僕を助けた雪女

Fuu

僕を助けた雪女

僕の名前は宮本  朱瑠みやもと あかる
僕には、命の恩人がいる。詳しく言うと人ではないのだけど、そこはあまり気にしなくてもいいと思う。

「朱瑠さん、朝ご飯が出来ましたよ」

「ありがとう、雪菜」

彼女の名前は雪菜。雪菜は人ではない。俗に云う雪女である。そして、僕が今いる場所は都会の中では無い。雪山の奥に今はいる。
雪山を遭難したところを助けてもらったのだ。学生だから冬休みが終わることには降りなきゃ行けないけど、それまでは雪菜と一緒に居る。幸いなのは、僕に両親が居ないことだろう。だから両親には心配をかけなくて済む。


雪菜は、雪女だけど火の近くにいることが出来る。何故なのかは本人も分かっていないらしい。まぁ、何故か出てくる食事も不思議と米と味噌汁と言う普通な物である。しかも雪菜は好んで食べる。最初は本当に雪女なのかと疑わざるおえなかった。


実を言うと、今日がここに居られる最後の日なのだが、雪菜はそこに触れてこない。多分あまり考えたく無いのだろう。雪菜は雪女。人との関わりなど無く一人で居たのだろう。僕と居ることで寂しさを覚えてしまったのかもしれない。悪いことをした気分だ。


昼頃、僕と雪菜は山道を歩いていた。雪菜が案内をしてくれると言う事で、付いてきたのだ。だが、雪菜の表情は暗い。主な会話の無いまま、等々目的の場所までついてしまった。

「それじゃあ、雪菜。ありがとうね」

「また....きて....くれますか?」

雪菜が涙目になりながら僕に聞いてくる。

「....当たり前ですよ。また、来ますね」

僕がそう答えると、雪菜は下を向き肩震わせ始める。
僕は、後ろ髪を引かれながらも山を降りるのだった。




少し季節が過ぎ、春が来た。
雪菜は、どうしたのだろうか。雪女だから、消えるのだろうか....。僕がそんな事を考えていると

カン、カン

ドアを叩く音が聞こえてきた。誰だろうか?今日は特に友人とも会う約束はしてないのだが。
そして、僕はドアを開けるとそこには予想外過ぎる人がそこにいた。

「ゆ、雪菜!?」

「はい!冬が終わっても何故か消えなくて、寂しくなって来ちゃいました!」

僕は、とても驚いたがそれよりも嬉しさが勝り、笑みを浮かべた。

こうして、僕と雪菜との生活がまた始まった。

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