異世界でみんなの飯テロ保護してます!

雪見だいふく

極めろ! 勝利を我に!

 ギャァゴケェ
 今朝の鳴き声はなんなんだ……と、思いつつも朝、俺は目覚めます。
 ヒロインに好かれたいな……と思いながらも廊下に立っていたサン・チュに挨拶をする。
「おはような」
「おはよ!」

 やばいなんだ胸が痛い。俺ってチョロイな。
 下に降りと焼男さんがいたのでいつも通りに挨拶をする。

「おはような」
「おはようございます!」

 そして、俺は制服に着替え時間になったので今日も仕事に励む。

「今日は接客を頼むな」
「はい! わかりました」
 ……よしっ! と、両頬をパチンと叩き気合を入れる。

「お客さんが来る前に接客に役立ちそうな特別な焼き方を教えてあげるわよ?」

 おっ、仕事で役立ちそうだからそれは気になる。

「んー……それじゃあ、あえて焦がす、焦がし焼きを教えてあげようかしら」
「焦がしたら不味くなるだろ??」
「それがね! 例外があって。サガリとかハラミとかはね、実は内蔵肉に分類されていて、しっかり焼き切った方が美味しくなるのよ」

 そ、そうなのか? 良くわからないけど凄いな。

「サガリとハラミは焼くと多くの肉汁があふれてくるのよ。多少、焼きすぎてもうま味と風味が損なわれることはないの。だからね、少し焦げ目がつく頃が食べ頃なの。つまり、焼き色が茶褐色ではなく、こげ茶か一部黒っぽくなっている状態がいいのよ。ここでは怖がらずに思い切って焼くといいのよ」

 こいつは本当に焼肉が好きだよな。

「焦がし焼きの香ばしさには、だからタレが合うのよ。覚えておいてね? 接客にまた使えるといいわね!」

 残念ながら接客じゃなくて戦いになるんだよなぁ……あはは……。
 と、思いながらも教えてくれたことに対して俺はニッコリと笑い感謝を伝える。

「ありがとな」
「頑張ってね! まぁ私もなんだけどね。へへ」
「お互い頑張ろうな!」

 よっしゃぁ! 気合い入ってきた! 仕事すんぞ!
 少しも経たないうちに客が早速やってきた。毎回、思うがここの街は平日の午前中から何故こんなに客が来るのか本当に気になる。

「いらっしゃいませ! 何名様でしょうか」
「3人です」
「かしこまりました。今、席をご案内しますね」

 と、俺は近くのテーブル席に案内する。

「お決まりになりましたら、そちらの方からお呼びください」

 ほとんどマニュアル通りに進めていく。

「現在、当店のおすすめは石山牛のビビンバとなっております」

 この国では石山牛が高級牛のようだ。

「それでは、失礼します」

 あまり時間が経たないうちにチャイムが鳴らされる。

 ピンポーン

「はい! ただいま」

 ――――――――
 ――――――
 ――――
 ――

「ふぁー……疲れたなぁ」

 今回は客足がいつもに増して多く、かなり疲れてしまった。

「浮かない顔してどうしたのよ」
「ただ単に疲れたんだよ」
「そっか……なら、おやすみ」
「おやすみ」

 冷たく対応しちまったな。……寝るとするか。
 そう思い目を瞑る。すると耳元で何かが来たような音がする。

『シュタッ』

 何だ?

「起きなさい」

 聞いたことのある声だった。と、いうより誰か分かってしまった。
 俺は面倒なので適当に対応することにした。

「おやすみなさい」
「起きなさい」
「嫌です。ごめんなさい」
「あの子にモテますよ?」
「直ちに起きます!」

 俺は急に目を覚ますようにその場に起き上がる。

「やっと、起きたか」
「で……不審者ですか? 通報しましょうか? そうだ……! 不法侵入だ。通報してやるー」
「おい! ちょっと待て! 俺だよ俺! ほら、お前に負けた……」

 だるいなぁ。明日にしろって。誰かは知ってるが知らないふりをしておこう。

「ほら、爪楊枝の!」
「あ、お前か」
「お前にリベンジしたくてな……その手紙明日でもいいから見とけ。じゃあな」

 そう言うと俺の手に封筒を置いて去っていった。
 本当に来る時間考えろよ。あいつ。
 手紙か……明日になると忘れそうだし見てみるか。
 俺は電気を付け封筒を開けて中に入っていたチラシを見る。

『天焼き焼き武肉会! 
 強者求む。
 磨き上げたスキルで勝ち抜こう! 景品・・刺身』

 なんだこれ……つまりなにかの大会? これに勝てばサン・チュにモテそうだから出てみたいな。
 そう思い下の方に書いてある応募するための番号を見る。

『お問い合わせは……832183218383』

 闇肉闇肉闇闇って……やばすぎるだろ!
 今、応募できるのかな……夜も遅いけどそこに電話を掛けてみると以外にも対応して貰え参加することになった。
 よし! 異世界生活満喫するぞ!
 ――こうして俺の戦いの幕が降ろされた……

獲得スキル
焦がし焼きマスター

取得スキル
皿洗いの極意 出前の初級術

カルビ名人 焦がし焼きマスター

迷惑客の対処 愛想笑い 協調性 驚き対策 ロリコン対策

おトイレの付き添い

つまようじ回避マン

お色家 変装『舞妓』

地球のゲームでもあったようなレベルの煽り 
演技『狂人』

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