのみで何も無い。
 そう言われてみれば……。前、来た時にぶち壊されてたよな。

「あの民家の住人に助けてもらえないか聞こうぜ」

 俺達は民家に向かって全力で走る。

「「「「ふぅ」」」」

 とりあえず、雨の当たらないところに入り一安心するが、寒さが消える訳では無い。

 トントン

「すみません……」

 ガチャッ

 何かを持つような音が聞こえる。

「おい。死にてぇのか?」

 耳元へ囁くように聞こえる。

 え? え? 今の何?

 他の三人は慌てる俺を不思議そうに見ている。俺だけにしか聞こえてないってのか?

 銃口を頭に突きつけられるのが分かる。
 三人も助けてくれるよな? 俺は横目でチラッと確認する。
 何で、未だにポカーンとしてんの?!

 俺だけ、感覚を操作されてるのか?! それとも、周りが何かに騙されてんのか?

「殺されてぇのかって聞いてんだ」
「助けてください」

 そもそも、何でキレてんだよ。
 周りはポカーンとしてるし、俺ってはたから見たら超変人になってないか?

「どうして助けて欲しいんだ? お前らは俺達の同僚をぶち殺したんだろ? あぁん?!」

『同僚』『殺す』? 何言ってるんだ? 俺達はそんな事をしてないぞ??

「あの……。俺達に事情は分かりません。ですが、あなた達を助けようとしてここまで来たのは事実です」

 俺は落ち着いて何をするために来たのか話す。

「あぁん? やってる事と言ってる事がめちゃくちゃだな」
「とりあえず、話をさせてください」
「……ちっ。仕方ねぇな。入れ」

 ガチャッ

 俺は扉を開けて、家の中に入る。

「他の三人も……! ほら、早く!」
「あ、あの可愛い子達には幻惑を見せている。話すのはお前とだけで充分だ」
「分かった」

 その室内は外見に比べて豪華なものだった。
 真ん中に大きな暖炉があり、それを囲むように様々な家具が置かれている。

「凄い豪華な家ですね」
「るせぇ。話だけ済ませんぞ。あの子達への苦しみを抑えてぇんだったらな」

 あの子達……? はぁ!?

 バンッ

 俺は目の前にある机を思いっきり叩く。

「てめぇが褒めてくれた家具がぶっ壊れたらどうすんだ」
「何をしてんだよ……」
「話し終わってからのお楽しみ」

 ……。なら、話をさっさと終わらせるしかねぇよなぁ?!

「俺はここに……」

 と、女神のことを省き、来た理由を全て話した。

「……信用に欠けるな。まぁ、いい。これは俺がお前らを何故殺そうとしたか。だ」
「はい……?」

 雰囲気っていうのか? 何か顔の表情とかが色々と変わったな……。

「それはな――」

取得スキル
皿洗いの極意 出前の初級術

カルビ名人 焦がし焼きマスター 山葵鼻つめ リーフターン 玉ねぎボンバー 土下座フラッシュ(晴れの時だけ使用可能) 水鉄砲(小) おっぱおビーム

迷惑客の対処 愛想笑い 協調性 驚き対策 ロリコン対策 ジャパニーズソウル 無神経

おトイレの付き添い 遊園地の支配 身体強化(全身) 魚との会話 危機察知

つまようじ回避マン

お色家 変装『舞妓』

地球のゲームでもあったようなレベルの煽り 
演技『狂人』 主人公補正 騙される弱抵抗力

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