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雪見だいふく

船内での勝負……!?

1
 ヒューヒューヒュー
 俺らは船に乗った。おお、家にいる時以外の鳥の鳴き声は珍しいな……。
 ちなみに船は木造建築でかなり大きい。その割には豪華客船といった感じで、階数がありかなり広い。なぜ、防衛側をこんなのに乗せるんだ!と言った感じだが、これは悪いやつが来た時に守れるように。という事だそうだ。お金もまぁまぁ貰えるらしい。
 船内の案内を見た感じ、1階今乗った場所はホテルのロビーといった感じだ。赤い豪華な絨毯が敷かれており、清楚な服装をした人達が丁寧に接客をしている。2階は普通の乗客用と言った感じだろうか。乗客数は200で、足を伸ばせてのんびり出来そうだ。更に3階は屋上になっていて、ビーチチェアが沢山並んでいる。日に当たってとても気持ちよく眠れそうだ。そして、地下1階……ここでは中に物凄く大きいプール。酒場。というより、バブル時代にあったようなディスコ。そして、何より……カジノだ。まぁ、俺には関係ないと思うんだけどな。
 そして、全部の施設にお金を使うという最悪っぷり。お金をとってからさらにお金をとるなんて……。
 ま、まぁ、この船旅はゆっくりできそうだな……。陽葵さんとのんびり話そうかな。
「あ、一ぇ。私、あっちで飲んでくるからついたらまた会おうねー。じゃ!」
 ……え、早速ぼっち……。ていうか、俺お金ないからなんも出来ない……。
「あの、ちょ……!お金だけで……」
 お、戻ってきた。
「あ、一。お金無いのか!はい、これ」
 俺の手に渡されたのは500グルメ。日本円でいうところの1000円だ。やっす!と、言おうとしたが既に陽葵さんの姿はそこにはなかった。こんな安い金で何をしろと!?
 ……お金がなければ稼ぐまでだ!というわけで、俺はカジノのある地下1回に向かった。
2
 俺は案内を見つけすぐさまカジノのある場所に向かう。そこに到着すると……
「くそやろおお!!」
 と、男の叫び声が聞こえてくる。……負けたのか。俺はカジノの案内を見る。パチスロ、ルーレット、ポーカー、ブラックジャック、バカラ、クラップス……などといったカジノがある。
 そして、高いチップは1枚5000グルメ。安いチップでも1枚50グルメ相当なのだ。つまり、俺のもちチップは10枚。つまり絶対に勝たなくてはならないのだ。
 だから、スキルを利用して勝とうと思う。だが、使えそうなのは『地球のゲームでもあったような煽り』ぐらいしかないのだ。ここで、俺は煽りが使えそうなポーカーを選んだ。
「いらっしゃいませ。こちら現在3人集まっております。不正がないか持ち物を検査させていただきます」
 俺は持ち物を大人しく渡す。
「異常はありません。どうぞこちらへ」
 付いていった先にはポーカー用の部屋が用意されていた。その部屋に入るといかつそうな男と、露出が激しい女。それに……陽葵さん!?
「なんだ、お前。こいつを知っているって顔だな」
 ……なんだ、この状況。なんのためにカジノきたの?お金そこの人に借りれば解決やん……。ここで、女が口を開く。
「なんやあんた。10枚しかチップ持ってへんのか。さっさと倒してやるから大人しくこっから出ていくんやな」
 ……あのお金さえくれれば出ていきたいッスよ。
「一……ここでケリをつけましょう!この前の鯖の恨み!」
 いや……守る側ですし。
 と、いう形で第1戦が始まった。
 このポーカーのルールはターン制ではなく。特殊で1プレイヤーが残るまで続くという圧倒的ディーラー有利ルールになっているのだ。それ以外は普通のポーカー(難しいルールは省くカードを交換してそこからアクションを行う)と同じでジョーカーはなし(6人集まっていない)。持ちチップは100枚まで持ち込み可能となっている。賭け金の上限はなく1人ずつならば相手を潰していいとのことだ。2人になった場合はそれが出来なくなるということだ。初期の状態で降りる際はチップ2枚となっている。もちろん賭け金をあげていたなら、それに応じてチップは減る。そして、このルールの異常点は……1人脱落する度に特殊ルールがランダムで追加される。とのことなのだ。
 この台は特殊でチップの重さに応じて所持チップが中央の液晶に映し出されている。その液晶を観ると男のチップは43。女のチップは38。陽葵さんのチップは82となっている。順番は男→女→俺→陽葵さんとなっている……てか、陽葵さん強いな!で、俺のチップは10か……。かなり辛いな……
 サッ
 配られたカードは……ハートのクイーン、クローバーのクイーン、スペードの3、ダイヤの9、ハートのジャックといった形だ。……遊びでしかポーカーしたことないからむずいな。とりあえずクイーン以外変えるのがいいのかな……。
 まず、男がカードを変える。変更したカードは1枚。男には微妙な笑みが見えた。女はカードを4枚変更した。この人は常に真顔といった感じだ。対戦前とは表情が違いすぎる。そして俺。変更後来たカードは……全て絵柄の違うカードだった。……クイーンのワンペアか……。陽葵さんはカードを1枚変更していた。こちらも表情に変化はなしといった感じだ。
 そして、親の男のアクションが始まる。
「ベット」
 と言い、男は3チップ賭けた。……そこそこいい手なのか……なら、手堅く3チップなら理解できる。
「フォールド」
 女は勝負から降りた……すぐに降りたので特に勝負をする気もないといった感じだろう。
 そして、俺の番。どうするべきか……男は強い手とも読めるがその裏をかいて……
「コール」
 俺は勝負に出た相手に何も役がない(ノーペア)と予想する。あの笑みがなんとといえなかったからだ。
 そして、陽葵さんの番。
「レイズ」
 と、陽葵さんは震えた顔で賭け金をあげる。チップはなんと……15枚!?この時点で俺の3枚はディーラーの元へ返されることになる……。
「こんなルール1人ずつ潰せばいいのよ」
 と、悪戯な笑みを浮かべる。……これはまずい。このままだと俺のターンの時に決めなくてはならなくなった。そして、男は乗った。
「コール。ちっ。つまりお前の役は大したことないってことだよなぁ?テメェが先に潰れんぞ?」
 サッ
 男の役10でスリーカードが出来ている。陽葵さんは……ジャックとエースのフルハウス……。
「ふふ。こんな演技に負けるなんてあんたも大したことしないね!へへ」
 たくさんのチップが陽葵さんに流れる。
「あれは演技か……まぁたしかに潰せるからな……いい所をつきやがって……」
 俺は液晶に目を向ける。男33、女38、自分7、陽葵さん92……という感じだ。
 このままだと……俺に勝ち目はない……。陽葵さんをどう利用できるかだろう……。
 かなり難しい状況だが……俺は負けない!

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