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雪見だいふく

どうしてこうなった『後編』

 俺がケーキの中でスキルを叫ぶと、ケーキは徐々に溶けるように無くなり目の前に兵士達の姿が現れる。

 兵士達は『なに事だ……!』と、戸惑っていた。

 まぁ、そんな事はどうでもいい。
 火のおかげで、あまり俺達が見えない、今がチャンスだ。
 俺は胸に力を入れる。

「……ふっ。『おっぱおビーム!!』」

 な、何だ何だ!?
 火の中から、俺のビームが炸裂する。
 そのビームは周りにある炎を吸収し、炎を纏うことにより、威力が格段に上がっているのが分かった。
 何だか新スキルの手応えがあった。
 使いながら練習していこう。

 兵士達は驚き逃げるもの、その場に倒れるもの。倒れた振りをするもの。
 様々いたが、立ち塞ごうとするものは一人を除いて、いなかった。

「……腰抜け共がどこかに行け!」

 エドワードはそう叫ぶと怒り狂った様な顔でこちらを睨んでいた。
 ビームが髪の毛に当たったのか十円ハゲになっていて、警戒や集中以前に笑いをこらえることが大変だった。
 イケメンに傷を付けた、嫌いなタイプに傷を付けた、俺は現実世界で『国民栄誉賞』が貰えるのではないだろうか。

「お前ら……! 調子に乗りやがって」

 と、目……ではなく頭を輝かせる。

「ここは私に任せろ。剣術なら負けないぞ……」

 と、俺達に呼びかける。
 これは剣士と剣士との一騎討ち。なら、邪魔するわけにはいかない。
 が……いざとなったら遠距離で助けてやろう。

「散々、さっきは私をコケにしてくれたな。男なら大人しく立ち向かってくるがいい」

 そう言うと、剣を輝かせる。
 その輝きが、また、相手の頭を輝かせ、面白い。

「いいだろう。遠距離攻撃は無しだ」

 と、剣プラス……を輝かせる。

「なら、早速、いかせてもらうぞ! 女だからって手加減はなしだ!」

 エドワードは無意識ながらに頭の反射で目をくらませ
、斬り掛かる。
 それを片手で弾き、斬り掛かる。
 すると、相手の服は綺麗に切り刻まれ、シャツが顕になる。

「それは、こっちのセリフだ。その程度の遅い攻撃、同じ騎士として恥ずかしいわ!」

 そう言い、相手の足を斬りにいく。
 寸前で止めているのか、綺麗に斬ることはなく、血が出る程度で止めている。

「私は、お前に手加減をしてやっている。殺されたくなかったら、剣を置き、ただちに謝罪しろ」
「ぐぬぬぬ……馬鹿にすんな!」
「馬鹿にされるほどの弱さだろ。何を言っているんだ」
「……俺の負けだ。命だけは許してくれ……」

 と、剣を置き、部屋から出る扉の前で土下座をする。
 ハゲ頭が眩しい。俺の『土下座フラッシュ』より何倍も強いのではないだろうか。

「よし。ここから逃げるぞ」

 その掛け声でエミリー、サン・チュ、俺の順番で部屋から出る……はずだった。

「何っ……?!」

 俺はエドワードを跨ぎ、歩いていこうとすると土下座をしていたやつに右足を掴まれた。

「お前だけでも……ぶっ潰してやる」
「しつこいなぁ……」

 俺は邪魔だと足を振り払う。

「遅かったなぁ……! スキル『トライフル』」

 ……!?
 俺の体をコーティングするようにクリームで包まれていく。
 身動きが取れない。

「おい! 貴様、何をした!?」
「安心しろ。こいつは生きている。お前だって話せるだろ? あぁ?」
「話せるな。だが、身動きが取れねぇぞ。早く出せよ!」
「おい。お前! そいつを離さないか。私達に倒されたいのか!」

 外はどうなってんだよ。エドワードを殺すとかだけは辞めろよ……。
 ただ事じゃ、済まないからな。

「ん? 倒せるもんなら倒せよ」
「だったら、ぶち倒してやろう」

 おい、エドワード。
 お前、何言ってんだよ! 本当に死ぬぞ? 死んだらガチで捕まるからやめろ!

「な、何!? 私の攻撃が効かないだと……?」

 じゃあ、あの土下座は何なんだよ! 俺を捕まえる演技か何かか?

「そりゃあ、そうだろうな。何と言っても、自分自身をコーティングしているんだからなぁ」

 は……? なら、自分自身も動けないんじゃないか? 馬鹿なのか。こいつは?

「お前らに、このコーティングは剥がせない。さっさと逃げるのが妥当だぜ」
「そ、そうは言っても、一が……」

 サン・チュ……ありがとな。

「さぁ。二よ」
「いや、一です」
「ゴホン。さぁ、一よ! お前に選ばせてやろう」
「な、何をだ?」
「お前が、そこの可愛い二人に逃げていいと、言えば、その二人は助けてやる。だが、お前が意地でも助かりたいって言うなら三人まとめて牢屋行きだ。
 さぁ、どうする」

 ……そんな、有利な交渉決まってるだろ!

「お、おい! お前ら、俺なら何とかなる! だから……逃げてくれ! お願いだ!」
「そ、そんな……」
「気に病む必要は無い。捕まった、俺が悪いんだ。絶対に大丈夫だから……その。頼む!」

 少し間が空き、返事が返ってくる。

「……うん。分かった!」
「それなら私達は逃げる。お前も絶対に後を追ってこいよ」

 ――――――
 ――――
 ――

 そして、十時の形で吊るされている、今に至るというわけだ。
 高さも結構あるし……怖いな。

 ――俺は死んでしまうのだろうか。

取得スキル
皿洗いの極意 出前の初級術

カルビ名人 焦がし焼きマスター 山葵鼻つめ リーフターン 玉ねぎボンバー 土下座フラッシュ(晴れの時だけ使用可能) 水鉄砲(小) おっぱおビーム

迷惑客の対処 愛想笑い 協調性 驚き対策 ロリコン対策 ジャパニーズソウル 無神経

おトイレの付き添い 遊園地の支配 身体強化(全身) 魚との会話 危機察知

つまようじ回避マン

お色家 変装『舞妓』

地球のゲームでもあったようなレベルの煽り 
演技『狂人』 主人公補正 騙される弱抵抗力

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