異世界でみんなの飯テロ保護してます!

雪見だいふく

家族

「こいつ……どうします?」
「そんなの圧倒的な俺のパワー技で終わりだぜ」
「わ、私達はか弱いから……」

 1人はめちゃくちゃ強いけどな。

「オマエラノカオヲワスレタコトハナカッタ。ヒトリヲノゾイテ」
「うるせぇ! 俺が本気を出せば一捻りなんだよ!」
「マネーボンバー」

 翼の前にお金? が置かれる。
 翼は空に飛び立っていった。こんなこと前もあったような……

「ヤッパリアイツカス。ダガオマエラハユダンデキナイ」

 と、手を丸にして口笛を吹く。口笛はフエラムネのように遠くまで鳴り響く。
 サササッ。
 ドスンドスン。

「……ニイチャン。こいつらか?」
「コイツハオレノオトウトノ、グリズリー・サガワ(グリズリー・佐川)ダ」
「ニイチャン! ボッコボコニシヨウネ」
「コッチモオレノオトウトノ、グリズリー・ヤマトダ」

 つ、遂に手を取り合った!? 俺はしっかり脳内でツッコミを入れる。

「オトウトヨ。マカセロ」
「コッチハオレノイダイナニイサン、グリズリー・メルカリダ」

 もはや、名前のセンスが意味わかんねぇよ!
 そして、後ろからいかにも他のグリズリーとは違う音がする。
 ドスンドスン。
 あのー……地味に奥の木が徐々に倒れているんですがー……

「グゴオオオオオオオォ!」
「コイツハオレノカアチャン。グリズリー・オコヅカイ(グリズリー・お小遣い)ダ。チナミニイマカアチャンハモウレツニキレテイル」
「グゴオオオオオオオォ!」
「オレガヤクシテヤロウ。オマエラガワタシタチノトウチャンウバッテッタオナゴカ。ブッコロス」

 色々、ツッコミたいところはあるけどちょっと待て! その母ちゃん完全に普通のグリズリーじゃねぇか!

「これは人間がどうこうできる話じゃないですって! 早く逃げましょう。翼は誰かが適当に引っ張っていくとして……」
「チッチッチッ。オレタチニカラマレタンダ。タダデニゲラレルトオモウナヨ」
「グゴオオオオオオオォ!」

 お前ら雑魚のクズリリーは関係ないんだよ! 1人完全なグリズリーがいるじゃねぇか!

「私と学さんはロケットで逃げようと思えば逃げれるんですけど置いていく訳にはいかないですからねー……」
「翼を置いて逃げないか」

 こんな感じで俺らが道の中心に集まり話をしていると……

「グゴオオオオオオ!」
「ちょ! 待てって」
「私に任せて! 『ふわふわクリーム』」

 陽葵さんこんなに可愛らしいスイーツの技が使えたのか……

「そしてー! 連続攻撃! とりゃぁ!」
「グッ! ググッグゴオオオ!」
「チョットマッテ! シヌユルシテクダサイ! ト、ハハハイッテマス」

 もろグリズリーに謝らせる陽葵さんとかチートかよ。俺が頭で可愛いなぁ。って考えてる時には追い詰めてたからな。

「グゴッ! グゴオオオオオオ! グガァア!」
「クソガッ! ワタシハチチオヤニニゲラレタ。『ヨワイザコカゾクハイラナイ』ト、アナタガタノヨウナツヨイヒトナラアウコトガアルハズダ! オネガイシマス! ト、イッテマス。ドウカチチオヤヲココマデツレテキテモラエナイデショウカ。チナミニハハハイカリデゲンゴヲウシナイマシタ」

 最後の補足いるか……? しかも、言語はグゴオオオオオオの方じゃないのかよ……

「ねぇ! これって『クエスト』って、やつじゃない?」

 クエスト……RPGとかで良くあるやつか。つまりやらなくていいんだな。よし! 行こう!


「一応、私がそこのクズリリーさん達に報酬とどこ辺りにいるかの推測を聞いておきますね」
「お願いしまーす」

 RPGとかの裏側ってこうやって誰かが頑張ってメモしてるのかな。大変だな。
 まぁ、やらなくていいクエストだろう。

「わかりましたー。それじゃあ皆、行きましょう!」
「ふぅ。なかなか手強い熊だったわ……」
「あなためちゃくちゃ余裕だったじゃないですか!」
「歌でもどうですかーっ?」

 鈴奈、やけにテンションが高いな。

「もう敵を呼ぶ行為はやめましょう」

 こうして、俺達? は山を降り無事に家に帰ったのだ。

「楽しかったですねー!」
「また行きましょう!」
「ゴホン。翼さんがいないのでは……」
「あの嚙ませ犬は適当にフラッと帰ってくると思いますよ? 普通に強いし。もう、疲れたので今日は解散しておやすみ!」
「うん。おやすみー」

 ……俺らは死ぬほど薄情だった。てか、クズしかいねぇ! このパーティ。まぁいっか!



 って、ちょっと待て!
 翼は目を覚ますと夜中の山に1人取り残されていた。ここはどこだ……? 気絶してたのか? だとしたら俺はどれくらい気絶したんだ……あと、皆は? 何でこんなに暗いんだ?
 ギュルルル
 お腹が鳴る。腹減ったし……夜の山は危ないって聞いだぞ……。

 ウゥー!ワンワン!

 ……怖すぎんだろ。
 俺はこのまま動物達の食料にされるのか? あいつら……帰れたらぶっ殺す。
 山にいる時って無駄に夜は動かない方がいいんだっけな……だが、今の俺にはそんな冷静な判断はできない。とりあえず、適当に歩いてみる。
 カランカラン
 飲み物もちょっとしかないし……。
 俺が途方もなく歩いてから約1時間近く経っただろうか。
 やべ……頭痛い。ふらふらしてきた。

 ドゥルルルルルル

 光……? 俺、死ぬんだな。いや、幻覚じゃない? 空に飛んでるのはヘリコプターだった。俺は残りの力を振り絞り声を出した。

「助けてくださーい!!」

 光が近づくのが分かる。俺は……助かったんだ……。ここでもう1度意識が途絶えてしまった。

取得スキル
皿洗いの極意 出前の初級術

カルビ名人 焦がし焼きマスター 山葵鼻つめ リーフターン 玉ねぎボンバー 土下座フラッシュ(晴れの時だけ使用可能)

迷惑客の対処 愛想笑い 協調性 驚き対策 ロリコン対策 ジャパニーズソウル 無神経

おトイレの付き添い 遊園地の支配

つまようじ回避マン

お色家 変装『舞妓』

地球のゲームでもあったようなレベルの煽り 
演技『狂人』 主人公補正 騙される弱抵抗力

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