異世界でみんなの飯テロ保護してます!

雪見だいふく

理不尽だ!

 いい加減に起きてくださいよ。
 俺は上に向かわされている。
 何故なら前の大男が起きないからだ、あぁ、このまま王族の部屋で降ろされて何をされるんだろうな。
 俺は諦めて落胆したように両腕を落とす。
 とても、長く感じた時間が終わり最上階、王族の部屋の扉が開かれる。

「ギトギト大臣。起きてください」 

 若々しい男の声が聞こえる。
 ていうか、この人はギトギト大臣とかいうふざけた名前なのか。見た目そのままだな。

「ふぉっ。私はまた寝ていたのか。起こしてもらってすまないのう」
「とんでもない! 私達の仕事ですから」

 ガチャ。といった金属音が聞こえる。警備兵だろうか。
 ギトギトがエレベーターから降りる。
 すると、

「貴様! 何者だっ! 大臣様。こやつ、命を狙いに来たアサシンです」

 え?アサシンって決めつけられんの?

「そんなとんでもない奴がいるのか。適当に牢にでも放っておけ」

 と、後ろに見向きもせず言う。
 というより、後ろが見えないのか。
 じゃなくて! お前がいたから降りれなかったんだろうが! 

「後ろを見てください! 後ろを!」
「こいつ、うるさいのう。私は眠いんじゃ」
「ちょ!待っ……」
「早くこっちに来い!」

 俺は乱雑に胸座を捕まれ地下に連れていかれた。
『俺は何故か牢に入れられました』
 牢は個人個人にある感じだった。
 どうやら、何人かまとめて入れる感じではないらしい。
 そんなことより何でこうなるの?ただ単に王族の誰かに用があっただけかもしれないじゃないか。
 後ろにいただけじゃないか、それを『アサシンです』じゃねえよ!
 俺は牢の鉄骨を何度も叩きながら、

「俺は無罪だ! 話をさせろ」

 と、叫ぶ。
 目の前の牢にいる人から『だまれ』と言わんばかりに睨まれたが俺は納得がいかないので叫び続けた。

「お前の話を聞くのは明日だ! とりあえず黙ってろ。飯ならしっかり7時に出す!」

 そこ、問題じゃねぇんだよ!
 しかも、捕まると同時に腕時計とか取られたし。
 そして、どれ位経ったのか分からないが俺は落ち込み三角座りを端っこでしていると、

「ほら、飯だ。さっさと食え」

 と、たけのこご飯、焼きとうもろこし、ポテトサラダ、野菜スープという感じだ。
 どうやら、ここの牢獄の飯は野菜ばかりを除けばとても美味しそうな感じだ。まぁ、『牢獄の飯』は、といってもこの牢が初めてで俺の勝手な想像なんだけれど。

「ほら、ぼーっとしてると早く片付けちまうぞ」
「あ、食います! 食います」

 と、俺はスープに手を伸ばす。
 うっ、美味い! この暖かいスープが俺の傷ついた心に染みる。
 次に俺はたけのこご飯を食べる。

「美味い!……あっ、すみません」
「そう言って頂いて嬉しいっすよ」

 男は感激して泣いている。

「いや、本当に美味いっすよ! この牢の神様(作ってくれてる人)に伝えといてくれると嬉しいです」

 ここの牢はあくまで想像だが快適すぎる。警備兵も優しいし素晴らしい。
 ここの生活も悪くない。
 まぁ、こんな自堕落な生活をするくらいなら焼肉屋に戻った方がいいと思うから早く出るべきだとは思う。

「いやぁ。『それ』実をいうと私が作ってるんですよ!」
「マジですか!?凄すぎますよ」

 その後、俺は警備兵と楽しくお喋りをして飯を食べる。
 そして、警備兵がいなくなると同時に俺は疲れたので寝た。

 次の日――
 バン!

「うわぁぁあ!」

 俺は謎の爆発音で目を覚ます。
 警備兵達の声が聞こえる。

「厳戒態勢だ! ここにいる奴らも逃げないように警備は厳重にしろ!」

 そして、俺は昨日楽しく話した警備兵が通りかかったので話しかける。

「あぁ。すまない! 今は忙しいんだ後にしてくれ」

 警備兵は急ぐようにその場をすぐに去っていった。
 何が起きているのだろうか……。

「おい。そこの兄ちゃん」

 最初来た時に睨んできたおじさんだ。
 他の人々も話し合いに参加しているような感じだった。

「さっきの警備兵を見た感じ。今、王家周辺。いや、この街では何かが起きている。まぁ、ここも快適だが皆で脱出しないか?」

 俺も脱出したいが、それで罪が重くなるのは如何なものなのだろうか。しかも、俺は講義さえすれば恐らく何事もなくここから出れるし……。
 でも、何かが起きているなら助けに行くべきなのではないだろうか。

「……いいぜ。脱出方法は?」
「活きのいい兄ちゃんだな。実はそこの隣の男がな警備兵にバレないよう地道にあいつの部屋から脱出経路を作ってたらしいんだ。それで」
「どうせなら全員助けてやるよ。そうすれば俺の逃げる確率も上がるかもしれないしな」

 と、割り込むように厳つい逃走通路を確保した男が話す。

「それで、脱出に賛成してる奴ら全員で逃げ出そうって訳だ」
「でも、この街って警備があれじゃないか。簡単になんて逃げれるのか?」
「は?お前何言ってんだ?普通にトンネルや飛行機を使えばここから出れるじゃねぇか」

 なんか、俺らは試験とやらを試す為だけにあんなに長ったらしい道をさせられて、しかも理不尽な理由で牢に入れられてんのか?
 なんか、ムカついてきた。何か起こってるなら俺がそれを止めて見返してやる。
 俺は脱出を心に決めた。

取得スキル
皿洗いの極意 出前の初級術

カルビ名人 焦がし焼きマスター 山葵鼻つめ リーフターン 玉ねぎボンバー

迷惑客の対処 愛想笑い 協調性 驚き対策 ロリコン対策 ジャパニーズソウル 無神経

おトイレの付き添い 遊園地の支配

つまようじ回避マン

お色家 変装『舞妓』

地球のゲームでもあったようなレベルの煽り 
演技『狂人』 主人公補正 騙される弱抵抗力

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