異世界でみんなの飯テロ保護してます!

雪見だいふく

食品支配

1 
 ホゲーホゲー!!
 この、鳴き声にも慣れてきたな。
 すると、突然何も無いところから声が聞こえる。
 (ああ、一よ。)
 この感覚は……くそじじいか。くそやろう!……いや、声が可愛らしかったような……
(あなたのおっしゃっている、神マグロ・ブラックは市場の管理だか、何かで本日はいらっしゃらないので私が代理できたのですよ。)
 市場名は?と気になったが辞めておこう。しかも、あのくそじじいの名前マグロ・ブラックって……絶対クロマグロだよね。
(あなたにお願いがあり来ました。)
 ……なんだろ。普通にやだわ。やめろ勝手にスキル
『主人公補正』
 いざとなった時は突き放されることが多いこのスキルまじで使えなすぎだよ。
(あの、あなたの考えてる事は私達に伝わってるんですよ?)
 ……!?やべぇ、恥ずかしい……もしかして、やだなー。みたいなの伝わってました?
(当たり前です。)
 満面の笑みがみえたような気がした。辛い…….。ところで、その……要件って。
(あなたなら、そう言ってくれると思ってました!)
 あ、来たわ。こういう勝手に話進めちゃう系女神様。本当にやだ。
(あの……もう1度言いますよ?聞こえてますからね?)
 忘れてました……その能力ずるいよ。
(あの、丁寧な話し方は疲れるのでもっと楽にしてもいいですか?)
 ん……まぁいいけど。
(ふぅ。疲れたんすけど!まぁ、あなたにいう使命っていうのは)
 すごい、話し方変わるんすね。
(まぁね、私だってぇ。こんなことしたくてしてる訳じゃないんでー。)
 お疲れ様ですね。なんで女神になったんすか?
(んーとね、話すと長くなるかもしれないんだけど、車に轢かれたのねー。)
 ん……?俺と一緒の感じか……?
(それでぇ、私は神様みたいな人に会ったのね?そこで、『車に轢かれたあなたに選択を委ねよう。車に轢かれた赤い地縛霊の猫として、一生を過ごすか、そなたはケーキが好きなようだから、ケーキの女神になるか』ってね。そこでぇ、女神になるしかなかったのよー。)
 おい、赤い地縛霊の猫可哀想だろ……。
(しかもさー、ケーキの女神って何?って、聞いたんだけど、あなたが派遣される世界のケーキの女神が定年退職されたので。って、話だったのー。意味わかんなくなーい?ただ、落としたケーキを取ろうとして轢かれただけなのにさー。)
 ……つまり、たぶん、この世界に俺が来た理由は食べ物関係してないからもしかして……ランダムか!?
(そうなんじゃないの?まぁ、私はそんな食べ物を救う側の人間をサポートする役割なのよ。)
 おい、ちょっと待て。それじゃあ、おかしくないか?食べ物を救うためにサポート……?なら、神がそもそも救えばいいんじゃないのか?
(神様は賭け事をしてるのよ。『賭け事』をね?この食べ物は潰れるーとかね?)
 おい、今何って言った?
(『賭け事』って言ったよ?)
 そんな理由で、食べ物を潰してんのか?つまり、神も敵ってわけか……
(敵……そうとも言えないよ私達は食べ物を潰す連中に力を与えているだけなの。そう。食べ物のせいで、幸せになれず亡くなってこの世界に来た連中にね。)
 で、俺ら守る側はなんの能力もなしってわけか。しかも、守る側は何も知らされずあの団体を作ったりする工程まで自分達でか……それってとても不利じゃないか?
(まぁ、そうなのかもね。でも、守る方が主人公補正?みたいなの付きやすいやん?みたいな軽いノリじゃないかなぁ?)
 あと、さっき能力が与えられるって言ったよな?その割には俺がこの前解決した事件の敵は弱かったよな?
(うーん。それは、『基礎能力リテラシー』の違いかな。リテラシーの強さで決められるの。一番弱い者から強いものまで5段階あって、1段階目をwimp『雑魚』2段階目をInferior『インフェリオ』3段階目をaverage『アベレージ』4段階目をstrong『ストロング』5段階目をstrongest『ストロンゲスト』と言うの。ちなみに、あなたが戦ってた男はアベレージだったと思うわよ。)
