異世界でみんなの飯テロ保護してます!
接客は大忙し!?『前編』
コーケコッコー!
 あれ、今日はいつもと違って鶏だ。そんなことを思わせるくらいな普通の異世界生活がまた始まる。
俺は階段を降り親父さんにペコリと頭を下げる。
「おう! 今日もよろしくな」
「うっす」
こんな感じでこっちの世界にも慣れてきた。
親父さんはこんな俺でも親のように接してくれる。それは、とても嬉しい。
「あのな……今日からお前、接客しろ」
えっ。
一瞬で突き放された気がした……ただ単に仕事がないから皿洗い。優しさでもなんでもなかったんだと思わせれ苦笑してしまう。
「えっ!? 俺人付き合い苦手なんすけど……」
「グッド・ラック!!」
「英語にしてもダメなんだけど!?」
俺は諦めたようにニッコリ笑い「分かりました」と伝える。
……まぁ、しょうがない。変な人がこないといいなと思いながら制服に着替え準備をする。
――こうして、自分てでフラグを立てたことを俺はまだ知らない……。
俺は制服に着替えカウンターに立つ。すると、サンチュが話しかけてきた。
「ねぇ……一?」
こいつから話しかけてくるなんて珍しいな。
「なんだよ」
「あんたが接客!? プークスクス! ないわないわ! 私がサポートしてあげなくもないけどみたいな!?」
「遠慮しときます」
俺は驚く程の真顔で返す。
「ちょ! あんたねぇ!」
手伝いたいなら自分から言えよ。なんだよこいつめんどくさいな……可愛かろうが実際のツンデレなんてこんなものだ。
「あんたに良いことを一つだけ教えてあげるわよ」
……いらねぇよ。どうせ、また馬鹿にするような事だろ。
「カルビはよく聞かれるからこの説明だけよ」
「は?」
牛肉だろ? それで良くね? こいつは俺の事をどこまで馬鹿にしたら気が済むんだ?
「はい! そこの君! ただの肉って思ったでしょ! 会話だって接客には必要なのに……だから、美味しい食べ方とかさ!」
「確かに必要かもしれないな……」
俺はこいつの肉に対するテンションに対して多少引きながらもこいつなりに俺の事を考えてくれているんだな。と感心もする。
「そうでしょ! だってあんたは2歳レベルの低脳だもんね!」
……こいつ、発言の1つ1つが本当に腹立つな。口の中に強制暴言変化機でも付いてるのか?
「お前の悪口も低能だろ……」
俺は思っていたことを口に出してしまう。
「なっ!! 許さないわよ! あんた!」
「まぁ、落ち着けよ。それで俺に教えてくれよ。そのカルビのやつ」
「ふっふっふ。まず肉の焼き方を教えてあげるわよ」
「あ? さすがに馬鹿にしすぎじゃないか? そんなの網でまとめて焼くんだろ。しかも、焼き方なんて好みだろ?」
「これだから低能は……」
馬鹿にするような目でまた俺を見る。いちいちなんなんだこいつは……
「まずはね! 網が熱くなってから焼く! これは流石に基本だからわかるわよね」
……知らなかったとか言えないな。
「あ、あぁ、もちろんだ」
俺は震えた声でそう返す。
彼女は高いテンションのまま続けてこう言う。
「次の手順としてはね! 肉は1人1枚ずつ焼く! これも基本! まとめて焼くと結局、鉄板の温度が下がって美味しく焼けない。しかも、時間がかかるしいいことは無いの……分かった?」
「お、おう」
「次は食べ時の話なんだけど……さっき言ったとおり肉によって違うから今回はカルビだけ紹介するわよ」
こいつ……肉になるとめっちゃ語るよ……結構怖いよ。
「これは網の中心部を避けて……まず、4から5枚程の肉を並べる! 網が熱いから焦げ付く前にすぐに裏返す! 裏面を焼いて……その表面に肉汁がうっすら浮かんだらまた裏返してほんの少し焼く! これだけよ」
「お、おう! 信じてない訳では無いけど、そんなに早くてもいいのか……?」
「生肉はスピードが大事だからね。まぁ、詳しく言うと片面8割、返して2割かな。3ミリくらいの肉の厚さなら10秒が妥当ね」
嘘か本当かは別として、こいつ本当に詳しいんだな。
すると、彼女は胸に手を当て俺の近くに顔を寄せる。その顔はドヤ顔だった。
