異世界でみんなの飯テロ保護してます!

雪見だいふく

小学生か!『後編』

 俺は陽葵さんに腕を引っ張られる。

「ちょっ、陽葵さん何処に行くんですか? 更に駄菓子を廻るーとか辞めてくださいよ?」
「水着よ!」
「え?」

 水着って……山に行くんじゃないのか?

「え、山に行くんじゃないんですか?」
「川で泳ぎたいっ!」

 でも、高い山だからあまりそういうのはないんじゃ……それじゃあ、滝奉行か何かに……いや、あるかもしれないけど崖か何かの下とかにしか……

「泳いだりしたら疲れて頂上まで行けなくなりますよ?」
「むぅ。……そう! 持っておくがいいのよ」

 小学生かよ! 何故か持っていかなくてもいい物を「持っていくー」って、駄々をこねる子!

「いやいやいや。入りませんって! ……陽葵さんの水着姿は見たい気がするけど……」
「なら、買いに行こう!」
「えっ、声にで、出てましたっ?」

 もしかして、あれ声に出てたのか? うわぁ……! 恥ずかしすぎる。ただの変態じゃないか。
 俺は顔を真っ赤にする。

「み・ず・ぎ! 見たいんでしょっ?」
「うわぁぁあ! 言わないでください! なしっなし!」
「まぁ、私達色々な所行く機会あるし、そのうち海もあるよ」
「力強いんだから引っ張らないでくださいよー」
「私は『か弱い女子』なんだから」

 笑顔が怖いです。

「正反対じ……」


「起きて、一君っ!」

 俺は目を開ける。どうやら気絶したようだ。力強すぎんだろ!

「良かった! 意外と早く目が覚めて」
「どれ位経ちましたか?」
「20分!」

 割と早く目が覚めたんだ。ていうか、この柔らかいものは……俺は揉んでみる。

 ぶにぷに。

 気持ちいいな、これ。俺は続けて揉んでみる。

「……ハァハァ」

 なんで、陽葵さん息を上げてるんだ……? 周りの人も見ている気がするし。
 俺は再度揉んでみて気がついた。
 こっ、これは……! 柔らかく透き通った白。この揉みごたえ、こ、これは『膝』だっ!

「陽葵さん。ありがとうございます」

 俺は最高のキメ顔をした。

「怒るよ……?」
「わ、わぁ! ごめんなさい! 殴るのはやめてください!」
「もう。いいよ。しょうがないなー」

 めちゃくちゃ人が見ている。そりゃあこんな人通りの多いところでいちゃいちゃしてれば……って、駄菓子屋の前こんなに人いたか!? いたとしても1、2人。10人近くいないか?

「あ、寝てたからここまで連れてきちゃった! てへっ」
「来たんだったらいいですよ……って、アダルトショップ!?」

 俺は大声を上げてしまった。やばい……ただでさえめっちゃ注目浴びたのに更に浴びちゃったよ。

「俺、未成年なんで入れません」

 俺は回れ右をして後ろを振り向く。

「こっちの世界にはそんなの無いよっ?」

 このクソビッチが! やめろやめろ! 俺は入りたくないぞ?

「俺は陽葵さんの水着はお楽しみがいいので付いていきません!」

 我ながら天才。いい回避法を見つけたぜ!

「むぅ……なら、違う所に行こー!」
「次はどこに行くんですか?」
「食べ物!」
「それは明日ですっ!」

 なんだかんだで、それから俺達は登山靴といった山登りに必要な道具。正直、必要でもなさそうな道具。を用意するためにあらゆるショップを巡った。正直、ほとんどの店に入ったんじゃないだろうか。補足だがアダルトな店には入ってないよ。
 そんな、俺達は朝から午後6時くらいまでショッピングをし、城の前まで来ていた。

「いやぁ。さすがに疲れましたよ。もう、足がパンパンです」
「1日中付き合ってもらってありがとねっ」
「いえいえ。なんだかんだで僕も楽しかったのでいいですよ」
「そうだ! どうせなら夕食も一緒に食べます? 城の中に美味しそうな店ありましたよー」

