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雪見だいふく

魚人『後編』

「誰がいないって?」

 中央に堂々と立っていたのは翼だった。
 今日の翼なんだかカッコイイ!

「魚の事なら俺に任せろってんだ! ところでなんだよこのサメみたいなやつ。仮装パーティーか何かか?」

 やっぱり今日も馬鹿だった。

「てかなにあの大きなタコ! たこ焼きや!」

 おい。あれを見て止めようと思わないのかよ。
 魚人は1度止まれたようで後ろを振り返る。

「愚かな人間よ。オクト様をそのようにバカにするとは……」
「オクト様ってのかあいつ! 食べたくなってきたぜー」
「無礼者がっ! 奴を先に始末するぞ」
「ハッ!」
「助かったぜ。翼! じゃ!」

 俺達は手を上げてバイクに乗りオクト様とやらの所に急いで向かう。早くしないとホテルが潰される。







「はぁ。また、取り残されちまった。どれもこれもお前らのせいだからな! ハロウィンなんてまだまだ先だろ!」
「何を言うか。殺させてもらう」
「え、ちょ待……」
「残りの煙幕は?」
「後、1です」

 煙幕? 俺にはそんなものは効かない。何故なら一瞬で照らせるから。

「使用しろ!」

 辺りが暗闇に包まれる。
 その瞬間に俺は背中に翼が生えたかのように空に浮き闇を照らす神のように周辺を明るくする。
 煙幕は一気に晴れる。

「残念でしたー! 暗闇の中でも獲物を狩れるような目だし明るくした方が早いんだよなぁ!」

 魚に詳しい俺にとってはこんなの余裕だ。

「ちっ。相手が悪いな。帰るぞ!」

 3体のサメは逃げるように散って海に帰っていった。
 俺は舞い降りる天使のように華麗に着地をする。

「よっと。こんなのも倒せないなんてまだまだだなぁ……」

 俺は急いで4人の元へ向かった。





「あの、タコやばくない? もう少しであいつの視覚に入りそうだけど、どうやってあんな化け物倒すつもり?


 俺達はタコのほぼ間近まで来ていた。

「一面全部アヒージョにでもしてワインと楽しみますか?」
「馬鹿な事を言ってないで作戦を考えろよ。学っ。あと、アヒージョじゃなくてたこ焼きな」
「あーもー! そんな事どうでもいいから! てか、もうそこにいるし!」

 俺達はオクト様とやらの前にバイクを止めていた。
 近くで見ると一層大きく見える。

「たこ焼きだろ!」
「アヒージョですよ!」

 前にいるにも関わらず食べ方の話を口論する。
 すると、上からボス臭が漂う図太い声で話しかけてきた。

「おいタコ。人間、ここで死んでもらうタコよ」
「いきなりなんだよ! うるさいなぁ! こっちはタコをどうするか口論してんだよ! 黙れ頭でっかち! ――だから! たこ焼きの方がいいんだよ!」
「何を言ってるのかさっぱりですね……」

 後ろから頭を陽葵さんに叩かれる。

「おい、お前ら話を聞け。てか、聞いてあげなよ。ほら、あのオクト様とやら泣きそうじゃん」
「なんか、すみませーん。たこ焼きにしてあげ……じゃなくて頭でっかちなんて失礼でしたね」

 と、俺は手を頭にやりペコリと一礼する。

「ターコオオオオオ! キレたコ! 舐めタコ真似ばかりしやがってタコ!」

 一々、語尾にタコを付けるのは何なのだろうか。タコタコ聞き取りづらくて腹立つんだが。

「はいはい。すみません……なんて言うと思った? 迷惑なんだよ! 帰れ帰れ!」
「お前ら人間に言われタコないタコ」

 怒っているのかだんだんと赤くなっている気がする。

「おし。じゃあ、そろそろたこ焼きの準備でもしますか」
「……アヒージョですよ。まぁ、戦うという意志には賛成です。ホテルが壊されたらショックで死にそうなのでね」
「私もいっちょやりますか!」
「頑張ろー!」
「タコタコかうんだな。恐れ戦……」
「セリフの途中で悪いな! 必殺技っ!」

 俺は胸をタコに突き出す。

『おっぱおビーム!』

「タコっ!?」

 動揺してやがるぜ。決まったな。

「――なんて、言うと思っタコか?」

 タコの体に当たるとそれは受け流されるようにツルッと後ろの方にビームは飛んでいった。

「なら、私が……! 物理攻撃なら大丈夫のはずよ!」

 陽葵さんは接近してパンチを何度も加える。だが、そのパンチは吸収されるようにタコに取り込まれる。
 パンチに夢中になっている陽葵さんの背後から腕が襲いかかる。

「陽葵さん! 危ない!」

 叫ぶのがワンテンポ遅れる。
 陽葵さんは捕まれ砂浜の方に投げられてしまった。
 体を何度も地面に打ちつけながら態勢を整える。
 陽葵さん以外だったら確実に気絶はしていたんじゃないか……?
 大丈夫だとは思うが一応聞いておく。

「陽葵さん大丈夫ですか!」
「大丈夫だから……糸口を見つけて……」
「な、なら私も!」

 手から大根の葉のようなものを出す。そしてそれをタコに飛ばす。

『すずしろスラッシュ!』

 こうかはばつぐんだ! ……と簡単には、いかなかった。
 タコは器用に腕を使い葉を跳ね返してくる。俺はとっさにスキル『焦がし焼きマスター』を使用し葉を燃やす。
 どうすればいいんだ……!

 ――何か糸口はないのだろうか。

取得スキル
皿洗いの極意 出前の初級術

カルビ名人 焦がし焼きマスター 山葵鼻つめ リーフターン 玉ねぎボンバー 土下座フラッシュ(晴れの時だけ使用可能) 水鉄砲(小) おっぱおビーム

迷惑客の対処 愛想笑い 協調性 驚き対策 ロリコン対策 ジャパニーズソウル 無神経

おトイレの付き添い 遊園地の支配 身体強化(全身)

つまようじ回避マン

お色家 変装『舞妓』

地球のゲームでもあったようなレベルの煽り 
演技『狂人』 主人公補正 騙される弱抵抗力

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