はぁ。今度は何を言ってくるんだろう。
「私を称えてもいいのよ!?」
「よしっ! 仕事すっか!」
「ちょ、あんた! 後、もう1つだけ! ね!」
こいつ、テンションが高いし話させてやるか。
「何……?」
「豆知識を教えてあげるわ! お客様との会話時にいいかなって。実は、カルビっていう部位はなくて脂ののった部位をカルビと言うのよ。赤みが多い部分はロースっていうの。知らなかったでしよー?」
「お、おう。知らなかったよ。色々とありがとな」
と、俺は素直に感謝をする。
開店までもう少し。ここから俺の戦いが始まる――
「いらっしゃいませ! 何名様でのご来店でしょうか?」
「5人で、後から4人きます」
……!? 何この人。怖いな。あっちの世界でもあまりこういう人は見ないよな。と、俺は笑いをこらえながらも接客をこなす。
その後も何組かの客は来たが難なく対応する事が出来た。
すると、店を回っていた焼男さんが話しかけてきた。
「どうだ順調か?」
気遣いができて本当にいい人だよな……俺は軽く尊敬を覚えていた。
「はい。色々やってて面白いですよ」
俺は店長に心配をかけないよう笑顔でそう返した。
すると、奥から何かが割れる音がした。
パリーン!
「あ、あの。俺行ってきます。店長……とりあえずカウンターお願いします」
俺はそう頼むと駆け足で奥の方にある席に向かった。
「割っちゃって……」
「大丈夫ですよ。今、片付けますのでお待ちください」
サッサッ
俺は置いてあるほうきで割れた皿を片付ける。
はぁ。めんどくさいな……すると、前の席の方から皿の割れる音と誰かの怒っているような声がした。
バァン! パリーン!
おいおい、またかよ……
「っざけんなよ!」
……おい、今日の客あからさまに俺をいじめに来てるよなぁ! なんか、涙が出てきた。俺はそんな涙を堪えながらも皿の片付けを済ませて怒り声のする座席に急いで向かう。
すると、自称客の前では最強のサン・チュが怒られていた。
ふっふっふ。ここは俺が何とかして今までの仕返しを……俺が少し遠くから、まだ、出る場面ではないだろうと眺めて見ていると男が怒つわていた。
「あのさぁ! 肉が動いて服についたわけ! どうしてくれんの?」
「いや……そのようなことを言われましても……」
サン・チュはもう泣きそうだった。
やばい……これ、ガチで可哀想な奴だ。助けに行くか……でも怖いよなぁ。無言で逃げたくなったが、ここは助けなければと思った。
ちなみに他の店員は後ろで知りませんー。見てませんー。と言わんばかりに2人で指相撲をしている。こいつら仕事しろよ!
そう思いながら俺は男とサン・チュの間に割り込むように話に入った。
「あの、すみません。肉が動くことはないと思うんですが……」
サン・チュは既に半泣きになっていた。確かにこの人の迫力はやばい。
「動いてっから言ってんだろうが!」
男は突然殴りかかってきた。
やばい。当たる……!
この瞬間、俺の何かしらの能力が働いた。
このパンチ……皿の仕分けに似ている。
かなり無理な発想だが俺の思考は追いつかず本能のままパンチを流す。
「!?」
この、驚いてる瞬間にでしゃばってどうにかするか……
「お、おいおい! ど、どうした! さっきの威勢の良さはよぉ!」
もう一度殴りかかってくるが迷わず仕分けるように避ける。
「俺、本当に手慣れなんで帰ってもらえます? 代金はその財布の中身、全額で許してやるんで」
やばい。でしゃばりすぎたか……?
「ひ、ひぃ!」
男は財布を置き走って逃げていった。
『うおおおお!!』
周りから歓声が上がる!
「お前……すげぇな!」
「あ、あんたやる時はやるのね……その、ありがと」
彼女は涙を拭い俺に頭を下げる。
俺は格好付けるようにその頭を撫で、チラチラ見ていた親父さんにお金を渡す。
「親父さん置いていった金です」
「本当にありがとな!」
親父も俺に感謝するように髪をくしゃくしゃと撫でた。
……おっと! きたか! 俺のハーレムライフ!! これは異世界だ!
