異世界でみんなの飯テロ保護してます!

雪見だいふく

化け物

 ……化け物のような彼女は黙って目を瞑っていた。怒っているのだろうか。実は神様とかあるのだろうか。

「やっぱりダメかー!」

 彼女は目を瞑りながらそう言うと光に包まれダイヤモンドハリセンボンの姿になっていた。

「君に少し話したいことがあったからねー」

 そう言うと俺はサメ2人に腕を掴まれどこかに連れていかれる。
 どこに行くんだろうと思いながらも付いていく。そして、暫くすると竜宮城のような城が海底に建ててあった。
 息は先程の魔法? のような何かで出来ているのでそこら辺は大丈夫なのだが、他の3人が心配しているのではないかと少し焦る。

「到着ー! 君が喜ぶと思ってさっきは水着姿になっていたんだけど人間っていうものはよく分からないねー」

 いや。水着はいいんだよ。容姿をもっといい感じにしとけよ。

「まぁ、ここから入ってよ」

 俺は案内されるがままに城の中に入っていく。
 それを出迎えるかのように人のような何かが踊っていた。
 城中のインテリアにはシャンデリアが掛けられていた。外見に反して中は洋風な作りになっていた。

「ここに座って」

 俺は指定された椅子に座る。前に細長い机が置いてあった。すると、自分も椅子に座ろうとしたのかハリセンボンは人(化け物)状態になった。
 俺は一瞬、吐きそうになる。

「お……ごほん!」
「どうかしたー?」
「いえ、何も無いです」

 彼女は椅子に座る。
 すると……バキっ! と、爽快な音を立てて椅子が壊れた。
 俺は吹き出しそうになるがそれを必死に堪える。

「この、椅子おかしいねー」
「そ、そうですね」

 お前の体おかしいねー。と、言い返してやりたい。
 化け物は新しく執事のような魚が持ってきた椅子に座り直す。

「ごほん。で……用件なんだけどー」

 雰囲気が先程とは違うように感じられた。オーラというかなんと言うか。
 俺も椅子に座り直し姿勢を正す。

「は、はい?」
「まっ、とりあえずご飯でも食べてからにしようかー」

 出来れば他の3人が心配すると悪いから早く帰りたいんだけどなー……捜索届けとか出されると面倒だし。その前に死んだ扱いにされたら嫌だし。

「そ、そうですね」

 俺は嫌嫌そう答える。
 すると、化け物は手をパチンと叩いた。パチンというよりはブニッだったけど。
 奥から執事のような魚人と美味しそうなタイを持ってきた。

「これでいいよねー?」
「あ、え?」

 つまりこいつをそのまま食べるという事か!? 話は覚えてないけど浦島さん凄いな。
 執事は包丁。というより、処刑に使いそうな物凄く太い薙刀の様なものを持ってくる。
 俺は本当に切るのか? と気になりタイを凝視してしまう。すると、自動でスキルのようなものが発動した。

「助けてくれぇ!! 俺がしたのは脱税くらいだ!」

 つまり死刑ってことか? こんなのを見せられた後に「はい、どうぞー」と、言われるがままに食う勇気が俺にはないぞ?
 
「待ってください……! 俺、やっぱりご飯とかいいので用件をお願いします!」
「そ、そうー?」

 化け物はもう一度、手をブニュッ! と叩くと執事とタイはそのまま消えるように後ろに去っていった。

「あのさー。君ってこの前、海神に襲われたじゃんー」
「分かるんですか?」
「そりゃあ分かるよー……そこで君には何かと縁があるから自衛をするためのスキルを教えてあげよっかなーって」
「本当ですか……!?」

 正直、スキルが足りないと思っていた。これは思いがけない幸運だ。

「ハリセンボンは危険を守るために針を出すじゃんー。その時に相手の気を察知するスキルがあるんだけどー。それの応用を君にあげるよー」

 こうして……こうか!
 俺は教えられる通りにする。するとスキル『敵察知』を覚えた感覚があった。
 目の前にいるダイヤモンドハリセンボンなんかを見ると物凄いオーラを感じる。

「まぁ、実際これを教えてあげよーかなって気分で思っただけなんだけどねー私もここだけの話暇だしー……それと! 君は帰りたそうだから今から帰してあげるけど最後に渡すものがあるんだー」

 と、水着トップスから左右で何かを取り出す。

「これをあげよう! その代わりに! 絶対に開けちゃダメだからねーピンチの時なら……まぁいいよー」

 俺は5センチくらいの玉手箱のようなものを2つ渡された。
 すると、たちまち乳は貧乳になった。
 おい……お前、デブの特権である巨乳ですら無かったのか。さらっと、パットと一緒に箱を取り出してるんじゃねぇよ。

「あ、ありがとうございます?」

 そう言うと俺は箱をポケットの中に入れる。

「それじゃあ、ばいばーい」
「ばいば……」

 すると、俺は何者かに思いっきり叩かれ意識を失ってしまった。

 ――波の音が心地よい。

 ここは……? 俺はゆっくりと目を覚まし立ち上がるとそこはサン島のこの前、目を覚ました場所とほぼ同じ砂浜だった。
 もしかして……さっき見ていたのは気絶した時の夢だったのか?
 そう思い、俺はポケットの中を確認すると箱は入っていた。
 つまり、ここで倒れていたのか。
 日の落ち方を見ると夕方。それも、かなり遅いというのが分かる。

 ……はぁ。これ面倒事になってないといいな。ていうか、あいつは何のためにこんな物を渡してきたんだよ。気になるじゃないか!

獲得スキル

危機察知

取得スキル
皿洗いの極意 出前の初級術

カルビ名人 焦がし焼きマスター 山葵鼻つめ リーフターン 玉ねぎボンバー 土下座フラッシュ(晴れの時だけ使用可能) 水鉄砲(小) おっぱおビーム

迷惑客の対処 愛想笑い 協調性 驚き対策 ロリコン対策 ジャパニーズソウル 無神経

おトイレの付き添い 遊園地の支配 身体強化(全身) 魚との会話 危機察知

つまようじ回避マン

お色家 変装『舞妓』

地球のゲームでもあったようなレベルの煽り 
演技『狂人』 主人公補正 騙される弱抵抗力

コメント

コメントを書く

「ファンタジー」の人気作品

書籍化作品