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雪見だいふく

釣り

 俺達は今、釣りをしている。
 大物がかかる予感がする。

「あっちの方がかかる気がするぜ!」

 そう言うと、翼は急に立ち上がり俺達の反対方向に向かった。暫くすると翼が見えなくなった。
 よくよく考えてみると学さんと2人って珍しいな。何か話したいけど何を話せばいいんだろう。

「……」
「あのー……学さんってワインとか以外に好きな事ってあるんですか?」
「そうですねー……ワイン、バイク、釣り、将棋とかでしょうか」
「将棋好きなんですか?」
「ええ。 結構、私、将棋得意なんですよ。今度1局いかがですか?」
「喜んで。と、いっても将棋なんて小学校の頃やった以来で全く強くないんですけどね」
「なら、ハンデを付けてやりますか」
「あの、1つだけ聞きたいんですけどこちらの世界の意味の分からない将棋ではないですよね?」
「もちろん。普通のです。カードゲームみたいなやつじゃないですよ」
「良かった……って、学! 魚! ヒットしてる! ヒット!」
「おっと……かかっていましたね」

 学さんはそり曲がっている竿を手にしてリールを回す。
 水面にはかなり大きめな魚影が浮かんでいる。
 学さんも1人で出来るんだろうけど何となく俺は玉網を掴んでいた。
 学さんが魚を上に上げ、俺が玉網で魚を網に入れる。
 釣った魚は『マダイ』だった。体長は見た感じ140cmで他のマダイより全然大きい部類だった。

「おお! 大きいですね。この大きさならかなりレア物じゃないですか?」
「ですね。ここまでの大きさは久しぶりですよ。釣り自体も久しぶり何ですけどね」

 と、ニッコリ笑った。
 俺は学さんと仲良くなったような気がした。
 でも、俺は1つだけ謝らなきゃいけない事を思い出した。

「あの……さっき先輩なのに呼び捨てしちゃってすみません」
「全然いいですよ」
「ありがとうございます! あの……良かったらですけどこれからは敬語とかなしでオープンにいきません?」
「いいですよ。でも、私は敬語が好きなので喋り方はこのままで」
「はい! よろしくな学!」

 俺達は何だか仲良くなったような気がした。
 それから一向に当たりはなく更に40分近く2人で暇を持て余していると、後ろから何かが釣れるような音がした。
 何が釣れたのか気になった俺はその場に座ったまま声を出した。

「翼ー! 何かがかかったっぽいな何が釣れたんだー」
「あー……残念ながら通常サイズの『アジ』だよ」

 俺だけまだ釣れてないな……餌を変えてみよう。と、思い竿を上げていると重みがかかる。なんと、魚がヒットしたみたいだ。
 俺はその事を伝えようと学の方を向くとそちらにもヒットがあった。
 後ろからも魚が釣れるような音がしたので恐らくヒットしたのだろう。
 どうして、急に釣り堀みたいにヒットしているんだ……? いや、全然嬉しいんだけどさ。
 アジやメジナ等、様々な魚が釣れた。それも、俺が指定した終了時間まで半永久的に。

「いやー……ここまで釣れると流石に疲れるよなー」
「ですね、腕がパンパンです」
「翼さんの所はどんな感じですかね。見てきましょう」

 翼が釣っていた所へ見に行くとタオルで汗を拭い満足そうに微笑んでいた。

「お疲れ。途中から凄かったな」
「だな。結果発表でもするか!」

 こいつ……疲れてるはずなのにめちゃくちゃ元気だな。絶対、良いのが釣れただろ。
 俺達はそれぞれ魚を入れたクーラーボックスを手にその場で魚を見せ合う。

「結果の基準はそれぞれが選んだ1匹の中で1番凄かったやつが優勝で良いんだよな?」
「「もちろん」」

 よし。じゃあ、俺はこれかな。
 と、魚を取り出す。それは『アジ』なのだが俺が見たことある普通のアジより1回りは大きいと思う。体長は60cm近くあるだろうか。こんなアジを俺は知らない。

「どうだ! このアジめちゃくちゃ大きくないか?」
「おお。凄いですね」
「凄いけど……クス」

 うわぁ! マジで腹立つわ。良いのが釣れたからって人のを馬鹿にしやがって。どんなものか気になるね。本当に。

「俺のは凄すぎるから最後まで取っておいてくれ!」
「なら、私から」

 と、言って出したのは俺も手伝った特大のマダイだった。

「まぁ、これは彼にも手伝って貰ったので1人で……という訳ではないんですけどね。まぁ、凄いでしょう!」
「だよなー! その魚。本当に良いよなぁ。これに勝てんのか? 翼?」
「……ふふ」
「怖気付いて喋れないのかー? 今なら特別に500ルビーでさっきのは忘れてやるぞー?」
「しょぼいから笑ってんだよ……ふふっ! 俺のは出すと危ないかもしれないからこれで見てくれ」

 と、クーラーボックスを示す。
 他の魚とは別のところに入れているみたいだ。
 翼がクーラーボックスを開けると太陽を反射する鏡のようにその中が輝いた。

「これこれ! 見てみろよ。眩しいから少しだけ気を付けろよ?」

 俺と学はクーラーボックスの中を覗いた。

 ――俺達の目に映ったものは……

取得スキル
皿洗いの極意 出前の初級術

カルビ名人 焦がし焼きマスター 山葵鼻つめ リーフターン 玉ねぎボンバー 土下座フラッシュ(晴れの時だけ使用可能)

迷惑客の対処 愛想笑い 協調性 驚き対策 ロリコン対策 ジャパニーズソウル 無神経

おトイレの付き添い 遊園地の支配

つまようじ回避マン

お色家 変装『舞妓』

地球のゲームでもあったようなレベルの煽り 
演技『狂人』 主人公補正 騙される弱抵抗力

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