後半へ続く――
獲得スキル
カルビ名人
迷惑客の対処
取得スキル
皿洗いの極意
カルビ名人
迷惑客の対処
 あれ、今日はいつもと違って鶏だ。そんなことを思わせるくらいな普通の異世界生活がまた始まる。
俺は階段を降り親父さんにペコリと頭を下げる。
「おう! 今日もよろしくな」
「うっす」
こんな感じでこっちの世界にも慣れてきた。
親父さんはこんな俺でも親のように接してくれる。それは、とても嬉しい。
「あのな……今日からお前、接客しろ」
えっ。
一瞬で突き放された気がした……ただ単に仕事がないから皿洗い。優しさでもなんでもなかったんだと思わせれ苦笑してしまう。
「えっ!? 俺人付き合い苦手なんすけど……」
「グッド・ラック!!」
「英語にしてもダメなんだけど!?」
俺は諦めたようにニッコリ笑い「分かりました」と伝える。
……まぁ、しょうがない。変な人がこないといいなと思いながら制服に着替え準備をする。
――こうして、自分てでフラグを立てたことを俺はまだ知らない……。
俺は制服に着替えカウンターに立つ。すると、サンチュが話しかけてきた。
「ねぇ……一?」
こいつから話しかけてくるなんて珍しいな。
「なんだよ」
「あんたが接客!? プークスクス! ないわないわ! 私がサポートしてあげなくもないけどみたいな!?」
「遠慮しときます」
俺は驚く程の真顔で返す。
「ちょ! あんたねぇ!」
手伝いたいなら自分から言えよ。なんだよこいつめんどくさいな……可愛かろうが実際のツンデレなんてこんなものだ。
「あんたに良いことを一つだけ教えてあげるわよ」
……いらねぇよ。どうせ、また馬鹿にするような事だろ。
「カルビはよく聞かれるからこの説明だけよ」
「は?」
牛肉だろ? それで良くね? こいつは俺の事をどこまで馬鹿にしたら気が済むんだ?
「はい! そこの君! ただの肉って思ったでしょ! 会話だって接客には必要なのに……だから、美味しい食べ方とかさ!」
「確かに必要かもしれないな……」
俺はこいつの肉に対するテンションに対して多少引きながらもこいつなりに俺の事を考えてくれているんだな。と感心もする。
「そうでしょ! だってあんたは2歳レベルの低脳だもんね!」
……こいつ、発言の1つ1つが本当に腹立つな。口の中に強制暴言変化機でも付いてるのか?
「お前の悪口も低能だろ……」
俺は思っていたことを口に出してしまう。
「なっ!! 許さないわよ! あんた!」
「まぁ、落ち着けよ。それで俺に教えてくれよ。そのカルビのやつ」
「ふっふっふ。まず肉の焼き方を教えてあげるわよ」
「あ? さすがに馬鹿にしすぎじゃないか? そんなの網でまとめて焼くんだろ。しかも、焼き方なんて好みだろ?」
「これだから低能は……」
馬鹿にするような目でまた俺を見る。いちいちなんなんだこいつは……
「まずはね! 網が熱くなってから焼く! これは流石に基本だからわかるわよね」
……知らなかったとか言えないな。
「あ、あぁ、もちろんだ」
俺は震えた声でそう返す。
彼女は高いテンションのまま続けてこう言う。
「次の手順としてはね! 肉は1人1枚ずつ焼く! これも基本! まとめて焼くと結局、鉄板の温度が下がって美味しく焼けない。しかも、時間がかかるしいいことは無いの……分かった?」
「お、おう」
「次は食べ時の話なんだけど……さっき言ったとおり肉によって違うから今回はカルビだけ紹介するわよ」
こいつ……肉になるとめっちゃ語るよ……結構怖いよ。
「これは網の中心部を避けて……まず、4から5枚程の肉を並べる! 網が熱いから焦げ付く前にすぐに裏返す! 裏面を焼いて……その表面に肉汁がうっすら浮かんだらまた裏返してほんの少し焼く! これだけよ」
「お、おう! 信じてない訳では無いけど、そんなに早くてもいいのか……?」
「生肉はスピードが大事だからね。まぁ、詳しく言うと片面8割、返して2割かな。3ミリくらいの肉の厚さなら10秒が妥当ね」
嘘か本当かは別として、こいつ本当に詳しいんだな。
すると、彼女は胸に手を当て俺の近くに顔を寄せる。その顔はドヤ顔だった。
はぁ。今度は何を言ってくるんだろう。
「私を称えてもいいのよ!?」
「よしっ! 仕事すっか!」
「ちょ、あんた! 後、もう1つだけ! ね!」
こいつ、テンションが高いし話させてやるか。
「何……?」
「豆知識を教えてあげるわ! お客様との会話時にいいかなって。実は、カルビっていう部位はなくて脂ののった部位をカルビと言うのよ。赤みが多い部分はロースっていうの。知らなかったでしよー?」
「お、おう。知らなかったよ。色々とありがとな」
と、俺は素直に感謝をする。
開店までもう少し。ここから俺の戦いが始まる――
「いらっしゃいませ! 何名様でのご来店でしょうか?」
「5人で、後から4人きます」
……!? 何この人。怖いな。あっちの世界でもあまりこういう人は見ないよな。と、俺は笑いをこらえながらも接客をこなす。
その後も何組かの客は来たが難なく対応する事が出来た。
すると、店を回っていた焼男さんが話しかけてきた。
「どうだ順調か?」
気遣いができて本当にいい人だよな……俺は軽く尊敬を覚えていた。
「はい。色々やってて面白いですよ」
俺は店長に心配をかけないよう笑顔でそう返した。
すると、奥から何かが割れる音がした。
パリーン!
