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雪見だいふく

ダイビング

 揺れてる! 揺れてる! マジで吐いちまう……

「オェ……」

 他の3人も具合が悪そうだった。
 なんたって運転がふらふらしすぎているからだ。

「よぉーし。もうちょっとでダイビング出来るぞぉ」
「はい……」

 正直に言わせてもらうと『ダイビングとかもうする気分じゃない』けど、わざわざ来たんだからするべきだろう。
 暫くすると船は停止した。

「よぉし! ここだぁ!」

 俺達はゴリさんに言われるがまま海に潜る。深さは恐らく2、30メートルくらいではないだろうか。
 肝心なゴリさんは具合が悪いのか早々に上がっていった。
 おぉ! 綺麗だけど吐き気するな。
 綺麗な海! 広がるさんご礁! 素敵な嘔吐物! になりかねないな。
 嘔吐物を出した瞬間に海神が襲ってきそうだから我慢をする。

「ぶくぶくぶく」

 陽葵さんが何か言うように人差し指を右側に向けて指している。
 そこには大量の魚が群れを成して泳いでいた。
 普通だったら「すげー!」って、なるのだろうが俺はそうは思わなかった。
 何故なら『分からないけど、この前ハリセンボンと戦った辺りから生きてる魚を凝視すると声が聞こえてくるからだ』この、能力を持ってすると非常に気持ちが悪い。
「人間だー! くずだー!」とか、「群れを成してぶっ殺すか?」みたいな発言が聞こえてしまうのだから。
 はぁ。そこまで嫌わなくてもいいだろ。
 そんな時に気になる発言をしている魚が1匹だけいた。

「おい……俺に考えがあるんだがシャーク様に頼んで人間を成敗して貰わないか?」
「……いいな! それ!」

 ちょっ……それって割とヤバくないか?

「今すぐ呼びに行くぞー!」
『おー!』

 すると、大量の魚達は一気にその場から去っていった。
 陽葵さんはとても切なそうにしょんぼりとしていた。
 ……じゃなくて! だとしたら今すぐここから逃げるべきではないだろうか。この能力、普通に使えるかもしれないな。

「ぶくぶくぶく!」

 俺は3人に伝えるために魚達が逃げた方と反対の方を振り返り、上を指差し船に上がるようなジェスチャーをするように腕を何度も回す。

「ぶくぶく……?」

 他の3人は何やってんだこいつ。みたいな目で俺を見つめてくる。
 くそ! 俺にジェスチャーが上手くなるスキルがあれば!
 俺は何度も何度も伝わるようにする。
 その度に3人の疑問が増しているような気がした。

「ぶくぶくぶく」
「ぶくぶ、ぶいじょうぶ?」

 陽葵さんに遂に言われてしまった。聞き取りづらかったが頭、大丈夫? と言っていたのだろう指で頭をトントンしてたし。
 だが、それに屈しず俺は同じことを何度も何度も行う。

「ぶく……?」

 3人が心配して駆け寄ってきた時にいい事を思いつく。
 今、普通に俺が海から上がれば3人とも付いてきてくれるんじゃないかということだ。
 そう思い俺が上がろうとすると3人が必死に指を後ろに向かって指していた。

「ぶくぶ……?」
「ぶく! ぶく!」

 3人は俺を置いていくようにすぐさま上がる。
 何だよ……結局、上がるのかよ。なら、俺も上がるか。
 それより、3人とも後ろに向かって指を指していたけどそんなに凄いものでもあったのかな?
 俺は後ろを振り返る。

 すると――

 そこにはサメさん(海神と戦う前にいたサメのようなやつ)と大量の魚が物凄い勢いでこちらに向かっていた。

「ぶぶっ(やばっ)!」

 俺は急いで上に上がろうとするが『時、既に遅し』サメがこちらに向かい水中で剣を振っていた。波動のように波が俺を襲う。俺はそれを危機一髪で回避する。
 どうしよ……倒すとするのなら、やつらには火が効くはずだ。だが水中の中では『焦がし焼きマスター』なんて使えない。

「残念だったなぁ! ここで死ね!」

 と、剣を構える。

「そこまでです!」

 女性のような声で止めが入る。綺麗な声だな。いや、待てよ……何故、水中なのに普通に声が聞こえるんだ?

 気になって俺が見た先――そこに立っていた? というより泳いでいたのは『1ミリも可愛くないデブでブスの女』だった。
 デブでブスの水着。それだけで大半の魚が死んでいるように思えた。
 この女というより化け物を分かりやすく例えるならイノシシとゴリラの合成獣。筋肉のないバージョンの脂肪だけのお相撲さん。というのがあっているだろう。もちろん、顔面なんて説明するに足らない。めんどくさいので顔面を下手くそなおにぎりみたいに思いっきり握った顔と例えるのがいいだろう。ちなみにたらこ唇なのでおにぎりの具材としてはバッチリだ!
 褒める部分を無理矢理、作るとするならデブ特権の爆乳。それくらいだ。

「とりあえずこれを使って!」

 何だか気分が楽になる、自分自身もえら呼吸になったかのように呼吸のしやすさを感じる。
 今ならもしかして……と思い喋ろうとする。

「おいブス! お前は誰だ!」

 ごめんなさい。まさか本当に喋れるとは思わなかったんです。
 お願いだから俺の臓器を全て破壊するようなプレス系の攻撃だけはしてこないで欲しい。

「……」

 化け……ごほんごほん。彼女は無言だった。
 怒っているのか……? ごめんなさい!

 ――水中で対決したら間違えなく死ぬな。と、思いながら覚悟を決めた俺は無言の彼女を見つめていた。

獲得スキル

魚との会話(少し前からあった)

取得スキル
皿洗いの極意 出前の初級術

カルビ名人 焦がし焼きマスター 山葵鼻つめ リーフターン 玉ねぎボンバー 土下座フラッシュ(晴れの時だけ使用可能) 水鉄砲(小) おっぱおビーム

迷惑客の対処 愛想笑い 協調性 驚き対策 ロリコン対策 ジャパニーズソウル 無神経

おトイレの付き添い 遊園地の支配 身体強化(全身) 魚との会話

つまようじ回避マン

お色家 変装『舞妓』

地球のゲームでもあったようなレベルの煽り 
演技『狂人』 主人公補正 騙される弱抵抗力

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