 ん……それにしては大して強くなかったな……
(まぁ、詳しいことは分からないけど。食べ物の力によっても決まるのかもね。ほら、高い食べ物ーとかあるじゃない?そんなものだと思うわよ?同じ焼肉でも高いのと安いのじゃ違うみたいなね?)
 ん、俺らの力はどう説明されるんだろ……そんなことより、それで本題の話は?
(あの、今支配軍の幹部が凄い勢いで攻めてきてて、この周辺まとめてぶっ壊されるかもしれないんですよね。つまり、この周辺の食べ物が一掃されるってことですね。そこで、あなた1人でこの周辺を救ってもらえないかなって?)
 いや、他の人はどうしたんだよ……しかも、幹部1人でとは、限んないんだろ?
(神があなたと幹部の決闘が見たいと言っていたのでちなみに、その幹部は焼肉には特に恨みを持っているとのことです。なので、とりあえずは焼肉店を潰しに行くと。でも、それだけじゃあ、乗ってくれないかなーって言っていたのでこの周辺も賭けたってことですね)
 あのな、お前ら神のためにこの世界は成り立ってるんじゃねぇんだよ?
(いいえ、この世界は神により作られており、あなたが『1人で助けないー』なんて言ったらこの世界が破壊され地球からも食べ物がなくなり死んでしまいますよ?しかも、敵も1人じゃないですかいうならば決闘と言ったものじゃないですか。)
 あーもー!どんだけ都合悪いんだよ……。しかも、お前も同じ元人間としてどうなんだよ。まぁいいわかった、俺が助ける。
 ちなみに、今まで説明はなかったがこの世界には俺が住んでいる周辺焼肉ストリートを筆頭とし、ドネルチキン、馬刺しなど肉の店が多く並んでいる。つまり、ここが壊されると割と地球の肉料理がなくなってしまうという事だ。まぁ、ステーキーはここら辺にはないのだが、何故、ステーキがあり焼肉思いつかない!と言った感じだがそこらは神の修正で何とかしてるんだろうな。と思っている。
(とりあえず、今日の夜7時に、ミートパークのゴーカート場の中でだそうです。)
 ここで、女神の声は途切れた。
2 
 トントン
「起きてる?一?いつもと違い遅いから起こしに来ちゃったよー?」
 サン・チュだ。
「おはよ」
 俺は今日任務の方を休むと陽葵さんに連絡をし夜の準備をする。肉、肉、肉かー。焦がすーみたいな焼肉を不味くするような炎熱系の技を使ってくるんだろうか……一応焼肉はストロングかスロンゲストくらいのランクはありそうだしな……だから、肉を水で洗うみたいな邪道なことをしてくるかもしれない……ってことは水も使ってくるのか……もはやわかんねぇよ……こうして、俺は悩みに悩み持ち物(隠し持つ)を考える。決めた!結局俺はマジックナイフにしておいた。
3
 ――――午後7時
 ん……あいつかな。闇のように暗いところから人影が現れる。……どんなゴツイ奴なんだ。と、思っていたがそれは想像とは違った。眼鏡をかけ、たるんだジャージ姿。そして、極めつけは物凄く痩せていたのだ。肉とは正反対。そう、ほとんど『骨』といったような体型だった。
「あ、あのー今日決闘するお相手さんですかねぇ?」
 想像以上いや想定外ともいえるくらいに弱そうなので控えめに聞いてみる。
「そ、そうですよ……」
 なんでお前まだ弱気なんだよ!ってすごいツッコミたいけど、辞めておこう。
「それじゃあ、遠慮しませんからね」
 俺は自身に満ち溢れていた。何故ならこの男がいかにも弱そうだから。この男の強さにまだ俺は気づいていなかった。
獲得スキル
なし

取得スキル
皿洗いの極意 出前の初級術

カルビ名人 焦がし焼きマスター 山葵鼻つめ

迷惑客の対処 愛想笑い 協調性 驚き対策 ロリコン対策 ジャパニーズソウル

おトイレの付き添い

つまようじ回避マン

お色家 変装『舞妓』

地球のゲームでもあったようなレベルの煽り 
演技『狂人』 主人公補正

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