異世界でみんなの飯テロ保護してます!

雪見だいふく

平和……?

 俺達、二人はベンチに腰をかける。

「……で、何でこんなところに来たんですか?」
「そうだね。話せば、長くなるんだけど……」
「はい。気になるので、ぜひ教えてください」
「私は、君たちと会う前。元々、ここの地区で担当をしてたの。その頃は、景気も良く、みんなが活発に働いていたよ。
 でも、ある日。国王が変わってから……治安は悪くなったのよね。
 ……あれ? でも、変わった理由は何だったっけ……? それと……元女王様は……?」

 こ、これも記憶が消えてるってことなのか?

「ま、まぁ。理由は何だったとはいえ……それが、今、倒した、国王ってわけですか」
「そうだね。丁度、そのくらいの時に、私は肉地区の担当になって、そこで、色々経験してから、君の担当になったんだけどね」

 と、嬉しそうに微笑み、足をブラブラと揺らす。俺のことで、こんなにも喜んでくれているのなら、嬉しい限りだ。

「まぁ、この話は昔の話として……! 鈴菜と翼。それに、学は、野菜地区に残っているんだけど、私だけ、元お菓子地区担当として、ここに呼ばれたって、わけなの!
 何か……城の危機だか、何だかで。まぁ、まさか、それに君も混ざってるとは思わなかったけどねー。
 この宣戦布告に参加した、私と君は恐らく、一生、防衛軍には戻れないんじゃないかな」
「ははっ……。やっぱり、そうなりますよねー。防衛軍の人達を下ネタのビームで倒してしまったんだもんなぁ……」
「まぁ……。それでも、守るためなら仕方ないよ……ね?」
「そうですね。なんだかんだ言って、防衛軍の人達がそもそも、女神様本人を信じてくんなかったのも悪いし! って、思うことにしときますよー」
「そうだね……。うん! 私達にしか、出来ないもんね! この作戦には……鈴菜達は巻き込めないよ」
「そうですね。私も、そのつもりです」
「……よしっ。じゃあ、私も女神探し頑張るぞ!」

 と、右腕をギュッと上に伸ばす。

「とりあえず、まだ、この地区には女神様がいるんだよね?」
「はい。そうですね。ペコ女王は未だに、女神と分からなかったので……。きっと、女神様では無いんでしょうね」
「そっか……。じゃあ、地道に探すしかないね」
「ですね」
「でも、今日は……! とりあえず楽しもっか! 久しぶりと勝利を祝って!」
「はい!」

 それから、俺と陽葵さん。それに、戦った全員で低予算のパーティを楽しみ、部屋に戻った。

 ていうか、よくよく考えてみると……。

 これって、めちゃくちゃハーレムじゃないか?!

 男女比率が一対三。
 やったぜ!!
 ま、まぁ、変な気は起こさないようにしよう。

「ふぁあ。楽しかったー! ね、エミリー!」
「そうだね。陽葵!」
「サン・チュも楽しかったね!」
「うん!」

 い、いつから、こんなに仲良くなったんだ?!
 この場所に居づらい!
 せめて影だけでも、薄めておこう……。俺は一人寂しく、こっそりとソファーに寝転がり、睡眠をとった。

「……起きてください」

 俺は目を開ける。
 さ、サン・チュ!?!?
 何故か、分からないが息を荒らげながら、俺のお腹の上でゆらゆらしている。

「あ、サン・チュばっかり、ずるいー!」

 と、更に、その上に陽葵が座る。
 重いから……! って、あれ!? あんまり、重くない! お、女の子って凄いな?!

「浮気ですか……? 殺しますよ」
「いやいやいや! そういう関係じゃないだろ! 結婚するのか?!」

 と、頬を赤らめ、近付いく、エミリー。

 天国なのか……? ここは!!
 最高だ!!

「……い! 起きろ! クソ野郎が! そんなに起きないなら……」

 唇に何か柔らかいものが当たる感覚がする。き、キス!?
 い、今までのが夢で、さっきの感覚が夢なのか!?

 俺は、ゆっくりと目を開ける。
 いい夢を見て、最高の起こされ方をする。

 天国じゃないか……。

 目を開けると、俺の上から、キスをした人物を理解する。

「・・・」
「そんなに見つめないでください……」
「てめぇは誰だ! 気持ち悪っ!!」

 オエ! 猛烈な吐き気が襲う。
 俺にキスをした人物。それは、良くわからない、名前も知らない、この話の中で、一度も出てきていない。
 ブスだった。デブだった。

「俺は色々と洗ってくる!」

 ソファーから、一気に起き上がる。

「逃がしません……!」

 首の襟を思いっきり掴まれる。

「え、エミリーさん。殺す気ですか?」
「あなたには、この放送が聞こえないんですか?!」

 その顔は真剣そのものだった。
 そして、言われてみれば何か聞こえるような気がする。

「……から、敵が接近! 直ちに、城内まで避難してください! 繰り返します! 臨海部から……」

「な、何ですか? この放送は!?」
「分かりませんが……何者かが……! お二人は先に行ってます! 私達も!」
「お、おう!」

 俺はエミリーの後に続き、臨海部へ向かった。

取得スキル
皿洗いの極意 出前の初級術

カルビ名人 焦がし焼きマスター 山葵鼻つめ リーフターン 玉ねぎボンバー 土下座フラッシュ(晴れの時だけ使用可能) 水鉄砲(小) おっぱおビーム

迷惑客の対処 愛想笑い 協調性 驚き対策 ロリコン対策 ジャパニーズソウル 無神経

おトイレの付き添い 遊園地の支配 身体強化(全身) 魚との会話 危機察知

つまようじ回避マン

お色家 変装『舞妓』

地球のゲームでもあったようなレベルの煽り 
演技『狂人』 主人公補正 騙される弱抵抗力

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