僕と最強幼女と狂った世界

土佐 牛乳

決着とケチャップ 3


 スタフェリアと華憐は、衝突する隕石のようにぶつかり合うと離れあう磁石のように、二人は地面へと着地した。衝撃とともにお互いの力がどれくらいあるのか二人とも理解していた。そして、二人は同時に口が上がる。
  華憐の魔法少女の力は、主に肉体強化、そして彼女の扇に隠された真の力を使って、まるでアニメの魔法少女のように、大きな大技を放つことができる。そしてなによりも彼女が愛用しているのは、傷をいやす効果であった。魔法少女は、時が来ればまるで王位継承のように、その者の親から子へと、その力が継承される。それは絶対的なルールでもあり、魂レベルにまで組み込まれた運命のようなものであった。
  たまに下級のファントマ―の中には、人々に悪さをするようなものがいる。その襲われている人々のために、まるで人間が白血球を使って体内のばい菌を懲らしめるように、彼女もまた、ファントマ―を懲らしめる存在であった。
  仕組まれた運命の上に立っている彼女だとしても、彼女は闘うことを選んだ。そしてこんな自分と同じような遭遇の人がいると、占い師で教えてもらった彼女。それは好きな人でもあると、生涯共に笑って暮らせるような人であると、占い師は華憐に告げていたのだ。それを真に受けてしまった華憐は、見事に現実に運命に打つのめされた。それが夜久であったのだ。彼女が戦う理由は、下級のファントマ―がいなくなってしまった元凶である、スタフェリアを倒さなくても、どこかの土地へ移動させることである。というよりは、それらを大義名分にして、スタフェリアを倒した後に、夜久の顔を一発ぶん殴ってやりたかったのが本音であった。私情を戦いの中に持ち込む魔法少女であった。
  そしてスタフェリアは、彼女が、どれほどまでに戦えるのか、興味がありつつも、夜久のことが心配であった。彼女が苦戦したにも関わらず夜久が、あの男と戦えるのかと、考えていたのだ。それはどうしようもない力の違いがあると考えてみたが、夜久は初めての実戦である程度やれるような人間だったと、思い出す。とにもかくにも彼女を早めに倒すべきだろうとその足は動いた。
  スタフェリアは、一瞬にして、華憐のミッドレンジへと入り、その足は彼女の腹へと当たりそうなッほど近くにいた。そしてスタフェリアは、切り裂くようなキックを華憐にお見舞いしようと地面に水平な、キックをした。まるで刃のように彼女の足は鋭い刃物のようになっていた。それを華憐は腹から受け止める。
  スタフェリアは、彼女が受け止めるわけが無いと、そう慢心して、キックをした。彼女の腕に当たったキックは、スタフェリアの足をがっちりと掴んでいた。まるでドッジボールをキャッチしたかのようなその受け止めに、スタフェリアは驚いた。
  そしてその刹那。

「力だけはお父さん譲りでぇ……!」すぐさまスタフェリアの足をバットを持つようにして振り回した。

「……強いのよねえッ!!」まるでホーガン投げのようにスタフェリアはその華奢な体を地面へと飛ばして転がしていた。まるでカエルの子はカエルであると証明しているかのように彼女の力は、父親と負けず劣らずであった。
 地面で受け身を取りつつ、クラウチングスタートの体形に持ち直したスタフェリア。
  夜久と華憐が対決していると、夜久は骨がグニャグニャになっていただろうと、思うスタフェリア、それは彼女が負の感情でとんでもないような馬鹿力であったからだ。
  直接本人に下されると思うと、とんでもない大惨事になるのではないか。彼女はそう考えついていた。それは彼女が華憐の相手をしていて良かったということであった。

 場面を変えて夜久と男。
  勝負を始めようとしていた男たちは一つ会話を始めていた。

「おじさん僕の名前は天野路夜久と言います、お名前は何と言うんですか?」

 僕は礼儀作法を乗っ取って自分の名前を呟いた後、彼の名前を聞いた。

「これから死ぬのに名前など必要なのか?」

「質問を質問で返さないでくださいよ」

 彼は、僕とあまり口を利きたくは無いようであった。それは彼が僕に対してそこまで良いような印象が無いからだと、僕はわかってはいるのだけれど、やっぱりお父さんと表記するのも、イノシシの男と表記するのもいい加減にやめたいのである。
 するとイノシシの男は一つ名前を呟いた。ここにきて彼は本名を言った。

一二ひとふ 突吉とつきちだ」

 そう呟いて、突吉さんの目の前にはいつの間にか、大きなハンマーがあった。

「どうやらお前は、鬼門のようだ。全力を使っても、差支えはないな?」

 僕にはまったくわからないような専門用語で攻めてきた。負けじと僕は見栄を張った。
僕にとっては突吉さんが、言っていることは、初めて大手掲示板を覗いてみた、そのような不可解な専門用語であった。鬼門ってなんだ? 確かに僕は狂言鬼などと呼ばれていたけれど。それと全くは関係がないだろうと僕はそう考えてみる。









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