「あ、あの。俺行ってきます。店長……とりあえずカウンターお願いします」
俺はそう頼むと駆け足で奥の方にある席に向かった。
「割っちゃって……」
「大丈夫ですよ。今、片付けますのでお待ちください」
サッサッ
俺は置いてあるほうきで割れた皿を片付ける。
はぁ。めんどくさいな……すると、前の席の方から皿の割れる音と誰かの怒っているような声がした。
バァン! パリーン!
おいおい、またかよ……
「っざけんなよ!」
……おい、今日の客あからさまに俺をいじめに来てるよなぁ! なんか、涙が出てきた。俺はそんな涙を堪えながらも皿の片付けを済ませて怒り声のする座席に急いで向かう。
すると、自称客の前では最強のサン・チュが怒られていた。
ふっふっふ。ここは俺が何とかして今までの仕返しを……俺が少し遠くから、まだ、出る場面ではないだろうと眺めて見ていると男が怒つわていた。
「あのさぁ! 肉が動いて服についたわけ! どうしてくれんの?」
「いや……そのようなことを言われましても……」
サン・チュはもう泣きそうだった。
やばい……これ、ガチで可哀想な奴だ。助けに行くか……でも怖いよなぁ。無言で逃げたくなったが、ここは助けなければと思った。
ちなみに他の店員は後ろで知りませんー。見てませんー。と言わんばかりに2人で指相撲をしている。こいつら仕事しろよ!
そう思いながら俺は男とサン・チュの間に割り込むように話に入った。
「あの、すみません。肉が動くことはないと思うんですが……」
サン・チュは既に半泣きになっていた。確かにこの人の迫力はやばい。
「動いてっから言ってんだろうが!」
男は突然殴りかかってきた。
やばい。当たる……!
この瞬間、俺の何かしらの能力が働いた。
このパンチ……皿の仕分けに似ている。
かなり無理な発想だが俺の思考は追いつかず本能のままパンチを流す。
「!?」
この、驚いてる瞬間にでしゃばってどうにかするか……
「お、おいおい! ど、どうした! さっきの威勢の良さはよぉ!」
もう一度殴りかかってくるが迷わず仕分けるように避ける。
「俺、本当に手慣れなんで帰ってもらえます? 代金はその財布の中身、全額で許してやるんで」
やばい。でしゃばりすぎたか……?
「ひ、ひぃ!」
男は財布を置き走って逃げていった。
『うおおおお!!』
周りから歓声が上がる!
「お前……すげぇな!」
「あ、あんたやる時はやるのね……その、ありがと」
彼女は涙を拭い俺に頭を下げる。
俺は格好付けるようにその頭を撫で、チラチラ見ていた親父さんにお金を渡す。
「親父さん置いていった金です」
「本当にありがとな!」
親父も俺に感謝するように髪をくしゃくしゃと撫でた。
……おっと! きたか! 俺のハーレムライフ!! これは異世界だ!
後半へ続く――
獲得スキル
カルビ名人
迷惑客の対処
取得スキル
皿洗いの極意
カルビ名人
迷惑客の対処
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