異世界でみんなの飯テロ保護してます!

雪見だいふく

酔い

 俺達はその後も焼肉を楽しみ(城のある)野菜地区に船が到着した。
 ゴリさんは誰かに電話をかけた後、俺らのところに戻ってきた。

「よぉし! 到着だ……ってお前ら酒臭くいなぁ」
「「俺(私)達は飲んでません!」」

 と、呆れるようにやれやれとするゴリさんに向かい鈴菜と2人でキリッとした表情で答える。

「……お前ら今日、本当に女王様に会うんだよな?」
「ひっく。そうだぜぇ……なぁ学ぅ」
「えぇ。そうですねぇ」

 と、ふらふらしながら2人で肩を掴み合い聞き取りづらい声でそう言う。

「ま、まぁお前らがそう言うならいいんだけどな。あんまり怒らせんなよ?」
「う、うっす」

 すると俺らの近くに10人……いや20人は乗れそうなすごく大きく絶対に高い車が止められた。

「いやぁ……! 来てくれて助かりました」

 チューリさんが車から降り両手で握手をしてきた。

「これから行くんですれど……あなたと鈴菜さんを除いた3人は酔っているんですかね……」
「そ、そうだよ……」

 鈴菜が暗い顔でそう言う。
「そうですか……」と、呟くと両手でパンと1つ叩くと車の運転席から何かを手に持ち黒服の男が近づいてきた。

「良い物があるんですよ」

 そう言った後に男が何を持っていたのかが分かる。
 丸いお盆の上には皿が置いてありその上にある皿には切られた柿が乗っていた。

「すぐには治らないと思いますが柿は酔いを治してくれる効果が期待できますからね。後、この柿は野菜地区が誇れる凄く美味しいスイーツですからね。名前は『イフリート』と言います」
「い、イフリート!?」

 俺は声を裏返すようにそう聞く。イフリートって炎の精霊だったか何かじゃなかったか?
 異世界っぽく食べたら腹の中で燃えて御陀仏とかないよな。

「あぁ。それは私達サンチュ街が昔、戦争……そう。愚かなものをしていた時に勝利しました。その時に炎が舞うように次々と他の野菜を倒したところから取られているんですよ。つまり口の中で踊る美味しさや次々と食べたくなるところから取ってるんですよ」

 と、軽く笑う。
 俺は酔いすぎてボケている3人を呼び、その柿を口に含む。

「う、美味いっすね!」

 噛むと口の中で火花が散るように弾ける感触をした後に一気に広がる柿の甘み。
 美味い! 正直、柿はあまり好きではなかったのが普通にこれは食える! ていうか、もっと食いたい!
 俺は皿に置いてある柿を遠慮の分からない子供のように食べていく。他の4人もそんな感じだった。
 気がついた時には既に無くなっていた。
 何も無い皿にフォークを突きつけ何も刺さっていないフォークを口に含み「美味い!」と叫ぶ陽葵さん。
 どんだけ酔っているんだよ……!

「ぷへぇー。美味かったぜぇ」
「ですねぇー。ひっく」

 そしてこの2人。はぁ……こんなになるまで飲んではいけないということを実感させられた。

「それじゃあ行きましょうか」

 そう言われると俺と鈴菜は開けてくださったドアから車に入る。
 俺達2人が車に乗ってもなかなか3人が来ない。何してるんだよ……全く。
 窓から外を見ると陽葵さんは未だに皿に対してフォークを突き口に含んでいる。
 一方、翼と学は2人でしゃがみこみ地面に何かを書き2人で笑っている。
 翼に関しては常にダメ大人だけれど学は普段、良い大人なんだからしっかりして欲しい。ましてや酒を扱うスキルを持っているんだから。

「「はぁ……」」

 俺と鈴菜がほとんど同じタイミングでため息を吐き「少し待ってください」と、伝えて車から降りる。

「私は陽葵を……」
「了解」

 車に数人乗っている執事から「あの人達大丈夫でしょうか……」のような声が微かに聞こえてくる。気持ちは分かります。ごめんなさい……!
 そして地面に何かを書いている2人の元へ行き俺は力技で車に引き連れようとする。
 その引っ張っている腕を思いっきり引き剥がし絵を再び描き始めボケた声で話してくる。

「ほらほら……学っ。だってぇ楽しんでるじゃねぇかぁあ」
「この絵はいいですねぇ」

 はぁ……ダメだこの大人達。俺は気になり絵を確認する。

「ここはこうですよねぇ……」

 そこには裸の女性が描かれていた……! 俺は注意するためにその話に参加する。決して、参加したい訳では無い。話に参加して引き離したいだけなのだ!

「僕も混ぜてもらいます」
「よっしゃぁ。いいぜぇええ」

 俺達は絵を書き進めていく。
 そして絵が完成する。

「出来ましたよぉー」
「やったー! ぐへへへへー!」

 と、俺が気持ち悪い声で叫んでいると後ろからため息と同時に拳骨をくらう。

「痛たたたぁ……」
「初目的を忘れるな!」
「……はっ! 忘れてたわ!」

 と、俺は「てへぺろ」と舌を出す。

「可愛くないからねっ!? はぁ……」

 その後、陽葵さんを車に入れた鈴菜と2人で何とか翼と学を車に入れることに成功した。
 そして遂に車が出発した。

取得スキル
皿洗いの極意 出前の初級術

カルビ名人 焦がし焼きマスター 山葵鼻つめ リーフターン 玉ねぎボンバー 土下座フラッシュ(晴れの時だけ使用可能) 水鉄砲(小) おっぱおビーム

迷惑客の対処 愛想笑い 協調性 驚き対策 ロリコン対策 ジャパニーズソウル 無神経

おトイレの付き添い 遊園地の支配 身体強化(全身) 魚との会話 危機察知

つまようじ回避マン

お色家 変装『舞妓』

地球のゲームでもあったようなレベルの煽り 
演技『狂人』 主人公補正 騙される弱抵抗力

コメント

コメントを書く

「ファンタジー」の人気作品

書籍化作品