 俺はこの前、暇つぶしをした時(あれからあんな事態になるなんて)に長い道だったので覚えていたのだ。

「よし! 任せた。それじゃあ、案内よろしくぅ」

 俺は城内に入り、図書館のあった7階のボタンを押す。あそこに行くまでの時に美味そうな店があったんだよな。

「紹介してくれるなんて楽しみだなー」
「ふふ。楽しみにしてて下さい。こっちです」

 俺が紹介した店。そこには『寿司屋』と書かれいた。

「ここに来てから野菜関連のものしか食べてないですよね……なのでっ! ここを紹介したんですよ!」
「たまに熱くなるよね……まぁ、私も楽しみだけど!」
「あ、すみません。まぁ、今日は思いっきり食べましょうよ!」

 俺は扉を開け、暖簾をくぐる。この感じ! この感じ! 『寿司屋』って、感じするよなー。

「はい、らっしゃい! お客さん2名ね。ちっ」

 今の舌打ち何!? 怖っ。

「ねぇ。大正感じ悪くない?」
「そうですよね」

 俺達は小声で話し合う。

「こ・こ・に早く座れ」

 俺らが指定された場所は周りからも見えないようなとんでもなく端っこ。

「あの、そこ空いてるような……」
「うるせぇなぁ。早く座れ」

 とんでもない店に入った。
 あと、この店に入ってから『爆発! 爆発!』って、声が微かに聞こえてきた気がするんだけど気のせいだよな。
 そして、俺らはメニュー表を見る。そこには、『キュウリ』や『パプリカ』などが書いてあった。
 また、野菜!?

「野菜しかないじゃんー」

 陽葵さんは足をバタバタさせる。
 あっ……俺は1度ネットサーフィンをしている時に見たことがある。
『すしの語源はすっぱいを意味する形容詞』と。
 それ、酷くない!? 詐欺だ。詐欺!
 しかも、このキュウリなんて200ルビーだぞ?

「ねぇ、高いし……。早くここから出ない? 結局、作って部屋に持ってきてくれるものならタダで美味しいよ」
「1皿だけ食べていきましょう。すみません!」
「何だよ」
「き、キュウリ2皿」

 睨んでくんなよ。怖すぎるだろ。

「ほらよ」

 皿を乱雑に扱い俺らの前に投げるように置いてくる。俺らはあまり期待せずに口に運ぶ。

「う、美味い?」
「……ピクルス自体は美味いんですけど酢飯に合わないっていうか」

 俺達は聞こえないように話し合う。

「早く行きましょ」

 俺は400ルビーを用意し、店から早く出ようとすると……

「なんだよ。もう出ていくのか。はい、リア充だから2倍の800ルビーね」
「え、ちょっ、そんなの何処にもないですよ? 詐欺だ!」
「ほら、そこに書いてあるじゃねぇか」

 と、男は店の端っこを指す。
 確かに書いてあった。紙には、

『リア充。ムカつくから2倍。その判断は俺が決める』

 おかしいだろ!! 判断基準狂ってやがる!

「はぁ。もう絶対来ないからな」

 と、俺は800ルビーを置いく。

「一生来るな!」

 俺らは急いで店を後にした。

「あんな酷い店もあるんですね」
「ねー! 部屋で美味しいご飯食べよっ!」

 こうして、俺らは部屋で飯を食い明日に備えて早めに寝ようとした。この間に何があったのかは察してほしい。
 やっぱり説明しようと思う。
 陽葵さんが小学生のように、

「明日楽しみだから寝れないー!」

 と、俺を何度も何度も叩き起しに来たからだ。
 俺は陽葵さんが大人しく部屋に戻ったので寝ることにした。

取得スキル
皿洗いの極意 出前の初級術

カルビ名人 焦がし焼きマスター 山葵鼻つめ リーフターン 玉ねぎボンバー

迷惑客の対処 愛想笑い 協調性 驚き対策 ロリコン対策 ジャパニーズソウル 無神経

おトイレの付き添い 遊園地の支配

つまようじ回避マン

お色家 変装『舞妓』

地球のゲームでもあったようなレベルの煽り 
演技『狂人』 主人公補正 騙される弱抵抗力

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