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雪見だいふく

山登り開始

 俺達、5人は仕事の為にここに来たはずだがあまりにも何も無いので普通にこの街を楽しんでいた。今日は遂に遠足の日。
 俺達は山の手前まで来ていた。

「なぁ、山に登るのはいいんだけど『お弁当を崩さないように持ちたい』だからさ、お弁当を持つの変われ」
「筋肉付けなきゃてだからさ……!」

 正直、陽葵さんが持てば絶対に崩さないようなぁ!? まぁ、そんな事を言ったら「か弱いからねっ」って、ぶん殴られる運命が見えるからな。辞めておこう。ここは馬鹿に押し付けるのが1番いいよな。
 って、皆、山に登ろうと階段に足を掛けてるし!

「皆、少し待て。おーい! 翼、お前、今日の朝、俺を無理矢理起こしたよね? だから、お弁当を持て。金を請求してもいいのかなぁ?」
「……うぅっ。金を、金をー!」

 翼め。やはり馬鹿だな! 俺の策にこうも簡単に引っかかるとはな。

「……翼。やっぱりクズね」

 あのー……聞こえてまーす。

「も、も、もしかして、一君と翼さんってそういう関係……!?」
「ふっふっふ。私には分かっていたよ」

 いやいやいや!「分かっていた」キリッ。じゃねぇよ!

「はい。そこっ! 静かに」

 俺はしっかり3人の方を指差す。その後、俺達は翼に弁当を押し付け、皆の方に駆け寄る。

「って、わけでよろしくぅ! よーし。皆行きましょう! 皆で階段を上る第一歩を踏み出そうぜ!」
 
 なんだ、この『俺達の戦いはまだまだこれからだ……!』って、いう打ち切り漫画みたいな流れ。

「ねぇ、一君? 私達もう上がってる……」

 うわぁあ! これ、やってみたかったのに。俺は渋々、1人で階段を上る。
 こんな感じで「行くぞー! おー!」って、1人、頭の中で妄想するように。

「って、皆、待ってくださーい!」

 俺は急いで4人に追いついた。

「ここから、頂上まで高さはどれくらいなのー?」
「ええっと、500mだから半日で余裕で済みますよ。きっと……何も起こらなければ」
「謎のフラグ建築するな!」

 鈴奈さん、ツッコミも出来るのか。確かに、フラグ立てたな。
 俺達は徐々に山を登っていた。

 ――登り始めて1時間半

 何故、時間が分かるかって? よくぞ聞いてくれた! この、新しい時計のお陰さ!
 キラン!
 俺は1人で時計をキラキラさせて喜ぶ。傍から見たら気持ち悪いんだろうなぁ。ちなみに、これは陽葵さんにプレゼントして貰った。俺自分で言うのもなんだけどクズだな!
 で、でも! この時計は異世界らしくて素晴らしい機能がある。それは、このライト機能! 結構暗いところまで見れるらしい。後、戦闘力を測れるらしい。使ったことは無いけど。 
 あれ? 普通のとほとんど同じような……
 って、時計の説明なんてしてる場合じゃなかった。山初心者だから、時間がかかったり、休憩したから、やっと300mだ。早い方なのかは分からないけど。
 このペースなら正午には余裕で頂上について弁当を食べれそうだけどな。
 それから、少しした、350m地点。何故かここだけ一直線になってて、吊り橋が掛けられていた。
 おおっ! こっ、これは『吊り橋イベント』! 翼がニヤニヤしている……。こっ、こいつ同じ事を考えているなっ!?
 俺らの間はバチバチしていた。視線厳しいなぁ。俺は今日、1イベントこなしているからなぁ。これ以上、イベントが起こるのはラブコメなんだけど。
 すると、強風が吹く。めっちゃ橋が揺れてきたぞ? おいおい。待て、イベントがこれ以上起こるのはむしろ疲れるから辞めてくれよな?
 今更だが、橋の説明をしよう。橋の横は2人が通れるほどの通路。長さはそこそこある。目で測った感じ、10~20mくらいだろうか。

「っしゃぁ! そうだ! これから俺達5人でじゃんけんをしよう」
「じゃんけん? チーム分けをか?」
「だけどなぁ、チーム分けって地域によって絶対異なるだろ」
「そ、そうだな」
「じゃんけんで買った人から一緒に歩きたい人を決める! これでどうだ?」
「じゃんけんね……」
「じゃんけんですか……」
「あんたら! 辞めろ! 鈴奈、めっちゃビクビクしてんじゃないすか! あと、そのノリいいです。あんたらがここで本気を出したら山が半分飛びます。てか、この吊り橋自体ぶっ壊れて終わりですって!」

 こいつらのじゃんけんのノリ! 一体どうなってんだよ。一々、じゃんけんをする度にこんな殺気を放ってたら世界の半分は飛ぶって! それくらい、こいつらはやばい集団なのに……自覚しろよ! お前らのは『じゃんけん』じゃねぇ、『邪神拳』だ! って、自分らしく考えたのに1ミリも面白くない……やばい、なんか恥ずかしくなってきた。
 っと、俺が仕切らないとこいつら何をしでかすかわからないからな。

「じゃあ、普通にいきますよー」

『じゃーんけん。ポン!』

 おっ、珍しくあいこか。

『あーいこでしょっ!』

 っしゃぁ! 俺はチョキ。それ以外は全員パー。

「負けたー! なぁ、一! 誰にすんの? 誰にすんのっ?」
「俺? 学さんで」

 っしゃぁ! これでイベントは起こりようがない! 本当に遠足だ。先生の管理下のもといちゃいちゃ出来ない。みたいな感じだ。

「やっぱり、一……」
「鈴奈っ!? 誤解をするな!」

 なんか、女子共は悲しそうだし。
 翼は俺にめちゃくちゃ感謝してるけどな。

『わぁい。いくよぉ。じゃんけん。はぁ。』

 女子2人! 1人めちゃくちゃテンション上がってるのに2人でため息つくの辞めてあげようよ!
 結果は陽葵さんの1人勝ち。

「陽葵さん! 組みましょう」

 彼女は即答だった。陽葵さんと握手をしていた。

「嘘だ……嘘だ。嘘だァ! もう、俺お家帰る」
「ちょ! 帰るな! お前、ここまで来て引き返すのかよ。てか、お前が登るって……あと、弁当持って帰るな!」

 まぁ、なんだかんだで引き止めて遂に吊り橋を渡る事になった。

取得スキル
皿洗いの極意 出前の初級術

カルビ名人 焦がし焼きマスター 山葵鼻つめ リーフターン 玉ねぎボンバー

迷惑客の対処 愛想笑い 協調性 驚き対策 ロリコン対策 ジャパニーズソウル 無神経

おトイレの付き添い 遊園地の支配

つまようじ回避マン

お色家 変装『舞妓』

地球のゲームでもあったようなレベルの煽り 
演技『狂人』 主人公補正 騙される弱抵抗力

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